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サンワカンパニーにはどんな市場の追い風が吹いているか

その戦略、うまくいく根拠は?

企業にお勤めの方なら、一度は「施策」を考えたことがあると思います。
集客施策、売上目標達成施策、顧客満足度向上施策などなど。
では、その「施策」はなぜする必要があるのでしょうか?
これは比較的多くの人が答えられるかもしれません。
会社として、部署としての「戦略」だから。
では、その「戦略」がうまくいく根拠は?
ここまで突っ込まれると答えに窮する人も増えそうです。
僕もその1人です。
マーケティングトレースをはじめてから特に感じるようになりました。
戦略って、どんな情報を元に立てればいいの?
戦略の前提となることがわからないままでは、きっと良い施策ではないのではないか。
戦略を立てる立場なのに、前提となることがわからないのでは、立てようがないのではないか。
こういった課題にぶち当たりました。

それを解決するのがPEST分析。

「PEST」とは、Politics、Economy、Society、Technologyの頭文字を取ったもので、簡単にいうと「世の中の流れ」です。では、PEST分析の目的は何か。世の中の流れを「Politics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)」の切り口で分析して、戦略を立てるベースとなる「機会」「脅威」を見出すためのものです。つまり、世の中の流れが客観的にみてこうなっていく可能性がかなり高いから、こういう戦略が必要だよね、ということになります。

舟で例えると、追い風が「機会」にあたります。
風を背に受けて、目的地に向かってどんどん進むことができます。
追い風がないとどうなるか。

このように追い風がなく、穏やかすぎると、進む力が弱くなります。
追い風にうまく乗らないと、スピードが落ち、目的地までにいく時間が長くなります。当然コストもかかり、中には餓死してしまう船員も出てくるかもしれません。

嵐や荒波などは「脅威」です。避けるべきものです。
風の流れや雲の流れを見ながら、予測し、進路を変えたり錨を下ろして時を待ったりします。

判断を間違えるとこうなります。

「機会」を見方につけ、「脅威」に早いうちから手をうつことが必要です

PEST分析は情報を整理するためのものではない

海を俯瞰し、目的地までの最適最速なルートを見極める。
誰もが追い風を味方につけたいし、自分たちの命を守るためにも、嵐や荒波などの「脅威」は避けて通りたいところです。
僕は完全にここを間違えて認識してまして、ただ情報をフレームワークに沿ってまとめるということをしてしまっていました。
結果、どれだけ時間があっても足りない、どのくらいまで情報を集めればいいのかわからない、まとめるだけで終わってしまって、それ以上示唆に富んだアイデアが出てこない。こんな状況に陥っていました。

【目的】 目的地までの最適最速ルートを見つけるため
【目標】「機会」と「脅威」の発見。

シンプルにこう定義してみると、PEST分析をなぜやるべきなのか、どれくらい、どうやってやるべきなのかが見えてきます。

実際にやってみます。

前置きが長くなりましたが、前回に引き続き、キッチンなどの住宅設備機器サンワカンパニーさんをPEST分析をしてみます。
あなたがサンワカンパニーさんのマーケティング責任者だったら、どんなことが「機会」で、どんなことが「脅威」になると仮説を立てるでしょうか。

政治的要因
・消費税増税→駆け込み需要、増税後の需要冷え込み懸念
・働き方改革→残業の抑制により、時間的にも金銭的にも自炊のニーズ増?
・住生活基本計画→ストック型社会へ。

経済的要因
リフォーム市場規模の増加→追い風。機能だけでなく価値を訴求。
・新設住宅着工数の減少→広告、営業人員等、リソースの調整が必要?
・世帯年収の減少→購入物件の平米数の減少により、ミニマルなキッチン需要増?

社会的要因
・人口減少→コンパクトシティー。都心部でコンパクトな物件の需要増?
・空き家問題→中古物件購入が当たり前へ。リフォーム補助金等も増える?
・離婚率・生涯未婚率増加による単身世帯の増加→単身の住宅購入増?

技術的要因
・AI→マッチング、レコメンド機能の強化(プロモーションで使える?)
・IOT(スマートハウス)→住宅設備もネットに繋がる時代に?
・5G→動画がもっと身近に(プロモーションもカタログから動画へ?)

”ミニマル”がキーワード?

追い風となる「機会」で想定されるのは、よりミニマルなキッチンの需要が増えるのではないかということです。なぜなら、単身世帯の増加で住宅の広さの平均は年々狭くなっていく可能性が高いからです。そうなると、一般的なシステムキッチンより、コンパクトタイプで、機能的にもデザイン的にもミニマルなものの需要が増えるのではということが想定されます。人口減少が確実な日本では、ある程度居住区域が都市部に誘導されていきます。世帯年収の減少も相まって、予算的も広い家へのニーズは減っていきそうです。そこでますますコンパクトタイプのキッチンの需要増が機会として考えられます。共働き世帯の増加により、男性も家事をすることが増えそうなため、男性にも受け入れられるデザインが求められそうです。これはミニマルを売りにしているサンワカンパニーには「機会」となりそうです。

”テクノロジー"をキッチンにどう生かす?

キッチンを始めとする住宅設備の家電化、IOT化はこれからのトレンドになるのではないかなと思います。例えば高齢の方が安心して生活ができるように、火の制御をしたり、ヒートショックを防げる仕組みがお風呂についたり。自動車がAI技術を取り入れて、自動運転の試みをしているように、その流れが住宅設備にも来るのではと予想します。家事の時短、単身高齢者の見守り、ニーズの多様化に対して、今はまだできなくとも、テクノロジーで解決できることは多いです。そうなると、テクノロジーへの投資、理解が遅れるということは「脅威」になりえます。フイルムカメラ大手のコダックがデジタル対応が遅れて破産したように、テクノロジーによる市場の急激な変化への対応が遅れるのは「脅威」です。
製品だけでなく、プロモーションの在り方も変化してきそうです。今はショールームにいって買うのがまだ当たり前です。今後はSNS上のインフルエンサーの口コミの威力は無視できません。ファッション業界に続いて、住宅業界のインフルエンサーが出てくるのも近いと思います。そして5Gの技術が普及し、「動画」の時代になることは間違いなさそうです。インフルエンサーは手段を変えて、動画を効果的に使ってくるでしょう。カタログ、ショールームの在り方もこういった時代に備えて変化させていくととが必要です。変化させていく部分と、逆に絶対に変えない部分(ミッションやコンセプトなど)を見直し、言語化していくことが必要だと思います。

これは力がつく。

今回はサンワカンパニーさんをお題に、PEST分析をしてみました。

もしマーケティング責任者だったとしたら、「機会」と「脅威」は何か。

この視点でPEST分析をするととてもおもしろく、力がつきそうな予感がしました。やってみて感じたのが、営業に似ているなと。生産性の高い営業は、機器察知能力が高いです。お客様の顔色や仕草などちょっとした変化から、「これはヤバイ」と瞬時に判断できるため、大事になる前にリカバリーできます。逆に、雑談の中で出たちょっとした言葉を機会ととらえ、良い提案につなげ信頼を勝ち取ります。このPEST分析はそれを対顧客ではなく、対市場に向けてやるものだなという印象をうけました。今後も続けていき、本業の営業にもいい影響を与えられるようにしたいです。

PEST分析の手順
①対象企業を決める(仕事に関連があったり、好きな企業がオススメ)
②仮説を考える(もしマーケティング責任者だったら)
③PESTの切り口で情報をまとめる
④「機会」と「脅威」を自分の言葉でまとめる。
⑤noteで発信する

現時点で自分がベストだと思うやり方をまとめました。
この記事をきっかけにPEST分析やってみたよっていう方が一人でもいらっしゃるととても嬉しいです。

読んで頂きありがとうございました。


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