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私の本棚:結局素直な人は最強なんじゃないかと思う話

「結局素直さって最強なんじゃないかと思うんですよね」と、先日髪を切ってくれる美容師さんがふと口にしました。
そのお店のスタッフについて話をしていた時で、彼はわたしが聞く限りとても素直。素直で行動力があるから成長もはやい。
そんな話の流れからです。
不思議と、その数日前も、素直さについて人と語らうことがありました。
そういえば、人事の仕事をしている時「面接で人の何をみているの?」と初めて聞かれたときに、口からでた言葉は「素直さ」でした。
こうやって、何度か降ってくる言葉には、その時の自分の必要なテーマがあるのではないか、と、単純に思ったりできるのが、結構自分の好きなところでもあったりします。

そんなきっかけから素直さについてぼんやりと考えてみました。

そもそも素直さってなんだろうか。


そんな中、自宅の本棚に目をやったときに、
久しぶりに目に止まった本がありました。




松浦弥太郎さんの「正直」。
数年前にかって、何度も読み返した本。
当時あまりに、自分の心にフィットした言葉がたくさんあって、ページにはたくさんの折り目がついていました。
熱中して読んだことがよくわかります。
わりと、本は汚しながら読むタイプです。
その中の目次にあった言葉のひとつ。

「限りない素直さを」

これやん、これこれ。
そして自分の考えていたことと照らし合わせながら、数年ぶりに数ページをじっくり味わって読みました。

素直さってなんだろう

すべてに対して、限りなく素直であること。
自分に関係のないことはひとつもないという姿勢で生きるために、限りなく素直でありたいと思っている。
素直でなければ学びはない。チャンスもないし、出会いもない。
素直でないとは、いわば自分のすべてを閉じてしまうこと。
素直さを失ったら成長が止まる。
その人の若々しさを決めるのは、年齢ではなく素直さだと僕は思う。

松浦弥太郎「正直」より引用


ここのところ素直さとはすなわち「受け取り力」なのではないかと思うようになりました。
受け取るというのは、例えば投げられたボールをしっかりとホールドするようにキャッチする重めの「受け取り」もあれば、誰かにポンと肩をたたかれ、ニコッと会釈するくらいの軽めの「受け取り」もあると思います。

いずれにしても、目の前でおきたこと、人から言われた言葉、それを「受け取ってみる」。

素直さになるというのは案外難しいかもしれない。
でも、素直さは磨けると思う。
わたしも今は、わりと素直と言われるけれど、決して素直なタイプではありませんでした。
20代までは結構人や物事を区別していたし、白か黒かはっきりしたいタイプでした。
でもその時の自分は、多くのことを本当の意味では受け取っていなかったなぁと思います。
何かから自分を守ろうとしていなぁとか、
何かおきた出来事も、心の奥底では誰かの、何かのせいにしていたように思います。
もっといえば、誰かがかけてくれる感謝の言葉や、あなたのこんなところが素敵という言葉も、心から受け取っていませんでした。
そうなんだ、へええ、くらいに思っていた。

でも30代になり、仕事でも責任が増したり、人との別れとかを経験する中で、それではうまくいかないぞと思うことが増えたときがひとつ大きな転機でした。
その時やってみたことが、言葉や、起きた出来事を素直に「受け取る」という訓練でした。

「今までの人生人から感謝されたりしてきたはずなのにその言葉ちゃんと受け取ってきた?」
「まだ仕事の時に人の陰に隠れてるよね」
「俺の顔色うかがうんじゃなくてあなたがどうしたいかが大事なんだよ」

コレ全部、この10年くらいで私が人から言われたこと。言われた瞬間は、そんなことない!と否定的な気持ちになったり、どういうこと??と頭に疑問符がうずまいた。
自分では無自覚なことばかりだったからです。

悔しいけど、よくわかんないけど、とりあえず受け取ってみる、ということをしてみました。
受け取った上で、咀嚼しようとしました。
このことだけじゃなく、ありとあらゆる場面があったし、ありとあらゆる言葉を人から言われました。
でも、一度受け取って、この出来事、言葉はなにを教えてくれるのか?ということをやりつづけました。
そのトレーニングには、人や機会の力をかりながら何年もかかったけど、ようやく今、素直であるということの価値を、なんとなく理解してきました。
当時受け取りきれなかった言葉も、時を超えて、今はしっかりと受け取れたと実感してます。
そういうことを繰り返すうちに、自分という人間に一致感みたいなものが増してきたように感じます。
一致感がますほど、どんどん肩肘はらず、心は自由になっていく。どんな場面でも、自然体でいられることが増える。
すなわち、楽しくなる。

大人になればなるほど素直さは育てる必要がある

大人になればなるほど、意識をしなければ、どんどん素直さは失われるように思います。
経験の中から自分が見出した答えのようなものを握りしめがちだからです。

筆者は「読書」は最高に素直になれる時間だといいます。
それはわたしもとても共感します。
本を読むというのは、誰かの体験したこと、そこから生まれた考えをそのまま受け取ってみる行為だと思うから。

さまざまな人と出会い、話してみるのもよいと思います。
できれば、年齢も職種も性別も、生まれも育ちも幅広い方が良い。
別に安易に人脈を広げましょうという話ではなくて、自分が生きてきた世界、そこで得たものの見方なんて、ただのひとつに過ぎない、というのを知っていることが大切なんじゃないかということ。
自分が知らないことなんてまだまだあると思う方が、きっと素直になれるんです。
自分はまだまだ何もわかってない。そう思えた方が、目の前の出来事や、人の言葉を、受け取ってみようと思えるから。

「なんでも素直に受け入れたら、騙されたり、損をするのではないか」と不安かもしれないが、損得抜きで、まず受け入れ、素直に信じることが、ひとつの経験になる。結果として失敗しても、いつかしっかり糧になる。
「なんでも受け入れたら、自分が乗っ取られてしまうのではないか、自分らしさを無くしてしまうのではないか」と心配かもしれないが、それは杞憂だ。時には傷つき、苦しみを味わうこともあるかしれない。しかし、人生とは、ピカピカの新品のままの自分を守ることではない。
自分の中で、咀嚼し、消化していけば、やがて自分の血肉になる。素直に受け入れた知識は、いつのまにか自分のオリジナルになってゆくのだ。

松浦弥太郎「正直」より引用


受け取るとはすなわち、自分ごとにすること。
素直な人は、物事を自分ごとにする。
だからきっと、その人の唯一の輝きを生んでいくんだとかろうなぁと思います。

余談ですが、ここから30日、noteを毎日更新してみることにしました。
これも、noteの更新が続かない、ネタに困ると美容師さんにいったところ「お題やテーマがだされてるからそれで書いてみたらいいんじゃないですかねー」とさらっと言われたから。
あ、そっか、と受け取ってみました。

わたしもまだまだ受け取り力を磨き中。


#わたしの本棚


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