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書道教室に変な奴が入ってきた。

書道教室に変な奴が入ってきた。

ノックが聞こえたから腰を上げると、ドアが開いて、
その男が許可も得ずにつかつかと入り込んできて、奥のソファーにどかっと座ったのだ。

見ず知らずの男だし、その態度が無礼だし、
午後6時を過ぎているから、ビルの正面玄関はセキュリティがかかっていて外部からは入ってこられないはずだし、
とにかくいろんなことに動揺する。

分かりやすいかどうかわからないけど、
ジャイアン(たけしね)が幅83%に縮んだかんじ。
ふてぶてしさは一緒。

30歳前後の、見た目は韓国人。

王様みたいにどっかと足を広げてソファーに座りながらの第一声。
"I am looking for a job. I can work for you."

「はあ?」って思うよ。

「はああああ???」って。
何を言っているのだ、この男は。
突っ込みどころが満載すぎる。

”Who are you? How did you come in this building?”
って聞くだろう、聞くだろう。そうとも、聞くさ。
聞かずにはいれない。そう俺は聞いた。

そんな俺の質問は全く無視して、仕事はないのかって聞き続ける男。
「どうやってこのビジネスはじめたんだ?」「いくらかかった?」

俺もそんな奴の質問は全く無視して、お前は誰なんだって聞く。
「どうやってリフトを上がってきたんだ?」「キーを持っているのか?」

全くかみ合わない質問をぶつけ合い、俺の眉間の皺が一段と深くなったとき、男が立ち上がって窓のほうに歩をすすめ、言った。
「将来俺はあのウエストフィールドみたいなビルを建てるぞ。知ってるか、ウェストフィールド。」

「はあ?」って思うよ。
「はああああ???」って。
何を言っているのだ、この男は。

ちなみに男の言うウエストフィールドとはオーストラリアの大規模ショッピングセンターである。

”Ok, ok. You can do it by yourself, but not with me.‘' だよ、ビル建てたいなら、建設会社にいけよ、ここは書道教室なんだよ。

「いや、俺はチャイニーズドローイングも習いたいんだよ」
「俺はチャイニーズじゃないよ、ジャパニーズだよ。もう早く出て行ってくれよ」
そう言いながら俺はドアの方に少しずつ男を押しやっていく。

「何だよ、仕事ないのか」
「ないよ。大体お前は誰だよ」
「俺はz-sc*8/*crfx。お前の名前は」
「俺の名前なんかどうでもいいんだよ、とにかく出て行ってくれよ」
握手を求めてきたのをかわし、ドアの外へ出す。

「Ok. 仕事ができたら俺に連絡してくれ。サンキュー、ボス」

何がボスだよ、連絡先も知らないし、
っていうか、知ってても連絡しないし、
っていうか、仕事なんかねえし、
っていうか、俺に仕事をくれっての。

ドア閉めて、ロックして、深呼吸した。

何?

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