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ノルウェーの高校生から学ぶ『圧倒的当事者意識』

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ノルウェーの高校生から学ぶ『圧倒的当事者意識』
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今日は授業の一環で大学の近くにある高校から数十人の高校生がやってきた。この高校は前のフィールドトリップでも訪問した場所なので、見覚えのある顔がちらほら。グループに分かれてディスカッション。ディスカッションというと少し硬くなるけど、いわゆるミングル(mingle)?、交流会みたいな感じで色々と話した。

テーマは『Participation』

とりわけ子どもの『参加』について。ノルウェーでは小さい時から政治的な話をする機会があって、高校ではYouth Partyという団体もあるそう。そこで学生同士が色々話し合う。驚きなのが、これは授業ではなくて、クラブ活動のような扱いであること。参加が「マスト」なわけではないけど、積極的に参加する。

小さい時から社会のことを考えるのはすごく良いことは間違いない。将来その社会の担い手になるのだから、そういう子ども達がたくさん生まれるのはすごく歓迎すべきこと。全員が政治家にならなくても、自分のことのような意識を持てる市民がたくさんいることはその社会を前に進む力になる。ノルウェー始め多くの北欧諸国では、政治が身近にあって、自治体レベルでは兼業のような形で地方議会の政治に関わる人も多くいる。そういう意味で政治はすごく親しみやすいトピックになっている。

驚いたことに、今日話した高校生達は皆、政治的な話を家族としたり、環境問題の話をするそう。「この政党はいいよね。あの政党はもっとこうすべきだ」こんな感じで日々ディスカッションが行われているらしい。

僕はといえば、かつてこんな経験はなかった。両親と環境問題について話し合ったことなんか記憶の中ではないし、政治なんかなおさら。せいぜい選挙行ったか〜?これくらい。学校でもそんな授業はなかったし、あったとしてもすごくすごく稀にあるくらい。まともな議論というのをしたのは大学1年生の頃だったかな。それなりに勉強してきて、知識はあるけど、それを自分の中に落とし込めていなくて議論が跳ねなかったのを覚えている。

彼らは家で話すとき、友達と話すとき、時として意見がすれ違うことがあるという。でも、その違いが楽しいと言っていた。

「なんでそういう考え方になるんだろう。」

そんな風に互いの違いを認め合って、批判することなどしない。その意見の違いを受けて批判することはないけど、批判的に考えることはする。いわゆる「クリティカル・シンキング(Critical Thinking)」というやつだ。この物事を批判的に考える姿勢はノルウェー社会で重要視されているスキルであるようで、いろんな角度から物事を見る訓練を自然としてきているように思う。

今回のミングルを通してすごく胸を打たれたことに彼らの「圧倒的当事者意識」がある。誰に話を振っても、理路整然として意見をぶつけてくる。意見を言った後には必ずその理由が付いてくる。一人一人が意見を持つことを当たり前として捉えていて、何より「社会の構成員として意見を持つのは当たり前でしょ」そんな風に軽く言い放った女の子のまっすぐな眼差しに僕は胸を打たれた。

ノルウェーでは選挙権は18歳から。今日話した高校生はまだ17歳。まだ選挙権を持っていないけど、すでに政治的にものを考える訓練を受けている。それも無意識に。ノルウェーでは最近選挙権を16歳までに引き下げる議論がされているらしい。この16歳への引き下げについて、僕が「+・−」で意見を聞いたらいとも簡単に僕の球を打ち返してきた。

彼らには『圧倒的』とも言えるくらいの「当事者意識」がある。自分が大きくなったら自分が社会を動かす立場になる。みんながそれを自分のことと思っていて、社会として治安がとても良い。意見を持ち、たとえ他の人と違くてもその違いに興味を持つ。

社会ってそういう考え方を育むところなのかもしれない。それは家族でもあってもそうであるし、2.3人の友達との会話でもそう。その最たる社会が「学校」というところで、こういうクリティカルな考え方を培うのが現代にはまった望むべき教育機関のあり方なのかもしれないと彼らの眼を見て思った。知識や解法を教えるだけではなくて、むしろその考え方を一緒に育んでいくのがいま必要な「教育」というもの。

日本とノルウェーの目に見える大きな違いに「当事者意識」がある。環境問題がなぜ起こるか、これから何が起こるか、そんな知識よりも、それを自分のこととして受け入れて行動に移せるか。この意識の違いが大きいと思う。

意識は高い低いではなくて、有るか無いか。

ちくしょー高校生から学んでばかりだ。

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今日の一枚。圧倒的当事者意識が一番感じられる写真を探したらこれでした。プライドパレードの時の一枚です。この女の子がすごく印象的で、咄嗟にシャッターを押したものの、前の人の頭が、、まあこういう写真もなしではないということで!

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