猟奇的な彼女が最後まで猟奇的だった話(お付き合い編)

彼女「部屋で作業させてもらってもいい?」
僕「うん?いいよ」

取り出される電動ノコギリ

飛び散る木材粉塵

僕阿鼻叫喚


どうもみなさんこんにちわ。
れんにゅーです。
前回までのあらすじ

さて、ぶっ飛んだ子とお付き合いを始めた心はキムタク、実質キラキラ残留田舎ボーイの僕でしたが、この子がとても猟奇的な子でした。

彼女はアーティストでした。
僕も曲がり者なりに趣味で舞台芸術をしているので、苦し紛れにアーティストを自称していますが、彼女はまぁ”ぶっ飛んだ”アーティストでした。

スペースがあるからといって私の部屋で電動ノコギリを使い始めるなんて日常茶飯事。
電動ノコギリならまだ可愛い方。

時には塗装スプレーやらシンナーやら使うもんですから

僕の部屋は下手なアトリエよりアトリエの匂いがしていたといっても過言ではありません。

布団はもうカラフルに、それこそジャクソン・ポロックかな?というデザインに変わり果てていました。

ジャクソンポロック

部屋にトンカチやらノコギリが散らかってるなんて当たり前。
赤いインクなんて使った日には、

誰かの死体処理したよね?

という惨状が日常と化していました。
しかし心がキムタクの私は「あのバカ(苦笑)」と振り回される感じに満足しておりました。ええ、救いようのない阿呆です。

それ以外にもぶっ飛んだエピソードは数々。

ある日家に帰ると、整理整頓をしていた部屋が、

ジャッキー・チェーンが撮影に使った?

というぐらい部屋が散らかってました。

え、もう最早君がジャッキーなの?
クリス・タッカーも来てたの?

ラッシュアワー

こだわりのお部屋がよくあるゴミ屋敷と化していました。
アイディアが出ずにむしゃくしゃして散らかしてしまったそうです。

「はは、このお馬鹿さん」

馬鹿は僕です。一体どうやればその発想に行き着くのか。

他の日には、僕の留守中「ベランダに通じるドアを壊してしまった・・・」と連絡を受け

「ああ、まぁ鍵とか壊したんだろうな」
と帰宅してみると、

窓自体が消えているではありませんか。

巧もびっくり、フルオープンです。


しかも私はアパートの1F
出入り自由です。もうどう見てもフリースペースのアトリエです。

「ああ、喚起したかったから大丈夫大丈夫。」

風通し良すぎん?
まだ阿呆なのでした、その当時の自分。

それ以外にも酔いつぶれて迎えに行くのは当たり前、
アートにお金を使いすぎて彼女の部屋は電気ガス水道全て止まり
最早我が家に住み着き始め、お部屋は完全なアトリエ空間と化していたのでした。

部屋に変なオブジェが無数に飾られ、塗料の匂いがするアトリエ(兼部屋)になるのにそう時間はかかりませんでした。

それでも、私はその非日常を楽しんでおりました。

念のため、皆様に申し上げておきますとアーティスト全てがこういう生活を送っているわけではないということは知っていてください。

私も曲がり者なりにアーティスト(自称)ですが、ジャッキーではありません。タッカーでもありません。


私がその時期とっても楽しかったことといえば、彼女のスケッチブックを見せてもらうことです。
彼女は真面目なスケッチやら、普段のメモ、思ったこと、特別な体験をメモするメモ魔で、それを惜しみなく見せてくれていたのです。

きれいな絵や詩的な表現を眺めるのが好きでした。

何故僕がそんな猟奇的な彼女に振り回されても平気でいられたかと言うと、偶然見たスケッチブックに

「れんにゅーが働かなくてもいい位稼げるアーティストになる。」

というメモを見つけたからです。
彼女が本当は思っていた申し訳なさ、感謝などが大量に綴られておりました。

それを見たことはそっと心の中にしまっていました。

その時には僕は社会人になっており、仕事で心を消耗していた時期だったのです。
それを見ていた彼女なりに考え、「何とかしてあげたい」となりふり構わず作品作りと発表をしていたということだったのでしょう。

そう、例え彼氏の部屋をフリースペースのアトリエに変えても

彼女の不器用さは分かっているつもりだったので、気持ちを汲んで
彼女の夢を応援するのが僕の一つの目標となったわけだったのです。


長くなりましたので、今回はここまで。
そして最後まで猟奇的だった話は次回に。


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