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20代、フリーライター時代の「原稿料未払い→泣き寝入り」…学びと成長。

今から15年以上前の話。出版社を退職し、アルバイトをしながら求職していた時期がありました。編集者・ライターとしての経験を積んだ後、商業デザインのスキルを身につけるために、DTPデザイナー養成講座に通いながら。

とにかく広告や雑誌の仕事が大好きだった私。クリエイターとして稼げるようになりたい、クリエイティブな仕事に携わりたい、フリーランスとか自由で良さそうだなあ……

よしっ!ライティングもデザインも両方できる人になろう、と。思いつきレベルの決意で、ふわふわ将来像を描いていた20代女子。

DTPデザイン講座は、少人数でアットホームな雰囲気。講師と受講生同士が仲良くなって、講座後に飲みに行く機会もありました。

そして、講師から仕事の相談をされたのです。

WEBサイトの原稿=10万円で!

講座の講師は、フリーランスで活躍しているデザイナーさん。私が将来のことを相談すると、親身に聞いてくれたのです。周囲に相談できる人はいない。いつしか、その講師のことを信頼するようになりました。

私が「フリーでやって行けたらいいなあ…」とこぼしたところ、講師は「じゃ、仕事してみない?」と返された。

わーい!憧れのフリーランスのお仕事だ。
ライター経験があった私に提示されたお仕事は、、、

・企業パンフレットの取材、原稿(5万円)
・WEBサイトの原稿(10万円)

喜んで!引き受けました。

文章力やデザイン力より、人柄で選ばれる。

仕事の話をいただいた講師の言葉。「最初の仕事で、高いクオリティは期待していないから」「この世界は、文章力やデザイン力より、人柄で選ばれるんだよ」

そうか、人柄なのか。クオリティは、仕事の場数を踏めば自然と高まる、って意味よね。その前に、人柄が良ければコミュニケーション力も高いということで、「選ばれる」と。 

でも、それなりに質の高い原稿を納品して、人柄もクオリティも評価されたい(エゴ)、と思った。クライアントさんに喜んでいただきたい、という貢献心よりも、エゴが強かったのだろう。

とにかく、次のチャンスを掴みたいと思った。

初めてのフリーランス。まずは名刺を作りました(屋号はナシ)。

夢中で原稿をまとめた。

週6フルタイムでアルバイトをしながら、夜に原稿を書く日々でした。WEBサイトの原稿、約20ページ。しっかりリサーチや取材をして、自分で納得いできるレベルまで推敲。編集者時代の経験を生かすことができ、嬉しかった記憶があります。

徹夜することもありましたが、無事に納品できました。

納品後、講師と音信不通に。

原稿納品後の修正やフィードバックは一切なく、数週間後、サイトにアップロードされたことを確認。何はともあれ、初めてのフリーランスの仕事が形になったことに安堵しました。苦労してまとめた原稿が世に出た喜びでいっぱいに。 

しかーし。

原稿納品後、講師からの連絡が途絶えた。

「事故とか、病気??」心配になる。

・・・何度電話しても繋がらない。

名刺に書かれた住所のマンションにも行ってみたが、不在。

講座を運営していた会社に行き、「私に連絡をください」と伝えた(詳しい事情は話さずに)

講座の飲み会に参加していた別の講師に会いに行き、「原稿料未払い」の事情を伝えて、連絡を取ってもらった。

しかし当時の私は、それ以上何もできなかった。動こうともしなかった。

フリーランスの夢物語は、自己否定という形で終わった。

それからしばらく「クオリティ低い原稿だったのかな?」「私の人柄がダメだったったかな」と、自分の至らぬ点ばかり浮かぶ日々でした。相手への怒りというより、自分の仕事を自分で否定している状態。

自己否定し始めると、全ての問題は自分にある、という思考にたどり着きます。自分の権利を守る、仕事い対する対価をいただく、という考えが消えていました。

勇気も自信もない状態。「全ては私が甘かった」と、自分の中でフリーランスという夢物語を、フェードアウトさせていたのです。

契約書を交わさなかった。

反省点はたくさんあります。初めてのフリーランス、何もかも新鮮で、調子に乗っていたこと。目の前の仕事をこなすことに精一杯で、自分の権利を守るとか全く頭になかったこと。口約束で、完全に信頼していたこと。

当時、業務委託契約書すら知りませんでした。

この件で目が覚めた私は、自分の至らない部分を反省。ライター&デザイナー二足のわらじではなく、ライターとしてキャリアを積むために再スタートを切りました。

学びと成長。一番の原因は「自分の心」だった。

初めてのフリーランスのお仕事は、原稿未払いで終わりました。あれから15年以上経ち、振り返ってみると原因がわかります。

・ノリで仕事を引き受けてしまった
・中途半端な気持ちでフリーランスになろうとしていた
・自分の力に自信がなかった
・クライアントへ貢献する気持ちより、エゴが強かった

お金をいただく=その道のプロ。たとえ1円でも。仕事と向き合う時、自信のなさ、中途半端な気持ちは1ミリも持ってはいけない。

自信がないなら、自信を持てるまでインプットとアウトプットを繰り返すしかない。

中途半端な気持ちは、最初に「決意する、覚悟を決める」ことで解消される。

それ以来、フリーランスの仕事で、取引先と約束したことは全て守られています。

世間知らずで、ノリで生きていた20代前半。後に、原稿未払いの経験をプラスに転換できたので、ヨシとしよう!


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