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「バナナで滑る」は世界共通

こんにちは。
鼻の穴に細長い棒を突っ込んで陰性か陽性か検査できる、デンマークでいうところのクイックテストを受けて、今日はあまりツーンとしなかったのですが、やってくれたお姉さんがシンプルに上手だったからなのか、それとも綺麗な人だったから脳が麻痺したせいなのか、ということを考えながら今年一無駄な時間を過ごしている松木蓮です。

(2984文字 / 約6分で読めます)

さて、今日は「バナナ」から考えるデザインについて思ったことをメモしたいと思います。

僕はそこそこのサウナ好きでして、今日も今こうしてサウナの中でブログを書いてます。まぁさすがにサウナの中は嘘なのですが、椅子に座ってサウナ室の隣で書いてます。

で、今日は何を書こうかなとぼーっと考えながらサウナに入っていたら(この時はサウナの中にいた!)、透明のドア越しにバナナコーンを発見しました。

で、これだ!と思って急いで水風呂に浸かって、急いで整って、急いで書いているわけです。

で、何を書きたいのかというと、デザインってこういう事だよね、ということなんです。

ちょっと整理しながら考えていきます。

▼アートとデザインって何が違うの?

色々な定義があると思うのですが、おそらく一般的な違いとしては、

・アート: 問題提起
・デザイン: 問題解決

です。もう少し解像度高く、具体例を用いながら説明しますね。

まず、問題提起としてのアートは、バンクシー何ががわかりやすいんじゃないかなと思います。

バンクシーといえばイギリスを中心に色なところにストリートアートを描く覆面アーティストとして知られています。

確か、割と最近東京でバンクシー展が開かれていたと思うので聞き覚えのある方も多いと思います。

上の作品は、Black Lives Matterで世界中が揺れたジョージ・フロイドさんの死を受けて描かれたものです。

(今スマホから打ち込んでいて、うまくリンク貼れてるかわかりませんが、バンクシーのこのインスタ投稿のリンクです)

黒人差別問題に対して、バンクシーは先程の作品で持って問題提起したわけですね。これが彼なりの表現で、問題提起としてのアートであるということです。

対する、デザインはというと、、ロゴなんかが分かりやすいと思います。企業ロゴやブランドロゴは、その企業やブランドの顔とでも言えるくらいに重要なものです。

で、認知度を高めて集客力を高める施策として、ロゴを一新するみたいなことがされたりします。

最近だと、佐藤可士和展が話題になっていましたね。僕はめちゃくちゃ行きたかったです。

毎日のように見るセブンイレブンのあのロゴ、Tポイントでお馴染みの黄色と青の四角いロゴ。僕たちが知っているロゴは意外と佐藤可士和さんが手掛けたものだったりします。

今こうして僕が話していて、「あ〜セブンロゴね。」みたいに思った人が1人でも増えるように考えるのがデザインであるということなります。

もう少しわかりやすい例でいくと、男性トイレの的なんかは良いデザインだなと思います。

男性に限った話になってしまいますが、小便が飛び散らないように色々と施策がなされていて、あの種のやり方が1番効果的ぽいです。

つまり、単に「飛び散らないように!」と張り紙を貼ったり、常時監視官みたいな人がトイレで待機していたらどうでしょうか?

おそらく解決しないと思います。どころか、張り紙に関しては、グローザルな令和の時代にはそぐわなくて、日本語を解せない人には自動的に届かないということが起きるんですね。それをあの的一つで解決した、という点であれはデザインとして優れているんだなぁと思うんですね。

さて、ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。

▼バナナコーンというユニバーサルデザイン

冒頭のバナナの話についてですが、僕がいまいるウェルネス施設は床が結構滑りやすいんです。

プールサイドを走ったら転ける、みたいなのと同じですね。なので、僕はビーサンを持参していたりするのですが、サービス提供者としては転びやすいので気をつけてくださいねー!と注意喚起したい。

そこで、バナナの出番です。画像の通り、バナナの形をしたコーンが置かれていて、ぱっと見で「滑るな危険」がわかるようになっています。

僕はこれを見た瞬間、クスッと、いやニヤッとしてしまったのですが、これはわかりやすいデザインの例だと思いました。

先程の佐藤可士和さんのロゴにも便器の的にも共通しているのは、「わかりやすさ」です。

僕はここがデザインの本質だと思っていて、あくまでもデザインは問題解決のために存在しているのだから、単純明快、簡潔明瞭、直截簡明でなければならないのです。

そして、ユニバーサル(普遍的)であるというのも今後より重要になってくると思います。

ヒトの移動が、活発化した21世紀(今は違いますが)に未だに日本語を使ったデザインするのはちょっと辛いです。

もちろんケースバイケースではありますが、言語の壁というのはやっぱり大きくて、僕自身デンマークに住んでいて、デンマーク語で指示されていてもわからないことが多いんです。

これって僕が抱える問題ですよね?それを解決するという大義名分がデザインの生き甲斐なわけなので、ここが腕の見せ所です。

日本では工事現場でお辞儀をした男性(工事中です。ご迷惑おかけしますが、的な)のポールが置かれていますよね。

あれは、お辞儀という日本独特の文化を象徴したものとして、海外ウケするかもしれませんが、本質的な意味をなさないですよね。

言語もしかり、共通認識の取れているモノやコトを溶け込ませることができるかでデザイナーの腕力が明るみになりそうな気がします。

ということで、今日はデンマークで発見したバナナコーンから、デザインについて考えてみました。

以下、補足です。

▼チャップリンはミスターバナナ

先程のバナナコーンを見た時、ちょっと驚きも覚えたのですが、なぜかというと「バナナで滑る」は日本独特のものだと思っていたからなんです。

それで何でそう思ったのかなぁと考えてみたところ、明らかにマリオカートのせいだろ!という結論に落ち着きました。

レースの中でバナナの皮のトラップに掛かったレーサーはクルクル回転してしまう。

これがビジュアルとともに世界中に流布して、気付けばバナナは滑るという認識が市民権を得たのかなと、、だって天下の任天堂ですからね!

でも本当は違くて、大元になっているのは喜劇王チャーリー・チャップリンが出た1915年の映画「アルコール先生 海水浴の巻」にて、バナナの皮で滑るギャグを披露したということです。

これがきっかけで世界中にこのイメージが広まったそう。

で、「バナナ=滑る」というのはイメージかというと、実は実はそんなこともなくてしっかりと科学的に証明されているんです。

世界一名誉ある賞であるノーベル賞に倣って、イグノーベル賞というのがあります。

2014年のイグノーベル賞で、なんとこのバナナの皮があると摩擦係数が下がる(=滑りやすくなる)という結果を発表して受賞までしています。

ちなみにこれを研究したのは我らがニッポンの研究者であり、北里大学名誉教授、馬渕清資先生です。

意外なところでニッポンのアカデミックが世界に知られているようですね。

ということで、やっぱりデザインは面白いなと思いました!

それでは、素敵な週末を!

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