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デンマークを知る2ヶ月の冒険 その14〜フォルケホイスコーレへの滞在

デンマークの料理と食事にまつわる文化を体験する、という目的で始まった、2ヶ月の冒険。

2番目に(そして一番長く)滞在したのは、デンマークの生涯学習センターである、フォルケホイスコーレ(Folkehøjskole)です。

デンマークの友人の叔母さん、マリアン(Marianne)がフォルケホイスコーレの事務局で会計士の仕事をされていることからご紹介いただきました。

Marianneと

キッチンのスタッフが突然の病気で人が足りない!キッチンをお手伝いしたい人なら喜んで、という状況があり、キッチンに入れてもらえることになりました。実は友人が前に聞いた時はNGだったので(彼らは大変だったけど、私としては)とてもラッキーでした!

フォルケホイスコーレとは

デンマーク発祥の生涯学習の仕組みで、17歳半以上ならば誰でも、何歳になっても学習の機会を得られる場所、それがフォルケホイスコーレ(国民高等学校)です。デンマークの思想家グルントヴィが提唱したもので、人々が教育を通じて人として成長することで社会が良くなるという考えから、一般の人たちみんなが学ぶ機会を持つための場所として作られました。デンマークから始まり、北欧諸国に広がっています。

大きな特徴は、集団生活をするということです。生徒は基本的に全寮制で、先生や仲間と生活を共にし、クラスを超えて朝夕のミーティングなどもあります。自分たちで掃除なども行います。
2つ目の特徴は、点数をつけるカリキュラムではないということ。自分自身が学びたいと思うことを、先生や仲間と勉強していく場です。入学にも条件はありませんし、点数を取る、合格するなど、評価されるための勉強はありません。

フォルケホイスコーレにはさまざまな学校があります。デンマークの社会や文化、歴史、キリスト教について学ぶ学校もあれば、芸術やスポーツ、音楽などに特化した学校もあります。長期コース(2ヶ月〜1年、半年も多い)が一般的で、自分の関心や状況に合わせて、どのコースを受講しようかと学校を選んでいきます。
また短期コースも多くあります。夏休みなど学校がお休みの時期に子供連れ家族で参加するプログラムや、短期集中1週間で学ぶコースなどもあります。友人家族は小学生の子供と一緒に、音楽を体験するプログラムに2週間参加していました。

どんなコースがあるのか、上にあるページで内容、時期や期間などで検索して、自分の興味のある学校を選ぶんですよ。

デンマーク社会の基盤としてのフォルケホイスコーレ

フォルケホイスコーレの存在、そこでの経験が、デンマークの社会に大きな影響を与えている、と言われています。
例えば、いろいろな人と食事をする時。アブサロンのようなフェレスピースニンでの配膳・片付けの方法や、誕生日パーティで歌を一緒に歌って楽しむなど、みんなで過ごすときにどうするか、人との関わり方や過ごし方などはフォルケホイスコーレの体験が基礎を作っているとデンマークの友人たちは教えてくれました。

みんなで歌えるように歌の本もありました

デンマークでは一般的に、ギャップイヤー(英語、gap year)と呼ばれる1年間の空白期間をとって、半年ホイスコーレ、半年インターンなどに行きます。タイミングとしては、高校を卒業して大学進学前、または大学在学中に休学、卒業時の就職前など、長期は18−25歳くらいの生徒が多いです。

フォルケホイスコーレでは、自分たちで考え、学ぶことを重視しています。教師はいますが教えるという上からの目線ではなく、対話を通じて、生徒に気づきを与えるというアプローチでの教育です。自分たちでやることを考えて提案する、決めるということが求められます。
そうすることで、自分の関心や社会との関わり方を客観的に見つめ、進学や就職に向けて自分を考えていく時間を持ちます。

フォルケホイスコーレの生徒5人に聞きました、というビデオ(デンマーク語)の冒頭では、フォルケホイスコーレって何?という質問に対して「変化」「生きるエネルギー」「コミュニティ」「自由」という回答でした。経験した方ならでは、ですね。

学んでいる内容は違っても、みんながフォルケホイスコーレがデンマーク社会の基盤になっているよ、と言うのは、人々や社会との関わりを学ぶ機会、ということ。

つまり、デンマークのヒュッゲを知る上で、最適な場所なんです!

留学先としてのフォルケホイスコーレ

フォルケホイスコーレは、海外からの留学も可能です。海外からの参加を多く受け入れている学校や英語のプログラムも多くあります。私も最初、滞在先の候補としてフォルケホイスコーレへの留学も考えていました(経緯はこちらを参照)。
デンマーク人をはじめ北欧では公的な仕組みとして提供されているため、比較的安価に参加できるのはもちろん、学生ビザを取得することができ、安全な住まいと食事を提供してもらえるというのは、海外留学には大変ありがたい場所ではないかと思います。

日本からも多くの方がフォルケホイスコーレへ留学しています。北欧が好きで行ってみたいという方も多く滞在されています(北欧の公的な機関として運営されているため、外国人枠があるそうです)。

スカルスでの滞在は、フォルケホイスコーレというデンマークの基盤となっている体験を学ぶことができるという意味で、期待ではちきれそうです!

到着した日の食堂にて

次回は滞在したSkals Højskole(スカルス手工芸学校)をご紹介します!


デンマークの幸せの秘訣、ヒュッゲな時間をもっと広めるためにサポートいただけたら嬉しいです! いただいたサポートはオープンサンドの試作など、デンマークの食文化研究に使わせていただきます。