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「相棒は人工知能」、SS級トレーダーrichmanbtcの考える『botter適性の備わった人』とは〜【前編】

『botterのリアル』特別インタビュー【前編】

✦「相棒は人工知能」、SS級トレーダーrichmanbtcの考える『botter適性の備わった人』とは〜✦


「はじめまして、richmanbtcさん。
近年、AI・人工知能の進化の速度はいよいよスリリングですし、近未来的な様で、生活を見回せばとても身近なものにもなりつつある。実利的かと思えば、深い哲学的な問題を突きつけても来たり、その表情は豊かで眺めて飽きることはありません。
なので、そのAIを駆使した自動売買システムのプログラマー、しかも現役・最前線の方にお会いできるのを今日はとても楽しみにして来ました。
どうぞよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

✦botterというもののイメージ


「発売を前にして千部を優に超える予約も入っているという事で、既にとても大きな反響の様ですね。新刊のランキングでも、かなりの上位に来ている様です。皆さんの関心も高そうですね」

「とてもありがたい事です。期待値と言いますか、“中身を読んでもらう前にハードル上がってるなぁ”と、内心焦ったりもしていますが……」

「企業がボーナス・カットをする傍ら副業を推奨する様になったり、コロナ渦は一定の落ち着きは見たものの、未だ経済の先行きも不透明です。そんな中で、“botterという新しい稼ぎ方”に注目が集まるのは自然な流れだとは思います。
一方で、『richmanbtcさんはプログラミングの特別な才能を持ってるから勝ててるんじゃないの?』とか、『いやいや、良い時期にやったから、たまたま儲かってるんだよ』と思っている方も、正直なところ少なくないのではないかと思うんです。
そこで今日は、
・botterとは、そこで活躍しているボットとは、実際どういうものなのか?
・どんな人に、botterとしての適性があると言えるのか?

を、このインタビューを通して明らかにできたらと考えているのですが」

「良い提案ですね。成果への興味だけでなく、そこに辿り着くまでのプロセスも含めて、深い共感を持って頂けたらと思います」

「プロセスという意味では、場所や時間に縛られない“ノマド・ワーカー”にbotterは含まれそうですよね。
とすれば稼ぎ方に留まらず、“新しい生き方”の可能性としても、richmanbtcさんに興味を寄せている方は多いのではないでしょうか」

「時間や場所に拘束されないというのは、確かにそうですね。組織からも自由です。
一方でbotterというもののイメージが、“良い方にも悪い方にも一人歩きしているな”と感じる事もあります。
新しいことは新しいのですが、皆さんが思っている程には希少な存在というわけでもないのです。実際、それなりの数のbotterが、私以外にもいます。『botter、Twitter』とスマホで検索して頂ければ分かると思います。
なので今日は皆さんに、なるべくその実体を正確に伝えられたらと思います。
“これだったら自分もやってみたい!”という、きっかけになってくれたら嬉しいですね」

✦botterの入り口


「たくさんの謎がありますので、さっそく質問に入りたいと思います。
プログラミングはスキルであるため、万人の方がすぐにできるものではないとの事でしたが、どのくらいの知識があれば始められるものですか?」

「研究や仕事で機械学習を使ったことがある方なら、これと言った準備はしなくても問題なく始められると思います。『Python』というプログラミング言語を私は使っていますが、これは初心者が最も学びやすい言語の一つです。決して特殊ではありません。
理工系の学生や若いプログラマーの方たちならその条件は満たしていると思うので、そうした方たちが、この本の一番ストレートなターゲットになっています。
この本をきっかけにして、新しいことにチャレンジしてみて欲しいと思って書きました」

「例えばプロ野球選手で1億円稼げる様なプレーヤーと言ったとき、田中将大さんや岡本和真さんなど、甲子園の強豪校のエースや4番バッターが浮かびます。その多くは、傍目に見てもかなりの才能を持った選手ですよね。
この点プログラミングにおいても、彼らに匹敵する収入を得ているrichmanbtcさんには、やはり特殊な才能や極めて高度な技術があるのではないかと思ってしまうのですが」

「私がこのフィールドで勝っているのは、才能や技術で突出しているからではないと考えています」

「それでも勝てるのだとしたら、それはなぜでしょう」

「『やっている人が少ないから』という事に尽きると思います。
すみません。先ほどは“希少ではない”と言いましたが、トレード市場の規模から見たら、それでもまだまだ少ないです」

「つまりは、“存在としての特殊性”が勝因であると?」

「その通りです。これは決して謙遜ではありません。
根拠としては、私の用いているAIは最新のものではありません。どちらかと言えば“旧いAI”と言ってもいいくらいだと思います。
今でこそ多少の流行にはなっていますが、その前からAI研究自体はあったわけです。そうした方たちがみんな私と同じ様な事をしていたら、もっと勝っている人はたくさんいたはずです。しかし、そういう話はあまり聞かれません」

「richmanbtcさんだけが“何か特別なツール”を持っているからという事でもないのですね?」

「そうです」

「やっている人の数が少ないのは、なぜだと思いますか?」

「一つには、AIが複雑化すると、“よく分からないものに投資する”という怖さになってしまうからだと思います」

「なるほど。それは実感としてよく分かります」

「その点は、実績が正しく公開されて行けば乗り越えられると思います。
もう一つは、こちらの方が大きいかも知れないですが、『“トレードで稼げる”というイメージが社会に定着していないから』だと思います。旧来の働き方以外の稼ぎ方を敬遠する様な風潮も、まだまだあるでしょう。
繰り返しになりますが、私が勝てているのは、そういう状況の中、自らの判断で取り組んで来たからです。
その意味で挙げられる“1つめの適性”としては、『多くの人がしていない事や、自分が未だチャレンジしたことのないものを、偏見や垣根なく面白いと思える』という事が言えるでしょう」

✦トレードで得られるもの


「この本のメイン・ターゲットは、理工系の学生や若いプログラマーとおっしゃっていました。それはつまり、機械学習の知識があれば適性もあるという事なのでしょうか?」

「もちろん、知識や経験は即戦力的な意味でのアドバンテージにはなりますが、それだけではありません。むしろ、その能力の方が重要です」

「それは、若い理工系の方たちに備わっている能力という事ですね?」

「もう少し抽象化して言えば、“研究に携わる方”が身に付けている能力です。
日本にも様々な研究者がいます。そしてその研究の対象は多岐に渡りますが、共通するのは仮説を立てること、そして検証することです」

「“ラットに投薬をして、反応を観る”とかそういう感じですか?」

「そうです」

「botterのトレードは“科学実験に近い”という事でしょうか」

「まさしく、そうです。
AIに機械学習をさせる前提を整えるために、人間であるbotterは、まず何らかの仮説を立てます。そしてAIに計算をさせるためのベースの情報を収集します。そして最後に検証する。『仮説→情報収集→検証』という流れです。もちろん、それらを通じてbotの予測精度をより良くしていくのが目的です」

「簡素にストイックな作業という点では、スポーツにおける筋トレに近いものを感じました。
筋肉に負荷をかけ、ストレッチをして解し、十分な栄養を採って眠る。この筋力トレーニングが、実はバスケであれサッカーであれ野球であれ必要ですし、あらゆる良いパフォーマンスの土台になります。
そうして見ますと、botterのしているトレードとは、“研究における基礎トレーニング”だとも言えそうですね」

「それは正しい理解だと思います。
その意味では、研究とトレードを並行してやる事で、本業の研究にも良い影響が出る可能性は十分にあると思います。特に若い内には、研究的な思考モデルの訓練にもなりますから」

「トレード一本で稼ぐ様にする人以外にも、得られるメリットはあるという事ですね」

「一攫千金みたいな語られ方もしますが、そこには色んな携わり方があると思います。『自分に合ったライフスタイルを可能にする』というイメージです。
botterの作業は全て一人でできるというのが大きいと思います。自分のペースで、情報収集も自分の管理下で、ローコストな上に、うまく行けば利益も出るわけですから。
そして最も基礎的なゆえに、多くの分野に応用が利くのです。例えば、“情報収集”というプロセス一つ見ても、データサイエンティストとしての素晴らしいキャリアになります。
よりダイレクトな実利もあります。
例えば月に100万円の収益を上げるくらいの成果実績があったとすれば、それは新卒採用にあってもとても有利に働くでしょう。なぜなら、スキルを実際に活用できる人間とは、企業がいま最も欲しがっている人材だからです。そして現在、データサイエンティスト的な人材は圧倒的に不足しています。
例えば、Kaggle(Googleの下部組織)で開かれているコンペティションで優秀な実績を残した人を、採用枠に組み入れている新興IT系企業なんかもこの頃ではあります。そこでは、研究費用に対する優遇措置などもある様です。
この種のスキルの重要性が、漸く私たちの国でも認められ始めた証左と言えるでしょう」

「考えてみますと、新薬実験なら『投与した化学物質でラットの病気が治る→人間にも応用が利いて新薬になるかも知れない→その薬が売れて→漸く売上が出る』わけですが、botterの場合、『実験成功→即ダイレクトに収益』なんですね」

「言われてみるとそうですね。更に言えば、収益は『即、自分一人』に還って来ます。
基礎トレーニングが最高のソリューションである。だから、ひたすらに仮説を立てて検証をする。
私のしている事は、そういう感じです」

「botterというのは、或いはスポーツにおけるボディビルダーみたいなものに位置づけられるのかも知れません」

「筋トレがお金になる。面白い比喩ですが、かなり的確だとも思います。“継続できる”を超えて、それを楽しめたら理想です。そしてそういう人は、必ず強くなるでしょう。
私自身、仮説を立てて検証するという作業に多くの楽しみや喜びを日々感じています。それ自体も好きなのですね。利益の出るのが嬉しいのは、もちろん前提ですが。
その意味では、“筋トレ愛”とは言わないまでも、私も一種の筋トレ・マニアの様なものかもしれません」

<インタビュー後半に続く>

✦TOPIC  KEYWORDS✦

『botterの適性』
1、偏見や垣根なく、新しいものにチャレンジできる
2、スポーツにおける筋トレの様に、『仮説×データ収集×検証→改善』のプロセスを継続できる

・『botter、Twitter』と検索すれば、botterの人たちの発信に触れられる
・プロセスを全て一人で完結できるbot取引は、自分に合ったライフスタイルを可能にする
・プログラミングスキルを有効に活用する経験は、企業の欲しがっている人材にもマッチングする

■ richmanbtc/リッチマンビーティ―シー
月次1億円以上を稼ぐSS級botter(2021年12月現在)。
東京大学卒、東京大学大学院修士課程修了。
大手IT企業勤務を経て独立。WEBサービス企業を経営する傍ら、
2020年3月より機械学習を用いた仮想通貨の自動売買に取り組む。
2020年の税引前純利益は1億9000万円、2021年は10億円に迫る。
2021年からは機械学習による株価予測「Numerai」にも参加、
また仮想通貨bot取引の裾野拡大とbotterの存在を世に知らしめるために本書を上梓した。
Twitterやnoteでも積極的に情報発信している。

©️野咲蓮 2022.01.01


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