ソーシャルワーカーに「研究」は必要か
こんばんは! レオ・エースです。
ようやく花粉も少し収まってきた感じで、過ごしやすくなってきました。
私は花粉がたくさん飛んでいる日は頭がボーっとしてしまうので、ようやく気合をいれて仕事ができそうな気がしています。
さて、今日は「研究」というものをテーマにお話ししようと思います。
これを読んでくださっているソーシャルワーカーの仲間の皆さんは、現在なにか研究テーマを定めて文献を調べたり、調査を実施したりしているでしょうか。失礼ながら私の肌感覚で言うと、そうした「研究」を行っている方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
もちろん、様々な研究雑誌や学会誌、機関誌を見ると、様々な領域で活躍されている多くの現場のソーシャルワーカーが研究記事を投稿しています。しかし、そうしたところで見る名前は、どこかで見たことのある名前が多く、全てのソーシャルワーカーが「研究」を行っているかというと、正直な話、違うのかなと思ってしまいます。
ソーシャルワーカーにとって「研究」は責務になっている
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(JFSW)の「知」という部分には次のようにあります。
「ソーシャルワークは、複数の学問分野をまたぎ、その境界を超えていくものであり、広範な科学的諸理論および研究を利用する。…ソーシャルワークは、常に発展し続ける自らの理論的基盤および研究はもちろん、コミュニティ開発・全人的教育学・行政学・人類学・生態学・経済学・教育学・運営管理学・看護学・精神医学・心理学・保健学・社会学など、他の人間諸科学の理論をも利用する。」
ここでは、ソーシャルワークとは、その実践を支えるために広い科学的な理論や研究を利用し、自らも研究し続けることが述べられています。
つまり、ソーシャルワーカーであることの仕事の一部に「研究」することが組み込まれているのです。
でも、多くの社会福祉士や精神保健福祉士たちは、そのことをあまり気に留めていないのではないでしょうか。それはなぜでしょうか?
ひとつには職能団体への加入率の低さがあるかもしれません。社会福祉士会や精神保健福祉士協会に加入すると、「認定○○を取りましょう」とよく言われています。認定を取るためには、実践研究や評価の仕方を改めて学ぶことになります。そうした職能団体の生涯研修制度の中で、私たちは研究することの大切さをまだ再確認することになります。
でも、待ってください。そもそも日々の相談支援の実践に「研究」が必要ですか? 「研究」として現場を見ることが本当に役に立つのでしょうか? 逆に変に学問意識が高まって、現場と乖離しないでしょうか?
実践の元となるのは「理論」と「モデル」
ソーシャルワーカーとして仕事をしていると、本当にいろいろな方に出会います。就労の問題を抱えている方は多くいますが、その全ての方が同じ方法で問題を解決できるわけではありません。それでも問題解決のためのアプローチとして様々な理論やモデルが利用できます。
迅速に対応するための危機介入アプローチ、クライエントの長所を生かしていくストレングスモデルアプローチ、クライエントの語りからストーリーを理解していくナラティブアプローチなど、参考にできる支援理論やモデルは熟知しておくと役に立ちます。
そうしたソーシャルワーカーならだれもが知る理論やモデルは、先人の積み重ねてきたデータや資料から導き出されたものです。幾多のデータや資料は、研究を続けてきた先人がいたからこそ、今の私たちにつながっているのです。だから、私たち今のソーシャルワーカーは、研究を通してそのバトンを後世に伝えていく必要があるのです。
しかし、全てのケースが今ある理論やモデルで説明できるわけではありません。なかにはよくわからないけども、いわゆる「ふつうの相談」で解決できているケースもあると思います。それはそれで、今後の研究対象として深めていくことで何か明らかにされることがあるかもしれません。
ある人にとっては、日々の業務が忙しく、プライベートでも自分の役割があるため「研究」など難しいと思うかもしれません。それでも、自分の実践を日々記録に残し、事実と自らが感じたことを記すことで研究に役立つデータを提供することができます。それは将来、実践に役立つ理論やモデルの生成に寄与できるかもしれません。
私たちは、記録を残すこと一つでも研究に参加することができるのです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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