見返りを求めずに愛するということ
忘れられない人がいる。
無理に忘れようと思っても、そんなことはできっこないから、とっくの昔に諦めた。
ずるいよなぁ
ずっと心の中に、頭の中に住みついている。
時々、ひょこっと顔を出して、私の感情をぐちゃぐちゃにする。
出会った時から、もうずっと前からずるかったけど。
今に始まったことでもないけれど。
職場のイケメンくんとご飯に行った。
優しくて、性格も良くて、ちょっと変わっている人。
表面的なことで言ったら、カッコよくて、背も高くって、高学歴で、きっと誰もが羨むような人。
今まであいつ以外の人を好きになるっていう選択肢が自分の中になかったから
前日の夜、布団の中で、ふと、イケメンくんのことを好きになることがあるのだろうか、と考えると、少し複雑な気持ちになった。
あいつ以外を考えられないんじゃなくて、考えたことがなかった。
「可能」ではなく「経験」っていう意味で。
当たり前のように、忘れようとか口にしているけれど、それを考えると、どこか泣きそうになって、全然忘れようって思っていない自分に気づく。
全然眠れなかった。
それは遠足前のウキウキとか、そんな綺麗なものではなくて
試験前の緊張感に近かったような気がする。
居心地の良くない緊張が走った。
ご飯に行った。
うーん、難しい。
なんだろ、悪くはなかったけれど、この人はないなって思った。
それが素直な感想...
ううん。
あいつに会いたくなった。
なぜか無性に会いたくなった。
それが自分の答えだった。
悪い人ではなかったし、話していて楽しかった気はする。
でも、ところどころ、引っかかることがあった。
少し深い話になりかけると、それが見え隠れした。
あー、きっと、普通の人なら、そんなに気にしないことなんだろうなぁ
でも私には刺さるんよなぁ
私は言葉に敏感で、無神経な人が苦手で
簡単に言っちゃうと、私の人生設計を否定されたような感じ
別に私の将来のことなんて、話したことないからしょうがないのかもしれないけれど。
「〇〇をするなんて、考えとして、ないですよねぇ」
〇〇をしたい人だっているのに
多くの人が、言い回しとして、これを使うのは知っている。
私だって使う時はあるから、あまり人のことは言えないけれど、私なら
「私は〇〇をするのは向いてないのかもしれないけれど、でも、だからこそ、〇〇をする人は尊敬します」
って言うし、言いすぎたなって感じたら
「あくまでも私の話なんで、〇〇したい人もいますよね?ごめんなさい」
って素直に謝る。
きっと、こういう言葉の配慮が、私に対しても、〇〇をする全般の人に対しても、できないんだ。私の友達だって〇〇をするかもしれないのに。
〇〇ばっかりややこしいですね、ごめんなさい。
そんな時に、あいつがひょこっと顔出す。
あーあ、あいつなら絶対にこんなことはしないなぁ
いろんな人、私だけでなく、私の友達や、私が不快な思いをしないように配慮をする。気を配る。
改めて気づかされる、大切さ。
やっぱり忘れることなんてできないよ。
これはあくまでも一例に過ぎなくて、ちょっとずつ、そんなすれ違いがあって
深く関わらないくらいなら、今の距離感くらいなら、この人とは不快感なく、過ごせるかなって自己完結した。
いっぱい気づいたことがあった。
待たせるよりも、待たされる方がいいなぁ、とか
私よりご飯を食べない人よりも、いっぱい食べる人の方が好きだなぁ、とか
小さなこと、どうでもいいようなこと。
それでもちょっとずつ生じる違和感に、首を傾げてしまった。
ずっと忘れられない人。
最近になって、2人でご飯に行ったり、電話したりすることが増えた。
今の関係性に納得がいっていないわけではなくて、でも、自分の好きが溢れ出してしまいそうになるのが、期待しそうになってしまうのが怖くて
別の人とご飯に行けば、何か変わるかなって思ったけれど
無理だった。
友達には、こんなにも好きでいれるってすごいって、羨ましがられることもある。
確かに、自分がここまで人を愛せるなんて、思っていなかったし、とてもすごいことではあると思うけれど
でもね、いいことばかりじゃないよ。
相手を振り回してるなぁって反省することも多いし、時々、期待しそうになってしまうのも嫌になるし
相手の言動に、行動に振り回されちゃうし
いつまで私はこうなんだろうって無性に怖くなることだってある。
この恋の先に必ず幸せが待っているだなんて限らないし、それを求めること自体、愚かな気もするし、でもそれをわかっていてもやめられない自分がつくづく嫌になるし。
綺麗な感情じゃないくらい、ずっと前から気づいている。
ドロドロで、醜いものなんかなって思うことだってある。
でも消えてくれないから
忘れられないから
そして、君からたくさんの幸せをもらっていることも事実で、今の私を支えてくれているのも事実だから
不格好な愛だけど、捻くれている私だけど
もうちょっとだけこの恋に付き合ってくれないかな。
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