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時間に追われる介護業界

こんにちは。
clubhouseはこれ以上流行らないと思っている松木蓮です。
#意外と鎖国性がない
#雑談感がない
#可処分時間奪いすぎ
#が大きな欠点だと思います


昨日一昨日と続いで書いてきた介護業界が抱える問題点のうち、3つ目の「時間」についてです。「人材不足」「資金難」がこれまで取り上げた問題で、「時間」も同じく大きな問題だと思っています。

厚労省の調査報告などによると、介護サービス事業を運営する上での問題点として「時間」について回答した割合が高かったです。

具体的には「教育・研修の時間が十分に取れない(24.9%)」「指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で、時間に追われている(27.9%)」です(*この質問はあてはまるもの3つ選択するというもので、一番多かった回答が「良質な人材の確保が難しい(55.2%)」です)。

介護業界でよく言われる改善点として、膨大な書類作成があります。何種類もの書類を作成しなければならないので、それに忙殺されてしまうことは容易に想像がつきます。それでいて、介護現場では不規則なことも起こりうるので、不測の事態への対応に時間を取られてしまうこともありえるでしょう。

こうしたことから、教育・研修に充てる時間が自動的に減ってしまうというジレンマがあります。同様の理由で、デジタル機器の導入も追いついていません。もちろん、財政面での問題が一番多いのは言うまでもないですが、仮に導入したとして、それをいかにして使うか、誤った使い方をしないように研修する時間が必要になります(使い慣れるのには時間がかかるようです)。

1日のモデルスケジュールのようなものがネットで見つかるのですが、おそらくこれはあくまでも”モデル(≒理想)”で、現実はもっと多忙なスケジュールだと思われます。

加えて、通所サービスと入所サービスの場合とで時間の使い方も変わってくるので、一概に比較できません。


▼取れない有給休暇

平成31年より「年次有給休暇の新規付与日数10日以上の者における年5日の取得」が義務化されましたが、令和元年度の年次有給休暇の平均取得日数は7.0日でした。一番多かった職種は看護職員で7.6日、一方で一番少なかった職種は介護職員と生活相談員で6.8日。

なぜ取れないのかは、「時間」という域を越えて「人材不足」にも繋がります。労働条件等の悩み、不安、不満等に関する回答結果から、「人手が足りない」と答えた割合は55.7%と過半数、これが巡り巡って「有給休暇が取りにくい」の27.6%に繋がったと考えられます。

ただでさえ人員不足であるのに、自分が有給休暇を取ってしまったら、その穴埋めをする人がいない、という葛藤に陥るということですね。これは介護業界に止まらず、他産業でも言えることだと思います。


▼介護業界が抱える3つの問題

「人手不足」「資金難」「時間」が大きな問題としてあります。それぞれが独立した問題となっているのではなく、それぞれが複合的に錯綜して問題を生み出していると言うふうに考えた方が良いです。

資金難が人手不足を呼び、人手不足が時間不足を生み出しているように。

ということは、(論理的に考えて)こうした錆び付いた歯車を円滑に動かすには、潤滑油を差してあげることが喫緊の課題です。諸悪の根元となっている根幹を根絶やしにすることがまず必要であると思います。

おそらく介護ロボットが普及するのは向こう10年、20年の話ではなり得ません。ただでさえ書類作成がアナログな形で行われているので、そこから簡略化していくことが一番の近道になるかと思います。

仮に賃金をあげたとしても、人は集まってこないでしょう(月給100万とかにしたら集まると思うけど)。介護従事者は低賃金にしろ、仕事にやりがいを感じ誇りを持って働かれている方は多いです(→勤続意欲は年々上昇)。つまり、金銭的なインセンティブがあったとしてもゆくゆくは介護業界のことが好きな人しか残っていかないのだと思います。

限られた、そして今後もっと限定的になる人的資本の中で、どのようにして老年介護をしていくかの第一歩は旧態依然とした制度・システムの改善だとひとまず結論付けておきます。

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