コムジェストさんの ダイバーシティ&インクルージョン(D&I) レポート
月次レポート研究所です。
今回取り上げるのは月次レポートではありません。
本拠・フランスの投資会社、コムジェスト・アセットマネジメントさんの特別レポートです。
コムジェストさんは自社で公募投信を運営されているわけではなく、他社の公募投信に運用助言サービスを提供されています。ですから、コムジェストさん発信ので次レポートはありません。
しかし、四半期毎に、自社による運用レポートを発信してくださっています。コムジェストさんが助言されているファンドを保有しているので、この四半期レポートは大いに助かっています!コムジェストさん、ありがとうございます!
四半期レポート以外にも特別レポートが発信されています。
「責任投資方針」や「中国での規制」をテーマにした、骨太なレポートが並んでいます。読み応えたっぷりでオススメです。
その特別レポートの最新版が
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
- イノベーションと成長のエネルギー源 -
です。
タイトルを見て、ダイバーシティ、インクルージョンの題材は、ファンドの投資先に求めているのだろう、と想像しました。
でも、ちょっと違っていました。
主な題材は、コムジェストさん自身でした。
繰り返します。
ダイバーシティ単独ではそれほど意味がありません。
これはその通りかもしれません。ダイバーシティの見える化を試みた数値の意味は極めて限定的だろう、ってことですね。いくら数字でダイバーシティが実現しているかに見えても、そこにインクルージョンの仕組み、また、それを支える、進歩させる文化がなければ、パフォーマンスには結びつかない。
よく考えてみれば、至って当然のことなのに、分かりやすいところに、数値化しやすいところに、焦点が向かってしまう。ESGの文脈でも起きていることですね。
ダイバーシティがパフォーマンスの向上に寄与するように、そう意図した、コムジェストさんのインクルージョンの具体的施策が説明されています。
特に印象的だったのが、グローバル・ファイト・クラブ。
タイトルはちょっぴり「物騒」な感じですが、こうした経験がパフォーマンス(調査や対話の質向上)に結実させるのが企業文化なのだろう、と感じます。
これも極めて印象的な指摘です。パッシブ運用の比率が増えていくこともこの文脈で捉えるべきかもしれません。
チームの全員がこの理解を共有しているか、も「文化」の重要な要素でしょう。そして、その「文化」を、形作る、築くのがダイバーシティとインクルージョン。
より良い意思決定を行うために、ダイバーシティ、インクルージョンの大切さが述べられています。
コムジェストさん自身から視線は、投資先の会社に向けられます。
資本は、もはや「お金」だけではない。価値創造に大切な要素、要因は何か。
インクルージョン、文化が整った投資会社は、ダイバーシティを高めていくことでパフォーマンスが高まる。こんな仮説が浮かびます。
この意味で、最後に紹介されている”D&Iスコアカード”は大いに参考になります。これが定期的に投資家に示されると、その推移がわかり、より大きな参考となるでしょう。
ただ、忘れちゃいけないのは、これらもスコア、数値にすぎない、ってことです。
そこへ視線を集めてしまうことは、真の理解、納得から離れていくことではないでしょうか。
でも、ですね、こうしたD&Iの実態を投資会社が発信することは非常に素晴らしいことですし、投資会社選びの大きな材料になると考えます。
アクティブファンドに期待すること。
僕の場合は、「勝ち負け」ではありません。
より素晴らしい未来を実現するのに貢献する会社と関わりを持てること、関係者として価値創造に参加させてもらうことです。
そうした会社を選び出す目利きを投資会社の皆さんに期待しています、託しています。その判断のプロセスでは、「調査」と「対話」が最も大事だと考えています。
その「調査」と「対話」の質を持続的に高めるのがD&I、文化だと感じました。
こうした気づきを与えてくださった、コムジェストの皆さん、レポート筆者のスメルチャクさんに深く感謝です。
レポートは、スメルチャクさんのお母さんのエピソードで締めくくられていました。
ダイバーシティは非常に大事。でも、それの持つポテンシャルをどうやって引き出すか、さらに高めていくか、そこにこそ視線を向けたいですね。
この「問い」を基にした、自分たちについて、を定期的に発信する投資会社が増えてくれたらいいな、と期待します。
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