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中国人のスピリッツを問う

 私は以前、自分が中国と日本のハーフだとお話をしました。日本では彼らに対する見識が浅いのと同時に、煙たく思っていることはあからさまです。それは私の経験上言えます。たとえば、最近でいうと、中国の動向は国際間で緊張を呼んでいます。しかし、だからといって中国の国民が悪いのかというとそうではありません。しかし、その国に対する悪いイメージを、その国民全般に当てはめようとするのが日本の良くないところだと思います。先に述べておきますが、決して中国人を擁護しようとも日本を批判しようとも思ってはいません。あくまで、問題提起として受け取ってください。
 さて、そもそも中国人がなぜ大胆な行動を取るかというと、日本人との考えが全く異なるからです。まず、中国とは世界的に見てもやはり、大国と言えます。日本と比べ物にはなりません。大国に属する国民は、良い意味で自己主張が強かったり、プライドを持っていたりします。これは一つ言えることでしょう。バチカン並みに小さい国に属する国民と、中国のような大国に属する国民とでは、考えのスケールも異なることは見てとれます。
 もう一つは、中国人は異国の地でも生きていける強さがあることです。「落地生根」という言葉があります。異国の地で種を落とし、そこで根を張って生きていくという意味で、彼ら中国人の古くからの考えです。今や世界中に中国人はいます。彼らは故郷を離れても、そこで根強く生きていくという、いわば生命力が高い訳です。そして、一方的に移住するのではなく、各国がチャイナタウンを作って彼らの居住を大きく認めていることは、世界が中国人のそういった気性を理解し、認めていることの表れでしかありません。国内で自己完結することを目指しがちな日本とは全く異なる考え方です。
 と、このように全てには理由があって、何も中国人が単に傲慢であるというだけではありません。むしろ、異国の地でも根強く生きていくという精神は見習うべきと私は思います。
 最近中国人が、奈良公園の鹿を触っているという動画を見ました。これはいけないことです。中国人のみならず、日本人であってもこのようなことをする人はします。しかし案の定、私が危惧するように、一面だけを見て、その国の国民性や文化を決定するという人が多いわけです。中国人がこのような大胆な行動をとる傾向がある理由には、外の世界でも力強く生きようというスピリッツがあるからだと私は考えます。中国人同士で、「日本に行ったら皆でルールを破ろう!」と打ち合わせでもしてない限り、中国人の多くが鹿を触ったり、ルールを破ったりすることの理由がつきません。
 だから言えることの一つとして、彼らの動向は時に、見過ごせないものかもしれませんが、これにはそういったスピッツがあるからであり、そうでないと多くの中国人がそういったことをする理由がつきません。これこそ、中国人の国民性です。だから、何も、「みんなで日本に嫌がらせしようぜ」というのが彼らの国民性では決してありません。しかし、そう誤解する人が中にはいます。
 その鹿の動画には、特に撮影者は注意はしていませんでした。ただタイトルに「常識のないバカ中国人観光客」とつけられていただけです。私にとってすれば、ルールを守ってもらいたいのなら、注意をすべきだと思うのですが、ただ動画を撮って、それをいそいそと持ち帰り、さあみんなで叩きましょうとする方がよっぽど卑怯なことと思うわけです。囲いがされている訳でもなく、街の中をふらつく鹿を見れば、特に管理もされていないようだから触ってもよいと考えてしまうことは十分にあります。ルールを守らない人も、そういったモラルのないことを動画にする人も、大きな差はありません。守ってもらえるよう努力すれば別ですが、それもせず、ただコソコソと裏で悪口を言うという、なんの生産性もないことをやっておきながら、「外国人はルールを守らない」と一貫して嘆くだけ嘆くのは違う気がします。

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