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Winter Break3: 芸術の都パリで青春時代の思い出に浸る〜社会人17年目のイギリス留学🇬🇧

今日の写真はパリのルーブル美術館です。課題を出し終えて、次の学期が始まるまでに時間があるので、パリ観光をしてきました。 

最大のお目当ては、オランジュリー美術館とオルセー美術館。
モネ、ルノワール、ゴッホなどなど、10代の頃から大好きな絵画に囲まれうっとり。今まであまり気に留めたことのなかったミレーやカイユボットの絵にもお気に入りが出来ました。
芸術の都パリは、そのときどきで、新たな刺激をくれる場所でした。

青春の思い出〜ルノワールとの出会い

20年以上前の大学受験の真っ只中の高校生の頃、勉強の合間の楽しみは歴史の資料集で、さまざまな時代や国の文化を眺めることでした。
その中に、見開き1ページで、ヨーロッパの絵画の歴史を並べたページがあり、私のお気に入りのページでした。
当時の美術の先生に、資料集を見せてこのページが好きなんだ、と話したところ、"この中でタッチが大きく変わるところがあるんだけどわかるかな?"と聞かれました。
印象派が登場する前後かな?と感覚で答えたところ、"そう。この頃にカメラが登場して、絵の意味を考えるようになって、印象派が生まれたんだ“という解説をしてくださいました。
また、中でも私がルノワールの絵が明るくて好きだ、この絵を見ているととても幸せな気持ちにになる、と話すと、ルノワールは黒の絵の具の代わりに、ラピスラズリを砕いた青の絵の具を影を描くために使ったから、黒を使う絵よりも明るく見えるんだ、という話をしてくださったのも、とても印象深い思い出です。
大学に行ったら、パリのオルセー美術館に行って本物を見たい、と憧れを抱いたものです。

見るものを幸せな世界に惹き込むムーランドラギャレット。
パリ郊外のダンスホールを描いた一枚。
ルノワールの描く幸せな人々は私たちを笑顔にしてくれます。

モネの色彩

大学生になり、バイト代を貯めて向かった先の一つがパリで、お目当てはもちろん、オルセー美術館でした。
ルノワールの絵を見た時の感動はもちろんのこと、友達と2人で横に並んで見たモネの色彩の美しさは、息をのむものでした。友人が、"なんでこんなふうに光が見えたんだろうね"、と呟いたのを覚えています。
ルーアン大聖堂の連作の前だったと思います。他にもサンラザール駅では、煙が生きているかのようで、汽車が入ってくる音が聞こえてくるように感じましたし、パリ祭では祝日を祝う人の喧騒、日傘を指す女性の連作ではさんさんと降り注ぐ日の光のまぶしさを感じたのです。
教科書の印刷では感じることのできない筆のタッチ、でこぼこした油絵を直接見ないとわからない美しさがそこにはありました。
その翌日、モネに感動して別行動をする予定が結局、一緒にモネの"印象〜日の出"を見にマルモッタン美術館に行ったように記憶しています。

霧に日の光が反射するロンドンの国会議事堂。

睡蓮とオランジュリー美術館

モネの睡蓮の連作で有名なオランジュリー美術館は、今回の最大のお目当てで、初訪問でした。
この美術館は第一次世界大戦が終結した際に、モネが当時の首相であるクレマンソーに対して、睡蓮の絵の寄贈を申し入れてできた美術館で、睡蓮のための美術館と言ってもよいものです。
壁一面に、モネの睡蓮が飾られていて、中央のベンチに座って遠くから眺めるもよし、近くに寄ってモネの筆のタッチを感じるもよし、です。

平和への祈りが美術館には込められていて、館内ではモネの遺志を尊重して、平和への瞑想の場となるよう、静かに鑑賞してください、とガイドが書かれています。
モネはどんな日々を過ごしながらこの絵を描いたのかな、と想像しつつ、美しいものを大事にするパリの街そのものが、芸術家やアートを愛する人にとって特別な場所であり、大げさかもしれませんが、美しいものを共有することは平和で公正な世界に必要なのかもしれない、と感じました。

夕方の美術館は人も少なくゆっくり鑑賞できました。
思い思いに眺める人々。
壁一面の睡蓮の絵は私たちを静かな世界に誘います。

生きる人のリアリティ

今回、オルセー美術館で新たなお気に入りの絵ができました。
ミレーの落ち穂拾いと、カイユボットの床削りの人々です。
学生の頃とは違って、ただただ幸せであることだけでなく、働くことの中にある、なんとしても生きるんだ、という人間あるいは生き物としての渇望や、その背後にある生きることのよろこびのようなものを感じたのです。

ミレーは、印象派より前の時代で、全体的に暗い色合いなのであまり好きではなかったのですが、懸命にその日の収穫作業のあとの夕方に自分たちが食べるための落ち穂を拾う姿は、どんな時も逞しく生きることの価値(virtue)と美しさを気づかせてくれているように感じました。

美術館のサイトより。
どんなに疲れて腰が痛くても、落ち穂を拾う姿は、生を諦めない美しさを感じます。
カイユボットの床削り。
右側のワインボトルからエネルギッシュな生を感じます。

カイユボットの床削りは、働き始めたばかりの日々を思い出させてくれる一枚でした。
仕事をしながら、"今日飲みに行こうぜ!"、"えー、俺はパス"、"なんだよつれねーなぁ"、って聞こえてくる感じがしませんか?働くことの中には、きついこともつらいこともあるけど、その中で生まれる人間関係や職人としてのプロ意識みたいなものは、尊いなぁと沁みるものがありました。
ちなみに、音声ガイドによると、カイユボットは資産家の生まれで、絵が売れるかどうかもあまり気にしなくてよい恵まれた環境であり、むしろ他の画家を支援していたそうです。
労働者に対する愛情と尊敬みたいなものも感じられる一枚です。

おまけ〜もしかして知り合いなんじゃ?と思う彫像たち

ルーブル美術館にも訪れました。
以前訪れた時も、何度ミロのビーナスを目指してもサモトラケのニケの彫像に辿り着いてしまい、結局時間切れになった記憶があったのですが、記憶通り、巨大で複雑でした。。
また事前にしっかり研究して訪れたいと思います。ここだけで2泊3日くらいかけられると思います。
一緒に行った友人も、まさかここまででっかいとは思っていなかったようで、2人ともへとへとになりました。

事前知識ほぼなしで楽しめたのがエジプトエリア。
彫像が誰かに似てる気がするんです。しかも愛嬌があるお顔をしてらっしゃる。

イチオシはこちら。絶対、知り合いの祖先だと思う。
こちらは有名なファラオですが(たぶんアメンホテプなんちゃら)、いますよね、こういう人!
エラそうな面構えにも人間味があります。
これは、神格化されすぎていて、あんまりいないかな?

こちらは、オルセーのものですが、人間味あふれておじいちゃんなのに可愛らしい。彫刻も詳しくなりたいなと思いました。

オルセー美術館より。
ジブリの映画に出てきそうじゃないですか?
風立ちぬ、の会議のシーンあたりで。

なお、今回はミロのビーナスもサモトラケのニケも鑑賞できました。そんなルーブル美術館の名品を最後にどうぞ。

ミロのビーナス。
正式には、アフロディテ像だそうです。
けっこう、筋肉質。
サモトラケのニケ。
もとは戦勝記念の像だそう。
勇壮な感じがしますね。
モナリサ前の人混み。
なんとか目の前まで行きました。
豪華な回廊には。。。
太陽王(ルイ14世)の王冠。

芸術は、時を超えて、人を繋ぐなぁと感じた旅でした。

それでは今日はこの辺で。
みなさま、ごきげんよう。

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