面接が通らないと思った時に、大切なこと
採用の仕事をしていると、初対面の人とたくさんお話します。
私の場合、会社が20倍に急拡大したこともあり、面接だけでも数千単位、会社説明会やイベントなどもふくめれば、万を超える方とお話してきたとおもいます。
(正直、数えられません…笑)
そんな中で、とくに新卒のみなさんから、
面接でうまく話せなかった、伝えられなかった、という悩みをきくこともあります。
ちょっとしたことで変わるのにな。
そう思うことも少なくありません。
そんなちょっとしたヒントの1つを書きたいと思います。
面接が通らず不安な気持ちだけつのる
先日、一名面接した学生さんがいました。
聞いたところ、何社か受けているけども、思うように面接が通っていない様子。
なぜなのかわからず、本人も悩んでいるんだろうなという顔をしています。
(もちろん、悩み相談をされたわけではありません)
そんなこともあり、ちゃんと喋らなきゃ、きれいに話さなきゃと思っているのがよく伝わります。
「きれいに話すこと」はできている。
でも、様々な質問を重ねても、
こちらが感じたいことが全くみえてきません。
しゃべれどもしゃべれども、彼女がどんな人なのかわかりません。
そして、こうなってしまうことはあまり珍しいことでもありません。
ひとしきり、彼女の話を聞いたあときいてみました。
「えっと、普段もそんな感じなんですか?」
彼女はきょとんとした顔で、
「いや、普段はもっとおしゃべりで…」と、モゴモゴ気まずそうに答えました。
わたしには、おしゃべりどころか、心を閉ざし切った人にしか見えません(笑)
「そっかー。じゃあ今はだいぶ緊張してるんですかね。緊張しててもいいし、もっと普段通りでもいいですよ」
わたしもそう伝えてまた質問をつづけました。
すこしだけ彼女はゆるんだようにみえました。
正直にひらいてみると変わることがある
終盤にさしかかり、何か質問ありますか?と聞いた時、彼女にこう聞かれました。
「佐々木さんが思う、輝いてる人ってどんな人ですか?」
わたしの会社の信条として「輝いた大人」というのがあります。それは、特に「こうあるべし」という定義があるわけではなく、その人らしさを発揮している状態、ということです。
ただ、彼女の中ではその言葉に対して、何かヒントを得たかったのかなと思いました。
彼女がほんとに聞いてみたいことをきいているな、正直な気持ちで聞いているなと思いました。
(よくある定番の質問をきかれても、ほんとにこの人それ聞きたいのかな?と思うことは多々あります)
「そうですね、もちろんどんな人の個性も素敵ですけど、わたし自身は、想いとか、熱量とか、情熱とか、そういうものをもってる人にとても惹かれるし、素敵だなって思いますよ」
その言葉をきいたとき、彼女の目の輝きが、一瞬で強くなりました。
「わたしも、熱量ってとても大事だと思っていて」
そこから、自分が学生時代に、熱量を持って取り組んできたこと、いいものをつくりたくて葛藤しながら、周囲との関係になやみながらも、一生懸命に取り組んできたことなどを話してくれました。
話し方は決して上手ではなく、まとまりもありませんでした。
でも、彼女がどんな人生を歩んできたのか、その片鱗がやっと見えた気がしました。
1時間ほどの面接が終わり、最後に彼女にきいてみました。
「最後までしゃべってみてどうでした?なにか最初と違いありましたか?」
「最初より最後の方が自分の言葉で喋れるようになったと思います」
彼女はそうこたえました。
顔も少し、高揚しているように見えました。
ひととおり、面接の感想やフィードバックをした上で、最後にこう伝えました。
「最初は正直なところ、あなたがどんな人かまったくよくわかりませんでした。
それはきっと、やったことの事実を一生懸命並べてはくれたけど、あなたがそこでどんなことを感じたのか、どんなことを思ったのか、それが全く見えてこなかったからだと思います。
でも、面接官が知りたいのはそこなんです。
あなたがその出来事からどんなことを感じたか、どんな気持ちがあったのか、そこにあなたらしさがみえるんじゃないかな。
だから、次からはそこを意識するといいですね」
彼女がどんなことを感じたのかはわかりませんが、
次の一歩を前向きにふみだしてくれたらいいなと思っています。
気持ちをのせて対話してみる
もちろん、企業によって、面接で見ているポイントは違うとおもいます。
でももしも面接に通らない、うまく話せない、伝えられない、そんなふうに思っている人がいるとしたら、どこか肩肘をはりすぎたり、よく見せようとしすぎたりしているのかもしれません。
面接官は敵ではありません。
そしてまた、面接官も万能ではないのです。
話を引き出すのが上手な面接官もいれば、まったく引き出すのがうまくない面接官もいます。
残念ながら、面接する側のスキルにより、話しやすさもかわるでしょう。
彼らも同じ人間です。
それに、あなたの生きてきた何十年という人生を、
たかだか30分から1時間程度ですべてを理解するなんて、不可能なんです。
「わたしの何をわかるというんだ!」と思うこともあるでしょう。
それでも、少なからず近い未来に一緒に働く仲間をさがしたい、あなたがどんな人か知りたいと思っているはずです。
なので、そんな彼らに心を少し委ねる気持ちで、お話ししてみるといいのではないでしょうか。
聞きたいことを、そのまま聞いてみても良いとおもいます。
出来事そのものよりも、あなたがその裏で何を感じたか。そこにあなたの魅力や個性もたくさん詰まっています。
全ての人ではなくても、きっと、そんなあなたをいいなと思ってくれる人が、どこかにいるはずです。
応援しています。
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