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正答率60%で合格なのに、合格率5%以下!?FP1級の学科試験は、一体何が難しいのか??

FP1級の学科試験に関しては、四肢択一形式で回答する基礎編と記述試験の応用編があり、平均60%以上の正答率で合格となります。

一見すると、当てずっぽうでも25%正解する択一問題に加え、記述問題に関しては出題内容・形式がある程度定まっていることを考えれば、そこまで難しい試験には感じられません。

しかし、合格率は平均して10%前後。合格率5.0%を切る試験もあったほどでした。

では、FP1級の学科試験の難しさとは、一体どのような点に存在しているのでしょうか??

FP1級試験独学合格者であるサイト主が、5つにポイントをまとめて分析しました。

FP1級の学科試験の合格率が低い5つの要因

出題範囲が非常に広い上に、細かい

ご存知のように、FPの試験範囲は非常に広範です。社会保障、保険、不動産、資産運用、税制、相続、事業承継など多岐に渡っています。そもそもFPという試験は、社会保険労務士・宅地建物取引士・税理士・証券アナリスト(+一部弁護士)といった各専門資格の内容を、一つの試験にムリヤリまとめたような試験ですので、試験範囲を広げようと思ったらどこまでも広げられる訳です。

例えば、宅建などの試験(特に宅建業法の範囲)ですと、試験範囲がある程度限定されているので、「ネタ切れ」になって過去問類似問題が多く出題される訳ですが、FPに関しては「ネタ切れ」には決してならないのです。

しかも、FP1級レベルになりますと、問われる論点も非常に細かいです(特に、午前の基礎問題)。聞いたことのないような法制度の例外の例外的な内容について問われたりします。こうした事情によって、暗記するべき事項が膨大な量となりますので、試験対策に苦労するのです。

法改正が多い上に、その内容についての出題が多い

社会保障、金融、不動産、相続といった分野がFP試験の対象範囲となっている訳ですが、いずれの分野も法改正などが非常に多いです。

新聞等でも、年金支給率や徴収金額の変更、NISA・ジュニアNISA、ふるさと納税、教育資金贈与、ideco(個人型確定拠出年金)、消費税率の変更などなど、様々なニュースが飛び込んできます。NISAに関しては新設されたばかりの制度なのに、金額や非課税期間、申込できる金融機関(今は1年毎に金融機関を変更できます)などが変更となっています。

こうした最新のトピックに関して、FP1級の学科試験では積極的に出題されます。これは、学科試験の基本・応用のみならず、実技試験においても同様です。参考書に載っている制度内容が変わっている可能性や、覚えるべき内容について記載がなかったりしますが、試験本番で突然出題されたりします。

ですので、参考書のみならず、日常のニュースやトピックに対してもアンテナを高くしておく必要があるのです。

過去問の類問出題が少ない(基本編)

試験範囲が広いという点にも通じてきますが、試験範囲が非常に広いため、他の資格試験と比較すると過去問と類似問題が出題される可能性は低めです。参考書やテキストの中でも殆ど取り上げられていなかったような制度・法律に関して、例外的な事項を突然問われるといったことも少なくありません。

私は、他の記事では、「試験問題の80%以上は、過去問の類似問題である」「基本的な事項だけを完璧に抑えておけば、少なくとも合格点は確保できる」ということを再三解説していますが、正直この試験に関してはそれが当てはまりません。

基本的な事項を完璧に理解し記憶しているだけでなく、出題頻度の低い事項に関しても、貪欲に知識を入れていこうというスタンスが求められます。そうした積み重ねによって、マイナーな法制度の出題であっても2問に1問くらいは解けるようになるのだと思います。

参考になる参考書やスクールが少ない

一回当たりのFP1級試験の受験者数は、約8000人。年2回の試験ですので、年間16000人前後が受験するという試験です。一回当たりの受験者数で言えば、2級試験や3級試験の1/3以下の水準です(2級3級とも、25000人くらい)。

そのせいなのか、実はFP1級試験対策の参考書は結構少なく、比較して好きな参考書を選ぶという自由があまりありません(ちなみに、実技試験に関しては実質1種類しか有りません)。

また、予備校やスクールも非常に少ないです。

大手ですとTACくらいしか講座がなく、ユーキャンや資格の大原には2級の講座までしか存在していません。使用するテキストに関しても、一部市販のテキストも使っているという話も聞いているくらいです。もちろん、講師の方は一流であり、試験の傾向やや押さえるべきポイントなどについての解説、試験までのモチベーション管理などのサポート体制は十分なのだと思います。

ただ、受験者数が少ないということで、テキストを含めて徹底的にコストカットされている感は否めません。

近年は、応用問題の出題傾向が読みにくい

応用問題に関しては、出題形式や内容がほぼワンパターンということもあり、「FP1級試験の対策をするなら、まずは比較的簡単な応用問題から勉強するべし」と言われるほどです。

しかし近年は、過去問の類似問題踏襲の流れが、やや崩れつつあるように感じます。

特に顕著だったのは、2016/9のFP1級試験であり、大問5題中の2題の出題傾向が変更となりました(この試験の合格率はなんと5%以下!!)。それまで、特定の出題パターンの対策しかしていなかった多くの受験者は、出題形式に変更のあった大問について、ほぼ白紙の状態で提出することとなったのです。

ですので、応用問題=基礎問題よりも簡単の図式は、徐々に崩れてきている印象であり、出題方式にヤマを張ったような勉強スタイルは、回を追うごとにリスクが大きくなっているようです。

ちなみに付け加えますと、付随する小問も難しくなっているような気がします。最近の法制度や政府として押している論点(雇用に対する補助金制度など)などについても問われる為、新聞やニュースで紹介されている最近のトピックに対して、高いアンテナを張っておくことが重要だと思います。

まとめ

この記事では、「いかにFP1級の学科試験が難しいか」ということに対して解説してきました。

記事を読んで、「こんな難しい試験、自分には合格できないよ。。。」と思われた方も少なくないと思いますが、一方であなたは「FP1級の学科試験が、具体的にはどのように難しいか」という情報を手に入れました(私が受験した時は周りに合格者が一人もおらず、完全に手探りでの対策でした汗)。

難関資格であるという事実には変わりありませんが、合格への道筋も以前よりもクリアになったと思いますので、引き続きモチベーションを切らさずに、合格に向けて勉強を続けてください。

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