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株式投資で大事にしたいことは、会社の規模の大きさや業歴等で、変わることはない。それを再認識させてくれた『世界トップ投資家の共通言語』

最近読み終えた一冊です。

ほぼ同時並行的に読んでいた本 も面白かったのですが、僕個人的にはこちらの #世界トップ投資家の共通言語  の方がより強く印象に残りました。

印象深かった箇所を書き留めておきます。


投資仮説は世界観

投資仮説を発信することは、「こういう世の中になってほしい」というビジョンを明らかにすること

24ページ

投資仮説、大事。そこからその投資家の考え方、捉え方の一端を知ることができるからです。これは投資を検討する対象が、どんな会社であっても当てはまることだと思います。

優れた投資家であるほど「こういう世の中になってほしい」という世界観があるということかもしれません。つまり、まず世界観ありきで、投資は、それを実現する手段に過ぎないのではないかと思います。

Who has already invested?

ベンチャー投資家が知りたかったのは資本金の「額」よりも「出資者」なのです。「誰が投資しているか」という情報は、ベンチャー投資家にとって、投資可否を判断する際の重要な情報である場合が多いのです。

28ページ

これは、ベンチャー投資家だけではなく、上場会社でも、そして、投資信託でも当てはまります。上場会社の場合、株主総会ですね、参加してみると、どんな人が株主なのか、もちろんごく一部なのですが、それを垣間見ることができます。

投資信託のケース。これは運用報告会等のイベントでのQ&Aセッションが非常に興味深いのです。色んな質問が寄せられるわけですが、株価への関心が高い人なのか、事業の内容やパーパスに関心が高い人なのか、質問から透けて見えます。その質問から「ああ、このファンドにはこういう投資家が集まっているのだな」と感じとるわけです。もちろん、これもごくごく一部のことなので全体として、というわけではありません。でも確かに同じ船に乗り合わせている、ってことなんです。

What does good look like?

投資家に「良い姿はどういうものか?」と聞かれた際、起業家はふさわしい企業をベンチマークに設定して説明すれば、「自社の位置付けを客観的に理解して深く考えた戦略を持っている」と示すことができます。

55ページ

これはスタートアップの投資家とのコミュニケーションがベースになっているのですが、これは上場会社でも応用できるように思います。

「どんな会社が気になっていますか」と問いかけられたら「うちは、唯一無二で、そうした存在はありません」という答えよりも、比較のヒントになる具体的な固有名詞を提示してくれる方が理解の助けになると思うんですよね。

ファウンダー・マーケット・フィット

特に重視されるのが「ファウンダー・マーケット・フィット」。これは、起業家のスキルセット、経験、情熱が市場の要求とどれだけ合致しているかを指し、いわば「この市場でこの起業家ならなぜ勝ち切れるのか」というロジカルな理由になります。

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起業家・経営者と、対面市場との相性。なるほど、と思いました。

FOMO has got into him!

FOMOは Fear of missing outの頭文字で、「見逃したり取り残されたりすることへの不安」という意味です。投資の世界では、「この株を買わなければ、相場に取り残されてしまうのではないか」という恐怖を指します。

84ページ

FOMOという言葉、初めて知りました。「相場に取り残されてしまう」と感じている人が瞬間風速的に今の日本にはたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。そういう状況で冷静になって価値をちゃんと見極められるか、が大事なことだと僕は思います。

This company went public too early

ファンドマネジャーが「もったいない」と言ったのは、 A社は成長途中であるだけでなく、海外展開に大きな可能性を秘めており、 IPOの準備や上場後の煩雑さに時間や費用をかけるより、成長事業に集中すべきだったと考えているのです。

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上場する意義、タイミング、順番がどこまで深く考えられているか。企業価値に大きな影響を与えますね。

How do you allocate operating cash flow?

多くのグローバル投資家は、「適切なキャッシュ配分が経営者の仕事であり、企業価値を決める」と考えているのです。

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キャピタルアロケーション” 経営者に投資家の素養が求められる所以ですね。

Which analyst wrote the report?

企業は、長期目線で投資をし、本当の意味で企業と株主にとって有益なアドバイスやリソースを注いでくれる投資家を増やすことが大切です。

140ページ

先にご紹介の”Who has already invested?”に近いお話かと思いますが、投資家と発行体との円滑なコミュニケーション、深い相互理解が企業価値増大に一定の貢献があるものと僕も信じています。

アライメント

投資家と経営者の利害が一致している状態を「アラインメント」と言います。直訳すれば「一列に並べること」、つまり、同じ方向を向いている状態です。

183ページ

アライメントをどこまで実現できるか、これもエンゲージメントの質と量に依存しているように思います。相互の信頼、理解が無いところにアライメントは生まれないでしょうから。

投資は、企業の「未来の価値に基づく」もの

「おわりに」で著者のお一人、髙岡さんがこう述べられています。

もう一度繰り返しますが、投資仮説は世界観、未来をどう想像しているか、が反映されていると思います。起業家・経営者が描く未来を投資家がどれだけ理解しているか、納得できているか、が価値創造にはとても重要なことなのだ、とあらためて認識する読書体験となりました。

Reading As Investing に並べることにしました

トントン拍子に読み進めることができました。これはぜひ紹介したい本!そう考えたので #ReadingAsInvesting に並べることにしました。

グローバル投資家が何を考えているか、起業家・経営者に何を問いかけているのか、を知ることのできる、オススメの一冊です。

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