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実践編 「未来を線で考える」

【この記事を読み終えるまで 約7分】

必要性は不確実な未来の方向性をおおまかに示すコンパスである。

人類の歴史は不自由から生じる必要性を最新技術によって解決し、すべての人の自由を実現しようとする戦いの連続だ。多くの人に関わる不自由と、最新技術への知識、そしてそれを活用できるスキルを伸ばせ。
佐藤航陽

★パターンを認識する能力とは?
「テクノロジー、経済、人の感情などの複数の要素を把握し、社会の変化を自分の言葉で理解している能力」

今回は前回の続きということで、長い時間軸から人間社会のパターンを捉えてみようと思う。パターンは全部で45個。

それでは、レッツ備忘録!

パターン1:宇宙では全てがバランスで成り立っている。力の小さなものは力の強いものに引き寄せられる。
・ビックバン→宇宙誕生→隕石がぶつかり合って引力の強い惑星がどんどん大きくなり、地球になった。

パターン2:人が団結した時の力は凄まじい。為政者が大勢の人間を団結させる時は、目に見えないものを共通認識として信じ込ませる。

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・地球で多種類の類人猿が生まれる→種の生存競争から縄張り争いを始める→噂を信じる力を備えたホモサピエンスは仲間意識と情報交換能力が高く、類人猿の生存争いに勝利した。
・中世の為政者はキリスト教を利用して国を治めた
・日本の奈良時代では天皇が仏教を利用して国を治めた
・平安時代の天皇は古事記を作成し、神道の地位を揺るぎないものにした
→一度国民全員に共通認識を根付かせた天皇はその後の武士の世でも日本=天皇の国という共通認識を盾としてついに現代まで殺されずに済んだ。
・ナポレオンは愛国心を根付かせ、自国の防衛は自国で行う国民軍を組織したため、驚異的な軍事力を手に入れた

パターン3:生物の根源的な必要性は「自己保存」でその有効手段として子ども産み育てる
・生物は時が来ると死んでしまう→自己保存を必要とした→子どもを産み育てる

パターン4: 人間は種の生存確率を一気に高めるために身体的進化を待つのではなく、道具(テクノロジー)を開発する生き物である。

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・狩猟民族時代、狩の成功率を高める必要があった→石を使って武器を作る、火を扱う

パターン5:生命を脅かす危機に直面すると人間はテクノロジーを使ってイノベーションを起こす
・氷河期が終わりを迎えた→気候が変わり温暖化を迎える→気候に対応できなかった大型動物が絶滅した→空腹期間が延びた→人々は川のほとりに集まり農耕牧畜社会を始めた→定住生活で安定した食料を得た人々は、生存確率が上がった。
・中東地域との戦争を避けるため、香辛料を大陸経路でインドや中国まで取りに行くことができなかったヨーロッパ諸国は海の航路を発見し大航海時代が始まった
・第一次大戦の戦艦開発
・第二次大戦の核開発
・コロナショック後のイノベーションとは?

パターン6:集団定住は格差を生む
・農業で穀物がたくさん取れるようになり、穀物の生産を管理する人が必要になった→権力者が生まれる→権力者と、それ以外の人で格差が生まれた

パターン7:定住は資産の所有の概念をもたらし、所有の概念は圧倒的な防御力(セキュリティ)を必要とする
・豊かな土地を奪おうとする者たちが人を殺めて略奪を始めた→土地を守るために軍が誕生した

パターン8:人は強制労働を好まず自由を求める生き物である
・敵国から責められる前に攻め入って相手の国民を奴隷にした→戦勝国は労働せずとも自分の資産を守ることが可能になった

パターン9:人は時間を弄ぶようになると、知的欲求が高まる

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・働く必要がなくなった戦勝国の特権階級は、暇をもてなし学問を始めた→形而上学(哲学)の発展

パターン10:教育格差は経済格差に直接関係する
・学べるものは情報を誰よりも早く理解するようになる→学べない者との富の格差が広がった

パターン11:権力は必ず腐敗する
・国のサービスを提供するために税が生まれる→税を管理する者が長く権力を持つと、私的に流用し出し、国が滅ぶ
ex)古代エジプト、戦前の日本

パターン12:独裁は長続きしない、しかし民主政治も当事者意識を持たない国民が増えるほど感情的に流されて廃れる運命にある
・兵役も税も収める者たちが参政権を求めた→民主政治が始まる→人気投票になってしまう
ex)アテネ、現代の日本
国家運営の形は時代ごとに変化する by プラトン
①独裁 (アレクサンダー大王時代のマケドニア、北朝鮮、中国、シンガポール)
②寡占 (共和制ローマ)
③民主 (ギリシャのポリス国家)
④カオス (現代の先進国)
①独裁

パターン13:食料が不足すると戦争が起きる
・人口が増える→食料が減る→土地を求めて大国同士の戦争が起きる

パターン14:厳しい環境に身を置くと人は賢くなる
・大国は集団の力を使って繁栄→小国は滅ぼされないためにも知恵を使う必要性があった→生き残るために何世代にも渡って知恵を受け継ぐ→少数精鋭の民族が誕生する
ex)スパルタ、ユダヤ、バビロニア
ps.宝石や金に高値がつくのは、ユダヤの人々が遙か昔から迫害から資産を守れるように工夫した結果である。高価な小物なら持ち運べるため、国を失っても何度でもやり直せる。
→逆に言えば厳しい環境を必要としない場所は平和であるということ
ex)インディアン、アステカ、マヤ、日本

パターン15:貧富の差が広がりすぎるとパンとサーカスが提供される
・ローマ帝国時代は奴隷の増加によって帰国兵士は無職になった。彼らが都市に仕事を求めて集まり出し、治安が悪化した。政治家は食料と最低限の娯楽を提供した。
・インターネットによる技術革新は人々を労働から解放させ、生活コストも無料に近づける。現代のパンとサーカスはベーシックインカムとYouTubeだろう。

パターン16:厳しい生活環境が蔓延ると生き延びるために抽象的な絶対的概念が生まれる
・厳しい環境下では、みんなが同じルールに従った方が生き延びる確率が上がるため一神教が流行する。ユダヤ、キリスト教、イスラムは砂漠や荒廃した地域の人々でも生き延びるための処世術を伝える道具だった。
→中世では絵や彫刻で直接目に訴えた方が民衆の宗教的統一を加速できるため、芸術家が重宝された。現在は宗教の代わりにお金の概念が共通認識として信じ込まれている。

パターン17:移民の大量侵攻は古い概念を滅ぼす
・ローマ帝国はフン族の欧州侵攻がゲルマン人の大移動を誘発し、滅亡した。そして今まで培ってきた技術力、文化、知識がリセットされてしまい、暗黒の中世の時代(石器時代並みの貧しい時代)に突入することになる。

パターン18:投資家は世界を制覇する
・大航海時代に香辛料の一攫千金事業が始まるが、沈没する船も少なくなかった。そのため、リスク分散として物資を数人の権力者が分け合って提供し、航海に成功した時は売り上げを山分けした。ここから資本主義経済が始まる。

パターン19:効率性に優れた価値交換の概念は技術革新を加速化させる
・イングランド銀行が兌換紙幣を発行してから人々は紙幣の価値を信じ、そして手軽さに魅了された。こうして価値交換の概念が他国よりも一足早く進歩したイギリスは産業革命を迎えることになる。

パターン20:イノベーションを先取りした者が覇権を握る。覇権国は100年スパンで入れ替わる。
・海洋貿易とポルトガル 1700年代
・産業革命とイギリス 1800年代
・戦争とアメリカ 1920~
・米中IT戦争 2020年 今ココ
ps.イギリスは産業革命を先取りし、教育にも力を入れた。ケンブリッジ大学でルール作りの方法を学んだエリートは東インド会社に就職し、各地の統治者として一人で一国を支配した。

パターン21:イノベーションを必要としない者は滅ぼされる

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東西に広がるユーラシア大陸では気候がほぼ同じで生活環境も似ていたため、車輪や紙、ウイルスまでもが瞬く間に広がった。一方南北に広がるアメリカ大陸では気候も生活環境も異なり、自然環境にも恵まれていたためイノベーションを必要としなかった。大航海時代にスペインやポルトガルの少数の乗組員に絶滅させられたのは技術革新と疫病への抗体の差といえる。悲しいかなイノベーションを必要としない者は運命に引きずられてしまうのだ。

パターン22:イノベーションは平和利用も可能
徳川家康は戦国の世をハード面の武力で終わらし、太平の世をソフト面の法律、檀家制、教育で築いた。我々人類はイノベーションを上手くコントロールすることで、争いのない世界を作ることも可能なのだ。

パターン23:国内の発展が求められる時代は文化が栄える
・江戸時代は国内情勢が安定し元禄文化など多数の文化が栄えた
・産業革命を迎えた欧州は多数の音楽家、芸術家が排出された
→全ての文化、芸術は権力者のさじ加減で進退が決まる。権力者の資産保護の手段として活用された西洋の現代アートは隆盛を誇るが、日本の権力者にとっては資産が外敵から奪われるリスクも少なく、家の作りも違うため彼らにとってアートはそこまで魅力的なアイテムではなかった。一方で大衆の娯楽としてマンガ、アニメが隆盛を誇った。

パターン24:行き過ぎた独占は不満を蔓延させて民主的な革命が起きる

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・フランス革命
・人権宣言
・ピューリタン革命
・アメリカ独立戦争

パターン25:物を作り過ぎると侵略が始まる
・産業革命後の植民地支配
・中国の経済成長からのアフリカ進出
→物を安く作れる者が売り場を求めるのは当たり前

パターン26:一国のみに多大な責任を押し付けると、戦争が起きる
・ベルサイユ条約からのナチス誕生

パターン27:エネルギー資源の供給バランスが崩れると戦争が起きる
・大東亜戦争

パターン28:戦争は相手に自分の意思を強要するための暴力行為である
byクラウゼウィッツ

パターン29:勝者がルールを作り変える

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・GHQの日本国憲法草案
・プラザ合意
・iPhoneのアプリ市場
・Googleのネット自治

パターン30:ルールを強要しようとする者と新たなイノベーションで覇権を握ろうとする者で常に争いが生じる
・欧州のSGDsと米中のグローバル企業
・老人と若者

パターン31:人類の歴史は分散の歴史である
・アフリカからの民族大移動も住みやすい場所を求めた分散の歴史
・古代の王の君臨した時代から見るとあらゆる権力は分散させられてきた。今後はますます個人でできることが増える時代になるだろう。

パターン32:パワーの集中は争いを生み、パワーの分散で平和を維持することも可能
・皇帝支配が続く中国は権力争いが絶えない
・核兵器を多数の国が所有したことにより、実質的に核戦争のリスクが減った

パターン33:進歩の順序はいつもハード→ソフト
・ローマ帝国もカルタゴとの戦いから始まり、文化の発展が後に起きた
・戦国時代はハード、江戸時代の統治はソフト
・先進国の戦後復興はハード、ハードが充実した1985年からソフトの時代
・日本の失われた30年はハードへの盲信が原因、今はソフトの時代!!!

パターン34:最新技術は最初に過度に期待され、次に批判され、忘れられたころに圧倒的な発展を遂げる

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by ガートナーパイプ・サイクル
・蒸気汽関、飛行機、石炭、石油、核、ゲーム、IT、AI全ての技術は最初は否定される

パターン35:テクノロジーは次の発明を誘発する
1つの発明が次々に他の発明を誘発し、結果として変化のスピードが雪だるま式に加速していく。

ex)蒸気機関→列車、戦艦
スマホ→アプリ開発競争、YouTube

パターン36:テクノロジーは体の拡張である
手:弓、包丁、フォーク
足:靴、車、電車
目:メガネ、カメラ
脳:本、インターネット
→今はソフト面、脳の拡張の時代だ。
腸:薬
歯:入れ歯
耳:補聴器

パターン37:テクノロジーはいずれ人間を教育しはじめる
人間は課題を解決するテクノロジーを発明する。そして時を経るにつれて、そのテクノロジーは社会構造に浸透していき、いつしかそのテクノロジーの存在自体が人間の精神や行動を縛るようになる。
→スマホ無しでは生きていけなくなったよね……

パターン38:テクノロジーは掌からはじまり、宇宙へと広がる

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研究室で発見された電気は家庭の室内を照らし、街を照らし、送電されてあらゆる器具と繋がり、空気のような存在になり、さらには宇宙へ展開した。
→研究室、家、街、世界、空気
今で言えばインターネットとスマホだね。ジョブズも最初は実家のガレージで会社を立ち上げた。

インターネットの拡張の流れ
①電気がコンピュータを生み
②コンピューターがネットと繋がる
③ネットが社会の隅々にまで浸透しIOT化
④発生した膨大なデータはAIに集約される 今ココ!
⑤自律的に判断するAIがデータを分析
⑥あらゆる物体が知性を獲得する

パターン39:地球上のものは全て一つ ガイヤ理論
これからを考える上でヒントになりうる理論

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→地球と、地球上に生きるすべての生物を1つの巨大な生命体と捉える理論
この理論から言えばインターネットも人間の機能を拡張させた生命体だ。

パターン40:常識を疑う者が先に進める
本当にそれが必要か、別のもっと良い方法はないかを常に考えろ。目の前にある仕組みそのものに疑問を持てなくなってしまい、既存の枠組みの中だけで答えを探そうとすれば、手段の目的化が進み、本質からずれた議論になってしまう。
→何のためにインスタを使うのか、インフルエンサーになるのか、コンセプトを深く考えろってことだね

パターン41:社会システムは必ず古くなる
人間の考える主義思想には賞味期限があるのも一つのパターンだ。
狩猟民族社会は20万年、農耕牧畜社会は数万年、封建社会は数千年、そして近現代の民主主義社会が300年、次のシステムが情報価値主義に移行しても、それが続く期間はせいぜい30〜50年だろう。

パターン42:人間にとって最大の脅威は人間である
テクノロジーの拡張の範囲が社会全体に広がっていけば行くほど、社会に対するネガティブな影響力もまた広がっていく。
→ex)18世紀の産業革命時のラッダイト運動、コロナショックによる民衆の暴動

パターン43:情報量と幸福度は反比例する
人がより多くの情報にアクセスできるようになると、他人と比べてしまい、自分が選べなかった選択肢のことを思って後悔するようにできている。by心理学者バリー・シュワルツ

パターン44:本当のチャンスは理解されない
周囲の人にもチャンスとわかるようなタイミングでは遅い。自分でも成功確率が五分五分と言うタイミングが本当の意味でのチャンスです。周りの友人が一回話しただけで理解できるようなアイディアだったら、考え直した方が良い。逆に、首をかしげられたり、うまくいかなそうだと否定的なリアクションをしてきたようなら、そこにこそチャンスはある。自分すら半信半疑なアイディアは他人にとっては全く理解不能。つまり、他人との競争に巻き込まれずにマイペースに進めることができる。
→全員が良いねと思ったことは、すでに誰かがやっている。ライバルが多いところにわざわざ突っ込むのはおかしい。東京じゃなくて地方にチャンスがある。分散の時代は地方×データ×AIだ!

パターン45:人への貢献が一番充実度が高い
人は感謝されると幸福ホルモンが分泌される。
顕在化している課題をできるだけ早く解決する方法を見つけ、一つでも多くの不幸をなくせ。
→最新のテクノロジーを原理から理解して、現代の多くの人が抱える不自由(課題)を解決してあげることが人間の生き方。社会の不自由を探せ。


以上45個の人間社会のパターンでした。次回は最新テクノロジーについてまとめてみようと思います。ありがとうございました😊

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それではまた次回にお会いしましよー!

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