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"人生100年時代の資産形成"で「置き去りにされている」文脈があると思う。

「老後2000万円」の報告書の騒動から"人生100年時代の資産形成"について関心が高まっているようです。ただ、その様子を見るにつけ、強い違和感を抱いてしまうのです。違和感の最大の理由は、今現在の大人たちが感じる自分が老いたタイミングでの経済的不安に、あまりに意識が向き過ぎているということです。確かに、不透明な部分が多く不安になるのは致し方ありません。しかし、余りに身勝手なのではないか、とも感じます。

今後の人口動態を考えると、公的年金保険は賦課方式から転換することはほぼ不可能でしょう。報告書一つまともに受け取れない政治家たちに抜本的な改革に取り組むことなど到底想像できません。

とすると、です。今、不安だ!不安だ!と騒いでいる人たちが老いたその時、その人たちを扶助するのは、今の若者、子どもたちです。それを考えると、ドンドン少子化が進み労働人口が減っていく中、高い付加価値の製品・サービスを次々と生み出せる産業、社会を受け継ぐことがとても重要なことになるはずです。なのに、今の大人たちは自分のことばかり、です。

この「未来をどうつくるか」「どんな社会を次の世代に届けるか」という文脈がすっかりと置き去りにされているように思われます。メディアも全くこの意味に気づけていません。我々今の大人の"人生100年時代の資産形成"において、この文脈は非常に重要な意味を持っていると私は思います。

この「未来をどうつくるか」で大きな役割を果たすことができるのが、実は、株式投資です。それも、どの会社に、どれだけ投資するのかを「人」が決定するアクティブ投資こそがそれを担う主体となるはずです。どこに投資するのか、どれだけ投資するのかを市場に委ねるインデックス運用では、その役割が十分に果たせない、と私は考えています。なぜなら、インデックス運用はそのベンチマークに投資先が含まれたら最後、投資しないという選択肢が無くなってしまうからです。しかし、この「未来づくり」を意識したアクティブ投資は、残念なことになかなか広がりません。「未来づくり」そっちのけで騰がった下がったのトレードに腐心するアクティブ投資(「投機」と呼ぶべきか)の方が、多数派でしょう。

この文脈において、もう一つ大事になるのが今の若者、子どもたちに対する投資教育でしょう。どのように価値あるものを見出すか、貴重な資源をどこに配賦するべきか、そうした概念を伝え、それを体得してもらうことは非常に大事です。

株式投資の持つ「未来づくり」という文脈がしっかりと認知されないまま置き去りにされていることは、今の大人たちの不安の種を残すことにもなるのです。

その観点でぜひご覧になって欲しいのが農林中金バリューインベストメンツの奥野さんの動画です。

こうした活動は奥野さんだけでなく、「未来づくり」としてのアクティブ投資、株式投資の重要性を感じ取っている人たちが、業界を超えて、束になって、粘り強く行っていく必要を強く感じます。

「老後2000万円」よりも、実はこちら、「未来づくり」としての株式投資の認知の低さの方が、はるかに重篤な危険水域ではないか、とさえ私は感じています。この認知度を高め、納得してもらい、社会の常識に至らしめるにはかなりの時間を要することは間違いないからです。しかし、過去を振り返っても仕方ありません。前進あるのみです。一日でも早く、「未来づくり」としての株式投資を、常識にしなければなりません!


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