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デンマークを知る2ヶ月の冒険 その7〜仕事場のヒュッゲ

デンマークの料理と食事にまつわる文化を体験する、という目的で始まった、伝統的なホテル、Kro(クロ)での2週間。

今回は、Kroのレストランに滞在する中に見つけた、仕事場でのヒュッゲな時間について書いていきたいと思います。

デンマークにはKaffepause(カーフパウゼ)という習慣があります。コーヒーブレイクという意味です。Rold Gammel Kroでは、この時間が本当に大切にされていました。

仕事場のヒュッゲ:Kaffepause

レストランのお昼の始業前、みんながレストランのバーエリアに徐々に集まります。前日のお客様はもう出発していて、まだレストランにはお客様のこない時間。朝からいるスタッフもまだ残っている時間。そのタイミングに、バーにみんな顔を出します。

コーヒーある?まだ作ってないの?
そんな会話で、誰ともなくみんなで飲むためにコーヒーを淹れて。

レストランサービスのリーダー。コーヒーいるかい?といつも聞いてくれました

私はデンマーク語もあまりわからなかったし、最初は打ち合わせかと思っていたのです。みんな笑ったり出入りしたり、バラバラに参加しているみたいだし、何をしているんだろう、と疑問でした。そうしたら「コーヒー飲まない?」と声をかけられました。恐る恐る参加してみたら、みんなで過ごす、のんびりとした時間だったんです。

新しいパーティの予約の話とか、レストランのスタッフにパーティーのシフトを頼んだりもしていましたが、、、ミーティングではないので、なんとなくスタッフが集まって、みんなでおしゃべりしてるだけ。
大体はどこに休暇に行きたいとか、美味しいレストランの話とか、以前のスタッフの近況・噂話とか、そんな他愛もない、雑談の時間でした。


これが、日本で言う飲みニュケーション的な感じなんです。勤務時間がバラバラなレストランやホテルのメンバーたちが集まる、雑談時間。みんなのんびりとしていて、ちょっと愚痴を言ったりもしているけど、深刻な話もしてないし、なんとなくだらっと、ゆったりとしていて。気楽な空気。

メンバーが集まって、コーヒーを一緒に飲む。Kaffepauseは直訳でコーヒーブレイクという意味ですが、Kaffepauseはみんなで一緒に過ごして、おしゃべりすることに意味がある。みんなが仲間として、今のお互いの状態とか仕事の状況とか、なんとなく空気をシェアして。仲間がいる、という空気を感じて、さあ、1日頑張るか〜みたいな感じでした。

キッチンスタッフのKaffepause

キッチンのスタッフは昼前から入ります。お昼にパーティが入っている週末以外は、キッチンではお昼後の時間にケーキなどのお茶菓子を焼きます。ディナータイムに向けた仕込みがひと段落すると、コーヒーを1杯とって、ソーサーにケーキの端っことかを一口乗っけて、キッチンの裏口へ。材料の搬入などをする裏口のすぐ外に、ガーデンチェアとテーブルがおいてありました。

そこは駐車場に近く、お客様から見えるといえ明らかに裏口、というところ。ホテルの庭のすぐ横なので、木もあって広い空の下です。

サンルームから庭へ出たところ、つるバラの壁の向こう側がキッチンの裏口です
向かって左側が庭、赤い屋根とサンルームまでお客様エリア。
車のすぐ横、生け垣の裏に、ヒュッゲエリアの机と椅子

シェフはいるけど、ホテルのマネジメントのスタッフは来ないところ。ちょっと困ってることの相談やら、噂話。キッチンのスタッフは、シェフとして修行中だったり、調理師学校に通っていたりします。どこに就職すべきか進路を相談したり、前にいたメンバーの近況を聞いたり。

ディナーの時間になると、キッチンは忙しくなります。パーティーの時は戦場のようになるし、あまりお客様がいない日でも、離れることはできません。そのキッチンの忙しさを前に、みんなで一息。

休憩ではあるのですが、どちらかというと「休息をとって準備する」という感じ。日本で思うよりは長めだし、ゆっくりしている感じ。キッチンスタッフたちならではのヒュッゲの時間でした。

休憩の大切さ

そんなことの全てを観察していると、一日中学べることがあって面白い!私はソースを作ったり、ケーキ焼いたりは直接はできないことが多かったので、レシピを教えてもらって、少し作るのを手伝って感触を学んだり、途中で試食したり。
そんなことがあると、面白くてなかなか一日が終われない。私は朝6時前からキッチンに入ってお手伝いしていたので、休憩を入れて基本はお昼過ぎ、14時まで。

それなのになかなかキッチンから出ていかないので、シェフのLotteから、仕事は14時で終わったでしょ!帰りなさい!とお母さんのように怒られて、追い出されていました 笑

シェフのLotteと

ついつい、できることを詰め込んでしまいがち。
2週間しかない、できる限り、吸収したい!そんなふうに思いがち。

ちゃんと息抜きをして、他のことをする時間も楽しむ。
毎日の体調とかを見て、その時できることを楽しむ。


Lotteには、休息とヒュッゲの大切さを教えてもらいました。


次はKroで出会ったオープンサンドの話です!

デンマークの幸せの秘訣、ヒュッゲな時間をもっと広めるためにサポートいただけたら嬉しいです! いただいたサポートはオープンサンドの試作など、デンマークの食文化研究に使わせていただきます。