青臭いショートショート

青臭いショートショート。恋愛の短編小説などをつらつら。 花束みたいな恋をしたっぽい小説…

青臭いショートショート

青臭いショートショート。恋愛の短編小説などをつらつら。 花束みたいな恋をしたっぽい小説を書きたいと思って始めました。 初めて立ち飲みに何となくはいった2023年4月25日。思いの外することがなく、始めました。

最近の記事

でも、きっと空は晴れた

エジプト旅行中、イスラーム教の教えの下、4日間お酒を飲めなかった土田は、久々に飲む500mlの瓶ビールで早々に酔った。旅の疲れと気心置けない友達のフランクなまごころが、土田に弱音を吐かせた。 「人生ってさ、死んでほしくないって人を何人作れるかだと思うんだよね、一生のうちに。」 「うん」 「それと、まだ死にたくないって思う理由をいくつ作れるか。」 「おれは自分のために生きたいかな。まだ知りたいこといっぱいあるし。」 「知りたいって何を?」 「自分が50歳になったときに何してるか

    • 僕のままで

      「うーん、うちも恋愛経験そんな無いけど、その日にいっちゃった方がいいんじゃない?」 マッチングアプリで知り合って2回目の女の子に言われた。 純粋そうに見えてた彼女は一気に遊び人に見えて、そして僕の性器は萎縮した。 「でもさ、結局やりたいだけなんだなって感じない?」 「キュンキュンさせてくれる人がいいな」 2024年1月19日、僕らは初めてご飯に行った。 マッチングアプリPair Machで知り合った僕らは、彼女の「今日何してます?」の一言で会うことになった。 初回は僕が盛り

      • 人生のラッキータイム

        「人生のラッキータイムだったんじゃね!?」 赤羽の寂れた居酒屋に、飛沫混じりの大声で中学からの幼馴染みが、梅酒サワーを片手に言った。 1000円でベロベロになれる、通称せんべろ巡りが僕らの月1の楽しみ。中学が同じで、奇遇にも大学に入学してからも家が近いと知った僕らは、頻繁に激安居酒屋に足繁く通っていた。 大学時代は唐揚げ山盛りが看板メニューの居酒屋や、全品298円の居酒屋など、とにかく激安居酒屋で飲むことを月一の楽しみとしていた。 自分たちのことを「ベロベロ酒飲み兄弟」と呼

        • 振ってくれて、良かった

          「24日何してんの?」 大学のときの友人からLINEが来た。 彼女はいつもツンとしていた。僕といる前だけ、自分を作るように。盛大にふざけて罵りあったあと、「兄弟みたいな関係なんだろな」と2人でニヤニヤして睨みあう。僕らはそんな、2人だった。男女だけど家に泊まり合って、お互いに好きな人が別でいて、それでも友達として仲が良くて。僕らはそんな関係だった。 そんな関係に酔ってた自分がいたのは、大学を卒業してから気づいた。 一度そういう関係になりかけた大学3年の夏。 3年で授業があま

        でも、きっと空は晴れた

          幼い頃に憧れた彼

          幼い頃憧れた彼。 足が速くて、サッカーが上手くて、面白くて、笑顔が可愛くて、みんなから好かれてた彼。 いつからか私は好きになってた。 そんな感傷に浸ることもないような、ゴミクズみないな恋心。何で今になって思い出すんだろう。 むき出しの性欲と、アルコールに溺れた理性で、いつもみたいに女に声をかけて、新宿の夜に消えていく自分。 なぜか今日はそんな気になれなかった。 わからない。ふとした時に思い出す。 男の子が好きなんて気持ち悪いよね。 昔付き合った彼女に「男を好きになったこと

          私の彼は、ゲイで小児性愛者で、それでも彼が好きで

          「たかこ大丈夫?」 高校の友達からの連絡だった。小さい町だったから、彼の侵した事件はすぐに広まった。 2023年4月26日18時2分。私の彼は現行犯逮捕された。 公園で1人遊んでいた男子小学生にマンガを一緒に読もうと声をかけ、自分の性器を触らせたらしい。今朝の朝刊で読んだだけだから、まだ信じることはできないけれど、多分信じたくないだけ。 私の彼は、ゲイで小児性愛者だった。 彼と出会ったのは2020年の夏。丁度世間がコロナ禍の自粛生活に嫌気が差して、マンボウが出されてても

          私の彼は、ゲイで小児性愛者で、それでも彼が好きで

          良かった。渋谷はいつも通りだった。

          「陰キャな人が好き!」 「了解。そんな振りする」 「ねーそれ違うからー!」 「いや俺もテニス部のときはね、、、」 「えテニスやってたの!?」 「えミキちゃんもやってたの?」 「えー!待って、何部だったと思う?」 良かった。渋谷はいつも通りだった。 どういう流れで一緒に飲みに来ているのか分からない、髭の生えた眼鏡のおじさんと、あからさまにボディタッチの多い女。 1分間に何回肩に触れられるか、説でも検証しているのかもしれない。 フラッと立ち寄った渋谷の居酒屋。 1人で飲んでみ

          良かった。渋谷はいつも通りだった。