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分権が投票率を上げる後押しになるはずだ

前々から政治についてちょこちょこ考えるようになった。それこそ以前書いた「ファッションなノルウェーの政治参加」という記事はそれなりに好評だったらしい。

そして、日本の政治への関心の低さには何が潜んでいるのだろうといくつか根源になるであろうものを頭の中でマインドマップを描いていた。

そして、今日北欧の政治について書かれた本を読んで半ば確信に変わったものがある。

**「はよ、分権しようや」

**

である。以前から人が人を統括できる数には際限があると思っていて、それが北欧にも見て取れた。

つまり、北欧の高い投票率にあって、日本にないものがあるということだ。

日本の人口は減少しているとはいえ1億2000万人もいる。北欧は5カ国を合わせても、2500万人ほどであるのだから、異様にデカい国だあることは言うまでもない。巨大都市東京においては1400万人ほど。それは北欧一の人口を誇るスウェーデンの総人口1000万人を優に超える。

が、ここで考えておきたいのが、日本であれスウェーデンであれ、ノルウェー(人口530万人)であれ、どの国も"首相は1人”であるということ。

人口の数に比例して首相の国が変動することなどない。すると、国民1人あたりの声の大きさは相対的に変動して当たり前である。

仮にどの国の首相も、話を聞く力が100pmあるとする。
#謎に単位をprime_ministerの略pmとする

すると、日本人1人あたりの声の大きさは0.00000083pmで、スウェーデンは0.00001pm。そしてノルウェーは0.00001887pm(≒0.000019pm)となる(デンマーク、フィンランドもほぼ同値)。アイスランドに至っては、0.0002778pmとなる。

わかりやすく並べてみると、

🇯🇵: 0.00000083pm
🇸🇪: 0.00001pm
🇳🇴: 0.000019pm
🇮🇸: 0.0002778pm

この差は歴然である。これをみると、確かに「僕の1票なんて響かないよ」と思ってしまってもわからないでもない。

実際に僕が今日読んだ本にはこのような記述があった。

「フィンランドの若者の投票率はたった10%?」

これは事実なようだ。が、国政選挙ではなくEU議会の選挙で、だ。EU議会の議席数はそれぞれの国の人口によって決まるのだが、ヨーロッパでも小規模なフィンランドの議席数は13と少ない。

「少ない議席数のために進んで頑張れない」

これがフィンランドの若者の言い分だ。これは日本の若者が選挙に行かない理由と極めて近くはないだろうか。

僕の今日の結論は、もっと分権しようや!なのだが、もう少し解像度を高くしてみる。

日本以外の成熟した国を見てみると、どうやら複数の社会組織が合わさって国として成立しているのではと思えてくる。アメリカは合衆国である故、州によってルールが変わっている。イギリスもユニオンジャックに見て取れるようにイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドが合わさっている。ドイツも連邦制だ。

日本はシンプルに人口の多い国で、世界で11番目のようだ。そして、日本の国政選挙の投票率は53.68%(平成29年度衆議院議員選挙)。今年7月の都知事選は55.00%だったようだ。

日本より人口が多い国の投票率はどの程度なのか、少し調べてみた(当たり前だが、それぞれ投票結果は年が異なる)。
#順位は人口規模

3位 アメリカ 56.8%
4位 インドネシア 72.6%
6位 ブラジル 78.9%
8位 バングラデシュ 80.0%
10位 メキシコ 63.2%

元気な国の投票率ははどうやら高い。これだと人口の多い国は分権した方が良いではないかという主張に反する。が、ここで押さえておきたいのがその国の人口構造だ。

元気な国と敢えて表現したのは、若い層が多いということを示すためだ。選挙の投票数によって国の方向性が決まっていくのが前提である。とすると、若い人たちが人口に占めるを割合が高ければその分彼らの声が届きやすくなる。

ここについては日本は同じ文脈で考えるのは難しい。シルバーデモクラシーと呼ばれるほどで、有権者に占める高齢者の割合が高いのだから必然的に政策は高齢者に向けたものになる。だからこそ、北欧を引き合いに出せる。人口には大きな差があるものの、人口構造は極めて似通っている。どちらも成熟した国として知られ、高齢社会だ。

どうやら僕の言っていることはそれなりに筋が通っていそうな感じがするので、北欧の国に近い規模感にまで分権すべきだという流れで終わりにしたいのだが、まだ深掘りする部分がある。

実際に北欧に近い地方自治体の実態だ。日本には、北欧それぞれの国と同じくらいの人口規模の都道府県がある。

スウェーデン🇸🇪(1000万人)は神奈川プラスα / 北海道+福岡
デンマーク🇩🇰(580万人)とフィンランド🇫🇮(550万人)は兵庫
ノルウェー🇳🇴(530万人)は北海道
#アイスランド 🇮🇸(36万人)は少なすぎるのでとりあえず除外

人口規模がポイントであれば、すでに北欧の国と同じ規模感の自治体の結果が当てはまるように思う。が、実態は残酷だ。

神奈川県知事選 40.28%
兵庫県知事選 38.64%
北海道知事選 56.63%
福岡県知事選 42.72%

ここでようやく、日本の政治教育に問題があるのではないか、と見えてくる。

まずは同じような条件に揃えた上で比較を行うことが基本であるように思う。

ここまで書いてきて見えてきた日本の政治の大きな問題点は、
①人が人を統括するのには際限がある
②正しい政治教育の必要性

もちろん言うまでのなく他にも問題点はあって、議員の政治への真摯な態度などだ。

選挙に行かない人を責めるよりも、まずそれを作り出す環境(システム)の改善に努めた方がそのスピードは速いのではないかと思っている。

人ではなくシステムを責めよう。

日本はまた立ち上がれるはずだ。

僕たち日本人もスウェーデン人も同じ人間なのだから。

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