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ペンギンは右の翼に板をくくり付けていた。

 直線上で迷っているペンギンがいた。白地に黒の模様のあるタイルを一列に並べた道を歩いていた。

 うつむいて歩くペンギンは右のフリッパーに板をくくり付けていた。その格好が板に付いていた。

 板には直線の影が縦に浮んでいた。直線の影の一部が丸くふくらんでそこだけが点滅していた。

 どうやらそのちかちかする点滅が自分のいる位置を示すらしい。そのことはすぐに忘れたが、見るたびに思いだした。

 直線上の点滅が消えることがあった。すると不安になった。そんなときには、左の翼の先で板をこすってスライドした。

 スライドしてちかちかが見つかると、ほっとした。とことこ歩いている自分の姿を上から見ているような気がした。そんなとき自分は影だと思った。

 ちかちかと、とことことが連動しているようで楽しかった。同じことをくり返している。そんな考えが浮んだが、すぐに忘れた。

 お腹が空くと足もとに魚が転がってきた。眠くなれば立ったまま眠った。板に映っている影の夢を見た。別に不満はなかった。

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