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点線的に私を愛して

好きな人がいる

ずっと忘れられない人がいる

これは紛れもなく恋で、これは紛れなもなく愛。

だから彼以外の誰かを愛したいとは思わないし、彼以外の誰かから愛されたいとは思わない。

彼以外は眼中にない

これはほんと。

それなのに、なんでかな。

点線的な好意が心地よい。

実線的な好意じゃないから心地よい。

向き合わなくてもいいから。

心地が良い。

「実線」とか「点線」とか何って話よね。

でもこの表現が妙に自分にしっくりきてて、つい、わかってほしくて使っちゃう。


どんな人でも、好意をむけてもらえるのは嬉しいものだ。

ましてや、それがとても性格の良くて、イケメンで、背が高くて、頭も良くて、誰もが羨むような人からの好意だったら尚更。

好きとか嫌いとか、恋とか友情とか、そういう感情を抜きにして、好意を向けられることは素直に嬉しい。

それにその好意が本命の好き!っていうものではなくて、恋が始まるか始まらないか、少し甘酸っぱくて、くすぐったいくらいの好意が良い。

いろんな妄想を膨らまして、「この人、私のこと好きなんかな...まさか〜好きやったらどうしよ〜そんなわけないよな、うんうん」ってなるくらいの好意。

本当の恋や愛を「実線」と言うのなら、きっとこれらの好意は「点線」である。

リアル体験型の少女漫画的展開。

胸キュンの繰り返しに、膨らむ妄想に。

点線だから心地よい。

誰にも罪悪感を抱かないし、何にも悪いことはしてないし。

相手のが本気の好意だったら、それはこっちも真剣に向き合わないといけないし、誰かが傷つくことになるのかもしれないけれど、点線だから、そんな心配をする必要がない。

恋の錯覚。

ううん、錯覚の恋。

毎日の疲れをちょっとだけ緩ませてくれるくらいのものだから、それくらい軽いものだから、今の私にはちょうど良くて。

手放せずにいるその感覚。



点線的に私を愛して。

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