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【2024年版】初めてでも安心!温州市交通攻略ガイド

割引あり

 上海には日本人が多く、旅行先としてもメジャーだ。しかし、上海の外となると、その周辺にどういう場所があるのか知らない方も多いのではないだろうか。今回は上海から気軽に行ける街として、浙江省第三の都市・温州を紹介する。この記事では温州の交通手段に絞って解説するので、温州に訪れる際には役立ててほしい。


温州とは

 温州市は浙江省第三の都市で、省都の杭州、第二の都市・寧波に次ぐ経済規模を誇る。自動車のナンバーは「浙C」だ。上海よりおよそ350km南に位置する。
 温州はヨーロッパへ移民、出稼ぎに行く文化が盛んであり、イタリアやスペインへの移民が多い。特にイタリアのフィレンツェ郊外の街・プラートには大きな温州人コミュニティがあり、中国語…というより方言の一つである温州語が話せればイタリア語が全くわからなくても不自由なく生活することが可能だという。ヨーロッパで起業し大金を稼いで戻って来る温州人も少なくなく、街としては省内第三の経済規模であるけれども、「温州人は金持ち」というイメージは中国国内で広く知れ渡っている。
詳しいことは以下の記事で書いたので興味があれば読んでくれると嬉しい。


温州市は上海の南に位置する

都市鉄道

温州軌道交通S1線

 温州軌道交通S1線は、温州市西部の桐岭駅と海に面した埋立地にある双瓯大道駅を結ぶ路線である。途中、高速鉄道の温州南駅と温州龍湾国際空港を通り、高速列車か飛行機のどちらで訪れるにしても必ず乗ることになる路線だろう。

 温州最大の繁華街である五马街(五馬街、タイトル画像の場所)へはS1線に乗って龙霞駅から五马历史街区接驳专线というバス、あるいは德政駅から108路バスに乗り換えることでアクセスできる。

 初乗りの料金は2元。空港から温州南駅までは9元で移動できる。後述するS2線も同様だが、温州の地鉄は市の中心となるエリアを通っておらず、郊外路線としての性質を持っている。そのため途中駅も少なく、走行距離が長くなるため中国の地鉄にしては料金が高くなりがちだ。

 切符は券売機で購入できる。シングルチケットはカード式で、中国ではよく見かけるタイプだ。
 2024年時点、中国ではアリペイ(支付宝)あるいはwechat(微信)内でその地域の交通カードを登録し、QRコードで改札を通るのが一般的になっている。しかし一部の都市ではアリペイの通常機能には対応しておらず、独自のアプリで乗車させる方式を取っている。温州市もその一つで、アリペイのミニプログラムから「温州轨道」を起動し、そこから乗車/降車用のQRコードを表示させ改札にかざすことになる。アリペイ備え付けの機能を使える地域と比べると少々面倒だ。


温州轨道のミニプログラムこれを起動し・・・


QRコードを表示して乗車する
单程票(シングルチケット)はカード式となっている
駅に到着したS1線の車両


温州軌道交通S2線

 温州軌道交通S2線は2023年にできた新しい路線で、东山駅(東山駅)から清东路駅(清東路駅)まで伸びている。温州の中でも離れた地域である瑞安市と楽清市を結んでいる。途中、温州空港を通り、この駅でS1線と乗り換えが可能となっている。途中、空港駅から北方面、楽清市へ向かう間に海を渡る区間があり、そこからの景色は開放感があって必見だ。
 乗車方法はS1線と同様。

 また、S1線S2線も、車内のアナウンスは中国語(普通話)、英語のほかに温州語でも流されている。雰囲気は下の動画を見てほしい。中国では地域によって普通話と英語以外のアナウンスが入ることがあるのが面白い。例えば、大連では韓国語、日本語、ロシア語での放送もある。

 このほか、S3線が建設中であるほか、数路線の建設計画がある。

高速鉄道

 高速鉄道のターミナル駅となるのは温州南駅である。
 中国の高鉄駅と言えば空港のようにやたらと広いイメージを持つ方も多いだろう。しかし温州南駅はそこまで大きくない。というかむしろ狭い。では需要がないから小さいのかというとそんなことはなく、需要に対してのキャパシティを完全にオーバーしているため、いつ行ってもかなり混雑している。前回の訪問時は検札の処理スピードが間に合わず、確認なしで通されたほどだ。
 そのため現在、温州北駅が新たに建設中であり、これが完成すれば南駅の混雑緩和が期待できるだろう。北駅の開業は後述する杭温铁路と同時に行われる。

 温州南から周辺の主要都市までの所要時間は以下の通りである。(2024年4月現在)

  • 寧波:約2時間

  • 杭州:約2時間半

  • 上海:約3時間半

  • 福州:約2時間

  • 厦門(アモイ):約3時間半

 なお現在、杭温铁路と呼ばれる新路線が建設中で、これが完成すると杭州までは約1時間で結ばれることになる。現行ルートは200km/h程度のスピードしか出せない低規格な部分が長く、どうしても所要時間が伸びてしまう。その上やや遠回りだ。新路線は最高350km/hで走行できるように作られているので、開業すれば大幅な時間短縮が見込める。2024年6月開通予定とのことだが、何度も延期されているようなので、どうなるだろう。


温州南駅からの主な行き先


中国の高鉄の駅にしては小さく、非常に混雑する
夜の温州南駅


列車を待っている

バス

 温州市中心部ではBRTシステムが整備されている。BRTとして整備されている路線はバス専用レーンがあり、駅も路面電車のような乗り場が設置されておりホームドアも備え付けられている。

 バスの料金は2元。現金で支払うことも可能だが、他の中国のバスと同様にお釣りは出ないので気をつけてほしい。アリペイからQRコードをかざして乗ることもできる。その際はメニュー画面の「出行」→「公交」を選び、「温州云公交卡」を選択しよう。中心部ならこのカードに登録すれば乗ることができる。降車時にもう一度QRコードをかざすのは不要だ。(北京など一部の都市では降車時にもかざさないと最大距離料金を引かれてしまう)

 降りたい時は出口の前に立って降車ボタンを押せばよい。中国ではただ出口の前に立つだけで降りるという意思表示になり、何も言わなくてもバス停に着けばドアを開けてくれることが多い。が、それも地域差があり、温州では比較的、降車時に降車ボタンを押す文化が浸透しているような気がする。

 温州市内でも場所によっていろいろなカードがあり、例えば瑞安では「瑞安电子交通卡」でないと対応していないなど、中国も日本と同じように、バスについてはややこしい点が多い。セットする交通カードを間違えないように注意しよう。



ホームドアもあるので安心だ
徳政駅の停留所の案内板。複数の路線が乗り入れている

空港

温州空港の路線図、飞常准より4月17日現在

温州には空港が一つある。温州空港、正式名称は温州龍湾国際空港と呼ばれる。スリーレターコードは「WNZ」。ターミナル1(T1)から国際線、ターミナル2(T2)から国内線が発着している。中国国内各地に飛んでおり、短距離線では上海浦東空港への便もあり、所要時間は約一時間である。
 空港へはS1線、S2線ともに乗り入れており、電車でのアクセスが便利だ。駅は国内線ターミナルのT2付近にある。
 温州空港最大の特徴は、小規模な空港ながら温州人の出稼ぎ文化を背景としたヨーロッパへの長距離国際線を持っている点だ。2024年4月時点でミラノ(エアチャイナ)、ローマ(東方航空)、マドリード(東方航空)へ飛んでいる。イタリア、スペインのいずれも温州人の移民先として非常にポピュラーな国だ。ヨーロッパ以外ではバンコク、ソウル、香港への直行便がある。国際線自体が数えるほどの本数しかない中で、スペインやイタリアへの直行便が存在するのは驚くべきことだ。


ミラノ(米兰)への直行便の広告が貼られていた。撮影し忘れてしまったのだが、後日訪問した際にはこれがマドリードへの直行便就航の広告に置き換わっていた


ターミナル2の出発ロビー


T2の制限エリア内、新しくて綺麗なターミナルだ


 以上が温州市の交通攻略ガイドだ。次回訪問時に何か変化したところがあれば更新を予定している。もしこの記事が役に立ったらカンパしてくれると嬉しい。次回の旅費にさせていただきます。

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