見出し画像

黄色いワタリガラス〜ノルウェーの自警団〜

————————————————————

黄色いワタリガラス〜ノルウェーの自警団〜
————————————————————

(※最後に北欧なぞかけあります。)

黄色い身を纏ったカラス達は、ノルウェーの夜を監視し、その治安維持に努めている。警察でも消防でもなく、自発的に安全で健康的なまちづくりに率先して動くいわば自警団のような存在だ。

そんな団体の活動に参加した時の話。Night Raven(夜のワタリガラス)というソーシャルワーク集団は、毎週末(金、土)の夜に、街の治安を守るために深夜に歩き回る。喧嘩しよう者を見かけるのなら、遠くからでも声をあげて事前にそれを抑止する。声を上げるだけでもちろん手は出さない。一線を超えそうであれば、すかさず警察と連携をとる。道端に落ちている空瓶を見つけては、酒に酔った者が凶器として使わないようにゴミ箱へと運ぶ。建物の隅っこで1人で座るものを見つければ優しく声をかける。

黄色い蛍光色のダウンが彼らの証であって、彼らの存在は住民レベルで浸透している。すれ違う人の中には、気さくに話しかけてくる人も少なくなくて、そこからこのカラス達の公明正大さが垣間見れた。そう、黄色いカラス達は決して怖い存在などではなくて、あくまでも住民の健やかな暮らしに寄与する影のヒーローだ。

空を飛び回る黒いカラスとは一転、陸をテクテクと歩き回る優しいカラス達がノルウェーの冬の夜をそっと温めていた。


————————————————————
Night ravenという縁の下の力持ち
————————————————————

前学期の授業の一環で訪問したソーシャルワークグループ ”The nightravens”。金曜日と土曜日の深夜に街を歩き回って、(特に)若者の犯罪や暴力行為の抑止に努めている。

その時は、「ふーん」と肩肘を突きながら話を聞いていたけど、数ヶ月が経った最近、思い立ったかのように参加したいと連絡してみた。すぐに返信をくれてボランティアメンバーとして温かく向かい入れてくれた。

その活動に昨日(土曜日)参加してみた。長々と、事細かに状況の説明をするのは辞めにして、特に印象的だった点を1つだけ。

「街のみんながこの団体を知っていた」

3人1グループで歩くのだが、すれ違う人の中に話しかけてくる人がたくさんいた。それほどにこの活動が知れ渡っているのかと感動して、どうやってここまで存在を周知できたのか?と聞いてみた。

すると、「中心地の他にもエリアごとに同じ活動をしているNight ravensがいて、彼らの多くはその地域に住んでいる親世代(時として爺ちゃん婆ちゃん世代もいるとか)なんだよ。」と。なるほどなるほど、お母さんお父さん達が深夜に見回りをしているから、それをみて育った子供達はその存在を知らないわけがない。

黄色く光るジャケットに身を纏った人たちを見ては、ハイタッチをしてくれるハイテンションなお兄さんや若者達。初めての参加だったけど、いざカラスの一員になってみるとなんだか誇りを持って堂々と歩けた。それは、「黄色いジャケット(信用)」を通して知らない人たちを繋がっている気がしたからだと思う。こうやって街の保安を維持しているのか。すごくすごく勉強になった。

誰の町で、誰が住んでいるのか。

みんながお互いを知っていれば、きっと犯罪なんて起きないだろうし、いざという時には助け合える。醤油や塩の貸し借りが普通だった時代ではこうして助け合いながら町が広がっていったはずだ。

いつしかそんな大切さをどこかに置いてしまって、他人事として捉えるようになってしまった現代人。無機質なコンクリートジャングルの生活には、こうした有機的な繋がりがやっぱり必要だ。


どんな技術を使って、どんなデザインをすれば住みやすくなるか。

そんな斜め上のデジタルな街づくりばかりにワクワクしていたけれど、数歩後ろにあるぬくぬくとしたアナログな精神性を忘れかけている。

空を飛び回るスマートな黒いカラスも必要だけど、陸を歩き回るハートフルな黄色いカラスもきっと必要なんだと思う。

———————————————

[北欧なぞかけvol.2]
「フィンランド」と掛けまして、「三人衆が大衆に立ち向かう」と解きます。その心は、どちらも〇〇○○。*○の数は関係ない

わかったらコメントくださいー。
今週も素敵な一週間を!!

あ、写真はnight ravenの休憩中にいただいた魚の料理です。バー(Bar)とも連携しているみたい。めちゃめちゃ美味しかった!

画像1

いただいたサポートで、心の栄養を蓄えようと思います。よかったらサポートお願いしますo(^▽^)o