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食堂居酒屋で刺身三種盛り かち割りワイン

仕事上がりに同僚と食堂風居酒屋へ。神保町の食堂みさち屋。神保町の中華料理、三幸園(さんこうえん)のグループの系列だ。ワインは置いてないかと思ったが“かち割りワイン”(500円ほど)というものがメニューにあったので注文。鯛、アジ、マグロの刺身の盛り合わせ(1,000円ほど)に合わせてみた。

ワインは名無しだ。ジョッキグラスに大ぶりの氷とともに白ワインが並々と注がれている。

深みや奥行きには期待するのは野暮だが、親しみのある果実味を備えていて好意的だ。おそらく海外輸入果汁で造られたワインだろう。キンキンに冷やされていて、常温で飲むとそこまで強くない酸味がしっかりと感じられ、さらに果実味も引き締まり、意図してかせずかフードフレンドリーなワインに仕上がっている。

先ずは鯛に箸をつける。跳ね返るような身の弾力は鮮度を物語る。淡白で上品且つ繊細な脂が広がったあと、“かち割りワイン”をひと口。引き締まった果実味と酸味は刺身の風味のボリュームに勝たず負けず、寄り添う良い塩梅だ。相性: ★★★☆☆

続いてアジに。皮目の銀色の輝きがまばゆい。筋繊維をほどよく感じつつ、上質な脂が口内に広がる。かち割りワインは果実味が引き締まっているので青魚の臭みを立ち上げることはない。ここまで極端にワインを冷やして飲むことはそうそうないが、ワインを冷やすことで青魚の脂への反発を緩和するアプローチの功を食堂居酒屋で体感できるとは嬉しい。相性: ★★★☆☆

最後はマグロに。厚切りで食べ応えしっかり。咀嚼を進めていくと赤身の脂が豊かに広がり、鉄分が旨味を下支えする。マグロにはピノ・ノワールなどの軽快な赤ワインを合わせるのがセオリーだが、かち割りの白ワインはそんなセオリー無視で赤身にも寄り添う。冷やしすぎともいえるワインの温度が、反発しやすいワインと魚の鉄分の緩衝材になっている。果実味もここまで冷えているとキーンと引き締まり魚の脂とぶつからない。ジョッキに入った白ワインを煽りながら、楽しい発見の余韻に浸った。
相性: ★★★☆☆

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