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保育士の退職が続き閉園の危機。それを乗り越えた保育園の実例

レンアイ型Ⓡ採用は、これまで1300社以上の企業にセミナーを通して考え方や事例紹介をお伝えてしてきました。
このnote記事は人材不足で悩める経営者・採用担当者さまの少しでもお役に経てるならという思いでこの5年間で培ったことを公開しています。

今日の記事では、沖縄県浦添市でご夫婦で保育園を経営されている「あいめ保育園」にご協力いただき、採用のお手伝いに関してヒアリングさせていただいたことをまとめています。

ご相談の際の状況

あいめ保育園は認可保育園です。認可保育園は子どもの定員基準に合わせて保育士さんを配置しなければなりません。あいめ保育園は小規模保育園であるため、6名の保育士さんが必要でした。

開園当初の4月時点ではその基準を満たしていましたが、2ヶ月ほどで基準に満たないほどに保育士さんが退職してしまい、このまま新しい保育士さんがこなければ園を閉鎖しなければならないという状況でした。7名いた保育士さんが次々と退職、すぐにでも人手が必要でした。

退職すると分かった時点ですぐにハローワークや求人誌で募集をかけましたが、なかなか応募がなく頭を悩ませていたそうです。(そしてついに3年前の秋に小宮と出会いました!)

小宮の何が良かったのか

 小宮にお願いしようと思った理由は、親身になって話を聞いてくれると感じたからだそうです。
小宮さんにコンサルを依頼したとき、宮里ご夫婦(園長・副園長)は人間不信になっていました。以前、保育園の仕組みを一緒に作っていってもらいたいと依頼していた社労士の方に「これ以上手に負えません…」と途中で辞められたというご経験があり、専門家/コンサルに不信感を抱いていました。そのため、誰かをコンサルで入れることに怖さがあったそうです。

しかし、「すぐ園に足を運んでもいいですか?」「まず状況を見せてもらってもいいですか?」「現場を確認してからどういうコンサルができるのか相談していきましょう」「一緒に進みましょう」と言われたことから親身になって話を聞いてくれると感じ、まずは信じてみようと依頼に至ったそうです。

特徴を言語化する

あいめ保育園の特徴を言語化し、これを元に採用ページ・求人広告を作っていきました。

宮里ご夫婦は経験上、「保育士の離職理由はたいてい人間関係」という認識がありました。そのため、人間関係に苦しまない職場を作りたいという強い想いがありました。一度、人間関係で退職し、保育から遠ざかっていた方でも「もう一回戻りたい、頑張ってみたい」と思っている方がいればそういう方も一緒にあいめ保育園を作っていけたらなという想いを持っていらっしゃいました。

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小規模保育園のためワンフロアで見通せて困ったらサポートできるため、保育士を募集する際のターゲットは以下を提案しました。

<ターゲット>
・保育士としてブランクがある
・人間関係が嫌で辞めてしまった
・資格は持っているけれど認可保育園はちょっと怖いと思っている
 ※実際のターゲット像はもっと詳細に設定されています

これで本当にくるの?という疑問は一切なく、「確かにそれなら応募がありそう、うちに合ってる!」と小宮の進め方に対して納得しながら進んでいったそうです。

あいめ保育園の特徴が見えてくると、退職した方は求める人物像とマッチしていないことが分かり、ミスマッチを起こしていたことも納得していったそうです。
そのため、面接の際には、「ウチのルールはいない人の悪口は言わないこと」と伝え、そこに賛同してくれるに方だけ採用することにしたそうです。

レンアイ型で良い循環が生まれる

あいめ保育園では、12月に求人を出してから翌年1〜2月に求める人物像通りの「保育士を辞めて別の仕事をやっていたけど、もう一度働いてみたい」という方を2人も採用できたそうです。(現役保育士さんをターゲットにしていたら1月に採用することはかなり困難です。)

それから毎年、年度末に1〜2人、事情があって退職する方はいますが、求人を出したら年度内には新しい方がきてくれるという、良い循環が生まれ、「また休園の危機か…」という恐怖はなくなっているそうです。

退職する理由も、結婚して少し遠くに引っ越すなどマイナスの理由で離れるのではないということが、以前と異なる点です。
また、残る人にも変化が見られるようになったそうです。以前は退職者が出ると不安を感じて園内に動揺が走っていたのですが、今では大きな不安を感じなくなってきていたり、新しい先生が入ってきても残っている方が支えてくれるようになっています。

あいめ保育園の怒涛の時間を共に見守り続けてくれている保育士さんが1人いらっしゃいます。実はその方も一度は求人誌を握ったそうなのですが、ご夫婦が頑張っている姿を見て、「この2人を信じてついていこうと思ったし、ご夫婦にかけられた言葉が響いていて自分は残るって決めたんです。今でも残って良かったと思っています」と伝えてくれたそうです。

新しく入る方にも、方向性や「いない人の悪口は絶対に言わない」これルールだからこれだけは絶対に守って!と伝えることで、「こんな職場があるんですね。人間関係のいざこざはついてきて当たり前だと思っていたけど、それがないから、すごく働きやすいです」という話は今でも頂いたりするそうです。

レンアイ型ポイント

あいめ保育園は元々とても良い保育園だったのです。ですが、宮里ご夫婦は人間不信に陥っていたため、とにかくおふたりの自信を取り戻してあげることが最優先事項でした。

現場に足を運んだ際、小規模保育園でワンフロアなので、ブランクがあって自信がない方でもこれなら安心だなと感じました。潜在的保育士(ブランクのある方/資格は持ってるけど保育園で働いたことない)はいるという話を聞き、「現役の大型認可保育園の先生」からの転職を募る方法ではない方が良いと提案しました。宮里ご夫婦の園の運営はとにかく、「いない人の悪口は言わない」など既にやってらっしゃることが多くありました。素材があったため、それを引き出すだけで充分、採用はうまくいくと確信していました。

プチエピソード
転職してきてまだ1ヶ月の職員のお子さんが入院してしまい、すぐに長期休暇に入ってしまった方から聞いたお話。

保育園も大変なはずなのにおふたり(宮里ご夫婦)がお見舞いに来てくれて「気にしないでね」と一言声をかけてくれて、そしてすぐ帰られた。以前の職場では、そんなことされたことがなかったので、この時、絶対この保育園の力になろうと決めたんですと話してくれました。小宮が「おふたりには伝えたんですか?」と聞くと、「恥ずかしくて言えません」ということだったので代わりに伝えると、ご夫妻は、「そんな風に思っててくれたんだ…」と思わず嬉し涙を流されました。

念願の土曜保育もスタート!人が充足しだした

今では土曜日だけ働いてくれる人がいて、念願の土曜保育を始めることができたそうです。土曜日だけ!?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ご夫婦も「レンアイ型という考え方に出逢っていなかったらその発想に至っていなかった。週に1回だけの仕事を求めてくる人なんていないでしょと思っていた」と話してくださいました。そういう人も「いる」と思えるか/思えないかに差が出てくるんですね。

おわりに

今日の記事では、沖縄県浦添市でご夫婦で保育園を経営されている「あいめ保育園」にご協力いただき、採用のお手伝いに関してヒアリングさせていただいたことをまとめました。レンアイ型で良い循環が生まれ、念願だった土曜保育を始めることができたというのは嬉しいです。

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