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幼い頃に憧れた彼

幼い頃憧れた彼。
足が速くて、サッカーが上手くて、面白くて、笑顔が可愛くて、みんなから好かれてた彼。
いつからか私は好きになってた。
そんな感傷に浸ることもないような、ゴミクズみないな恋心。何で今になって思い出すんだろう。

むき出しの性欲と、アルコールに溺れた理性で、いつもみたいに女に声をかけて、新宿の夜に消えていく自分。
なぜか今日はそんな気になれなかった。
わからない。ふとした時に思い出す。

男の子が好きなんて気持ち悪いよね。
昔付き合った彼女に「男を好きになったことがある」って言ったら、「もう治った?」って、言われた。そうか、病気みたいなものなのか。完成に消したいと思った恋心。

ふとした時に思い出す。
なんで彼のことが好きだったのかなんて、もう覚えてないし、思い出すくらいなら、退屈な仕事でもするよ。

若さにかまけてテキーラを飲んで、考えるのをやめた。目の前の女に鼻を伸ばして、目の前の欲情に素直になる。そんな日々を繰り返して、男として成長して、男として失敗して、男として笑い話にして。

思い出すと何かが変わってしまいそうだから、蓋をしよう。汚いものに蓋をするんじゃなくて、ただ蓋をするの。汚くなくても、蓋をする物もあるんだよと、昔の私が、今の俺に優しくささやいた。

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