流音りりっく

紹介するほどのモノは無し(๑・̑◡・̑๑)

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セルフィーユ の 函

                流音 🔳 第二の函 うららかな日差しが、ぴんチャンの体を包んでいた。 田んぼに横たわり、ゴロゴロ、クネクネと、モモはレンゲ草をなぎ倒している。 心なしか、三毛猫は春の到来を喜んでいるようだった。 田んぼにはまだ水が張られていない。 「モモの真似っこ」 ぴんチャンはゴロリとレンゲ草の上に寝転んだ。 ぴんチャンの家の周りは、田園が広がっていた。 それは遥か遠くまで続いているようにも見えた。 優しい風が吹き渡る。 レンゲ草は、ユラユラ体を揺

    • セルフィーユ の 函

                   流音 🔳第一の函 ぴんチャンは、今日も布団の中で、憂鬱な気分になっていた。 周りは暗く、外の灯りが曇りガラスを照らし、カーテン越しに部屋の中の物を、薄ぼんやりと浮かび上がらせている。 振り子時計の短針は、10を過ぎたところを指していた。 コチッ、コチッ、コチッ… 振り子時計の均等に時を刻む音に混じり、 パキッ ぴんチャンの住んでる家は、木造家屋ならではの、木の軋む音を、時折させた。 ぴんチャンの家は、ぴんチャンのお父さんがサラリーマンをし

    セルフィーユ の 函