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リモートワークで成果を上げるには?あるマネージャーから聞いた「3つのたたき台」の話。

先日、人材育成のあり方についてよく意見交換をしている友人から「新型コロナウイルスによって、いきなりのリモートワークが義務付けられた」という話を聞きました。

その友人(仮にAさんとします)は今、旅行 / 宿泊業界で働いています。

私が働いているミテモ株式会社でも、緊急事態宣言に先駆け3月末からフルでのリモートワークが開始されました。私も当事者として様々な変化を感じています。Aの仕事が、この困難な状況の中でも特に変化の激しいであろう旅行 / 宿泊業界ということもあり、Aはいったい今、何を感じ、そしてどう行動しているのか、SNSメッセンジャーで小一時間話を聞かせてもらいました。

私にとってその内容が、それはもう非常に興味深いものでしたので、今回はそれをシェアさせていただきます。

友人との話

私「やあやあ、久しぶりだね。調子はどう??」

A「いや、ご多分に漏れず、うちの会社も大変なことにはなっているんだけれど、なんとかやれているかな」

私「というと??」

A「いや、うちの会社はコロナの影響で、売り上げ的には昨年の何分の1かになっている。
それでも、なんだかんだ、今までにも大きなショックはあったからね。
何年かに一度、こういう大きな変化が起こるというのは、ある程度覚悟して仕事をしているところがあるよ。
また来たかと。もちろん今は大変な状況なんだけれど、いずれ収まる日が来ることを願いながら、それまでがんばろうっていう感じだよ」

私「へえ、それはすごい話だね。苦労が織り込まれているんだ。人は大変な経験をすると、学習して耐性が増すってことか」

A「そうそう。これまでの大変さがあったからこそ、だろうね」

私「ちなみに、今ってどんな感じで仕事をしているの?」

A「当たり前の話だけど、レジャー業界は、現場にいかないと仕事ができない部門がたくさんあるんだよね。ただ、企画系の部門は出社しなくてもできる業務も多いからね。リモートで働いているチームと、現場に行っているチームとに分かれている感じだよね。現場で働くチームがそれはもう一生懸命やっているから、リモートで働くメンバーもよい刺激を受けながらがんばっているよ」

私「そうだよね。うちの会社もそうだけれど、そうやって現場で業務をしてくれている人たちには心から感謝だよね。ちなみに、リモートだとどんな感じで仕事をしているの?」

A「うちの会社の場合は以前からビジネスチャットが導入されていたから、基本的には、チャットで毎朝指示を出して、夕方に指示に対してのレポートを返してもらっているよ」

私「それで、スムーズにいくものなの?」

A「正直、フルリモートになった直後はなかなかうまくいかなかったかな。でも、もう1か月以上この状態だし、だんだん慣れてくるよね。もちろん、部下のスキル・レベルによって、スムーズに仕事できる人やできない人はでてくるし、同じ人であってもうまくいく時といかない時があるけれど、今ではなんとか自分のイメージに近い感じでは進んでいるよ」

私「へー、それはすごいね!それはものすごく興味深いんだけど、なんかコツってあるの?」

A「そうだね。自分もこのスタイルにして、いろいろ試して、ようやくわかってきたんだけれど、一言でいうと『たたき台を出してもらう』っていう感じかな」

私「と言うと?」

A「ほら、フルリモートになるとさ、人の顔は見えないし、どんな感じで仕事しているのかも見えないからさ、結局は、仕事の成果物でしか仕事を見られないし、評価できないわけだよ」

私「そうなんだよねー」

A「だから、ポイントはさ、いかに成果物のイメージを最初のうちから上司と部下で共有して進めていくかってことになるでしょ」

私「そうだね」

A「でもさ、上司の立場からすると、部下は何人もいるし、一人ひとりがそれぞれ今、どんな業務を抱えているかを詳細に把握はできていないからさ。こっちから具体的な指示は出し切れないわけだよ」

私「わかる、わかる。」

A「だから、まずは部下に出してもらうようにしたんだ。今、どんなことをしていようとしているのかっていう資料というか、情報をね」

私「ほー、なるほど」

A「でもね、いきなりすごい資料をつくろうと取り組んでもらっても、コロナの影響でいろいろなことが変わってきているからさ。今までの計画や指示通りに動かれても、『いや、ちょっともう違うんだよな』ってなっちゃうことがあるわけ。だから、自分がどんなことをするつもりなのかっていうたたき台を、まずは出してもらうの。」

私「ほー、ほー!!それめっちゃ面白いね。たたき台ってフォーマットみたいなものがあるの?」

A「まずは3つだけ、文字だけで良いから出してもらうことにしている。それが『①何をゴールにして、②どんな考え方から、③何をしようとしているか』の3つ。ほんとこれだけ」

私「なるほど、それをチャットか何かに書いてもらうわけ」

A「そうそう。それを見ると、こっちもなるほど、そんなところにそんなミッションがあるんだなとか、そんな風に仕事をしようとしているんだなとかがわかるようになるのさ」

私「たしかに、その3つだけでもわかっていると、成果物のイメージのズレはだいぶ減りそうだよね」

A「そうそう。そうやって出してもらうと、『いやいや、そのゴールはちょっと今は違うから、こっちを目指して』とか『そのゴールに行きたいなら、その考え方も良いけど、こっちはどう?』とか、『具体的にやるならこっちをやってみるのは?』とかって指示が出せるでしょ」

私「そうだね。そしてその段階ですり合わせができていれば、出来上がったものはそこまでズレなそうだし、多少のズレがもしも出てしまっても、その後で考え方をすぐに修正できそう」

A「そうなんだよ。このたたき台をつくることを始めても、最初はズレたものができてくることももちろんあったんだけれど、続けていると、考え方を理解してくれるようになるんだよね」

私「なるほど、それがたたき台ってことか」

A「そう。たたき台で良いんだよね。んで、もちろん、一人がいくつもプロジェクトを持っているから、それを人ごとにまとめている状態にしている。そうすると、〇〇さんが抱えているプロジェクトは今、AとBとCとDの4つなんだなってことが見えるようになるの。で、何をやるにしてもまずはたたき台を出してもらうんだよね」

私「なるほど、そうすると、その人ごとのタスクが見えるようになるわけだ」

A「そう、ほんとそんな感じ。もうコロナの影響で、最初の頃は、いきなりいろんなものが見えなくなっちゃったからさ。ほんとに困った。でも1か月経ってわかってきたのは、まずはお互いにたたき台を出すのがポイントってことだね。いきなり0の状態からすごい価値のある仕事を考えようとすると大きな負荷がかかるんだけれど、考えを小出しにしながら一緒に仕事を育てていくスタンスだったら結構いけるんだなということがわかったって感じかな」

私「たしかに、自分の会社のチャットを見ても、何をやろうとしているのかっていう『たたき台的なもの』を自分から書いてくれる人がいると助かるもんね。たしかに、こんな仕事があるんだなって思う。そして、そういうたたき台を書いてくれないと、ほんとに何やっているのかわからなくなっちゃうからね」

A「そう、そう。ほんとそれ。だから、今はみんなに『まずは率先してたたき台を出して』っていう話をしている。なにせ、今仕事をしているチームの場合、現場の人たちが自分の代わりに感染リスクを背負いながら、苦労して働いてるのを良く知ってるからね。仕事のクオリティを上げるためにも、たたき台を積極的に出してくれてるよ。さらに、メンバーからも『別の取り組みもやった方が良いと思うんですけど、例えばこんなのはどうですか?』といった意見も出てきた」

私「いやー、それはすごいなー。なるほど。でも、これがいきなりワークしたのは、そもそもの仕事への姿勢が整ってるっていうのは確実にありそうだなと思ったけれど。でも、目指すべきものはその状態なんだろうね」

A「たしかに、そうかもしれないね。そして、それができているのは、うちの会社がこれまでに積み上げてきたものなのかもなー。今、言われて初めて気づいた。でもさ。思ったのは、今ってコロナの影響で仕事の成果が見えにくくなって、同時に、これからどんな人材を育てたらいいのかってことも一瞬わからなくなったなって思ったんだけど。

その次に思ったのは、今のタイミングでどんな人材を育てるかっていうところから考えるのは大変だから、今この状況で自分が助かってる動きに注目して、それを展開してくっていう考え方が重要なんだろうなって思ったんだよね。このたたき台っていうアイデアも、最初にメンバーの一人がやってくれたことを整理して広げたところから始まったんだよね」

私「なるほどねー。たしかにこのタイミングでは、それが一番良い気がするね」

A「でしょ。んで、これを続けていって見えてきたものの先に、これからの人材育成が目指すものが見えてくるんじゃないかなって。今はそんなことを思ってるよ」

私「いやー、めっちゃ勉強になったわー。今日はありがとう!またぜひ話を聞かせて!」

A「もちろん、もちろん!!今度はZOOMで飲みながら話そう!」

私「だね!」


まとめ

ということで、持つべきものは仕事のできる良い友人ですね。

この考え方を他の人にも知ってもらいたいと思って書いてみました。

たたき台を出すことで進め方やゴール・イメージを共有する。

ぜひ、Aのこのアイデアもあなたのチームのたたき台にしてもらえたら幸いです。


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