引退

ここ数年いや数ヶ月
芸人の引退というなんとも寂しい感じの漢字2文字を
よく目にする。

今の世の中
異常発生したイナゴのように芸人という肩書きを持った人たちは多い。

だからこそ引退という言葉も多く目にするのかなと思っていたのだが
ちょっと考えてみたら、イヤ違うなと・・
恐らくこれは僕が芸歴が14年でいい歳になっちゃったから
この「引退」という文字が突き刺さるだけなんだと

20代の頃からこの芸人の引退という言葉は耳にしているが
きっとピンときてなかったのだ
現実味がないし辞めるとかじゃなく今から始まっていくのだから

未来に向かって突き進む若者には
引退などという言葉はどこか遠い国の争いや事件にも似た出来事として
右から左へ流れていっていたのである。

そんな若い時代から時は流れ現実として「引退」という言葉が
より身近に自分の事のように

対岸の火事だった出来事が身内の不幸のように

自分の精神にダメージを与えてくる。

それプラスまだまだ若いと思っていた後輩や仲間も
みんな芸歴10年超えの30超えも多い

かつて輝かしい未来へ向かってがむしゃらに駆け抜けたり
遠回りしながらも着実に未来へむかって行っていた勇敢な戦士も
気づいたら身も心も財布の中身も将来も人間関係もボロボロの
負傷兵になっている。

メンタルの弱い中堅、ベテランは多い
パワフルで頭の回転もまだまだ速くて
なんだこのおっさんって人ほど
メンタル弱い人多い。

現実わたしもそうであるし、私の周りの中堅もそうだ。
もれなくそうだ。

必死なのである。若い人においてかれないように

時にはピエロになり
時には威厳を見せたり
普通にいたいのに普通じゃいられなくなる。


精神的に疲弊してお笑いをやってる人間も多い
じゃあなんでそんな感じなのにやるのか?
すこしでもこの天国のような地獄に居続けたいからである

経験として知っている
先に書いた若い芸人に負けないようにして疲弊する方法を取らずに、
年齢に見合った行動をしてしまう芸人がどうなるか

「まぁ同じステージで戦ってないしな」

「新ネタの感性古すぎない?」

「所詮じいちゃんだから」
などと声に出されなくても舞台袖で感じる
戦うことを落ち着かれてしまった元々戦ってた人たちへの
皆からの老いぼれをいたわる空気感
これをわかっているから、

こうはなりたくないと思っているから

どちらにせよいつかはああなるとわかってはいるからこそ

あがきもがき這い上がろうとするし


30後半や40代でめちゃくちゃおもしろい新ネタつくる先輩が
超かっこいいとわかっているからやり続けるのである。



と、ここまで3月くらいに書いて放置していたのだけど

今現在の私は引退どころか

未来に向かってがむしゃらに走っていました。

人のメンタルなんてその時その時期によっていくらでもかわるよ。
だから恐いし面白いね。

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