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アイスクリームとおじまさと

私は、街中で連呼される「○○の秋」と、鼻の詰まり具合で今の季節を感じていた。風情なんてあったものではない。

この歳になると、コンビニに置いてあるご祝儀袋が無意識に目につく。今の世の中の結婚観に不満を抱いてるわけではない。ただ、友達と話してる時、恋バナのネタを提供できない自分に、虚しさと無力さを感じるのである。
マッチングアプリも勧められたのだが、言葉では言い表せない抵抗感があった。
そうして私は、今週もいつものように自分を労わることにした。

おじさま…!

毎度のことであるが、素晴らしい。一言でまとめてしまうのは不本意だが、止まらなくなるので割愛。

おじさまのカゴの中には、ビールと数袋のおつまみがある。きっとこの後、あの部屋着(※エレベーターとおじさま参照)で、おしゃれな家具に包まれ、大人の時間を楽しむのだろう。

んぁぁあ!そこの空気だけ持って帰りたい…!!

おじさまがアイスコーナーに向かう。
アイスを買う時、いつもおじさまはチョコ味を買う。定番の味というのは美味しさが保証されており、なかなか抜け出せない。しかし、今日は滞在時間が長かった。まだ迷いをみせるような手で、おじさまはそのアイスをカゴの中に入れた。

タピオカ味!!

会計を済ませてからのおじさまに、迷いは一切見えなかった。
その姿を見て後に続く私。タピオカ味のアイスを手に取り会計を済ませ、店を出る。


少しの好奇心と不安の中、私は先ほど買ったアイスを開け、頬張った。ふわっとタピオカの柔らかな味。

「美味しいじゃん」

一口目の味が残るか残らないかの境目で、私は携帯を取り出す。携帯にはマッチングアプリのダウンロード画面が映っていた。


いつもご覧いただき、ありがとうございます。れんこんです。
深夜の投稿になり、すみません。
これからもおじさまシリーズをよろしくお願いします!

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