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あたらしい関心の方へ、自由に進めるように。日々、事業の土台づくりは怠けない。

【連載note】セプテーニグループにある10社以上の社内ベンチャーをめぐり、事業家ひとりひとりが持つ“プレイスタイル”を聞き集める企画です。

今回は、2018年設立のSIGNCOSIGNの加来さんにお話を伺いました。

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◎プロフィール
1983年福岡県生まれ。九州大学芸術工学部卒業。2006年にセプテーニに新卒入社し、デジタルマーケティングのクリエイティブ領域を中心に様々な顧客の課題解決を支援した後、2018年にサインコサインを設立。「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という理念のもと、企業理念や個人理念、ブランドのネーミング・タグラインなど覚悟の象徴となるアイデンティティの共創を通じて価値提供を行う。また企業と個人それぞれの理念の重なりの認識を通じた、より良いパートナーシップの動機形成にも取り組んでいる。



ーあ、Clubhouse、どんな感じですか

うーん、ま、疲れるよね

ーはは〜新しいやつ特有の楽しさだ。かくさんは自分の考えを話す機会が多い仕事じゃないですか

そうだね

ーだから相手が言わせたいことがわかってくる、みたいなのもありそう。インタビューあるあるというか。

あーまあ、わかったところで当てにいけてない気もするんだけど。笑

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ー社内ベンチャーとしてサインコサインを法人化してまもなく3年、当初の考えと今と、大きく変わった部分があれば聞きたいです

自社ブランディングにこだわらなくなったのはあるかな。「社員じゃなくても協力しあえることを大切にしよう」と思って、初期はコミュニティ運営を頑張ろうとしてたんだけど、、、。

ま、向いてないなって

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ーあはは、向いてないなと思うことあるんですか

あるある、最近もモデレーター本当向いてないなって

ーへ〜、どんな瞬間に気づくんですか、向いてないって

うーん、俯瞰してる自分が「向いてない」って言うんだよね。でもそいつは何を見てそう感じるんだろう…?

ー………私の場合は、器用にできてるときですかね。集中する対象が無いから、まあ、サッと計算して進めたんだろうなって。反省…はしないんですけど、はい。

ああー、それで言うと、手段が目的になっちゃってるときかな。手段に意識が向きすぎてるというか、「良いモデレーターならこういうよな」「相槌も入れなきゃ」みたいに、“モデレーターを頑張ること”に集中しちゃってたんだよね。

それが自分に向いてることだったら、手段にとらわれず比較的にスムーズにできてるんだろうね。

ーへーえ

うん。で、最初の質問に戻るけど、サインコサインは社員0人でありながらも周囲の人と協力し合えることを大事にしていたけど、より一層、いろんな意味で人を囲おうとしなくなったよね。繋がれる人とは自然に繋がり、声を掛け合える。

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だからあれか。

当初は、ヒト・モノ・カネのような「リソースで繋がれる」と思ってたんだけど、そんなことはもう結局ケースバイケースなわけだし、それぞれの思想や価値観で繋がっておけば、あとは必要な時々に声をかけあえるなと気づいて、かなりシンプルになった。

ーああ、その変化はなんかわかる気がします。結構前ですけど話していて、あれ雰囲気変わったな、って思ったことがありました。

うん。だから問題は、周囲の人の“必要なタイミング”で、自分がちゃんと思い出されるように努力をする、そこを怠っていないかどうかなんだよね。

ー統治を必要としない、囲わない、それって「自分も相手にとって明確な役割がない」ってことですよね

そうだね

ー思想で思い出される努力をするっていうのは、なんか…すごい力強いなと思いました

まあでも、メリットで思い出されることもあるよね。単純にSNSの投稿量を減らしたら仕事は如実にこなくなるなと感じるし。

じゃあSNSの投稿内容を細かく戦略的にするべきかといえば、内容の相関性はそこまでなくて「顔(アイコン)見て思い出したんだけど」とかもあるし、まあどっかしら何かで「そういえば」となってる気がするんだよね

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ーあー、それはとっても広告。広告の存在の仕方だ

あー、そうそう。広告的なアプローチだから、こんなことを個人でやり続けられるのか、という不安も漠然とあるけどね

ーそうなんですか?

これを何十年後までできるか、とかね。笑

ーああ、はは

でも結局考えたって、先どうなってるかなんてわからないし、それを予想して仕組みを構築する、とかの方が…

ー…むだ?

あ、いや、それこそ不得意だし向いてないんだよね。

向いてない上に、頑張って考えたことが全く役にたたない可能性も大きいわけで。なら、考える意味があまりない。今の自分が自然にできることを頑張った方がいいかなって。

だから関心が向いていれば、今すぐにお金にならないこともやるんだけど、だからと言って「次は絶対これがくる!」とか確信してやってるわけでなくて。

今サポートしてる代官山のアートスペース/スタジオ(※)もそのひとつだし、最近は個人理念っぽい感じのランウェイショーに協賛してみたりしてる。

ーへえ

その時の自分が自然と向いた方向なのであれば、まあもう少し時間がたった時に自ずと何か見えてくるのかなって。

(※今回の撮影は、セプテーニグループのオフィスではなく、サインコサインがサポートしている代官山のアートスペース/スタジオにて行いました)

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ただ…その時々で自然に興味がむくものに比重をかけすぎると、ビジネス的な仕事が来にくくなるからどうしようかねというのが、ここ2、3年のあれだね。

ーああそれちょっと聞きたかったです

『むかし加来君が言ってたことにようやく実感が湧いてきた、だから俺はそれをやる!』みたいに言ってもらえることもあって。マーケットもあるんだろうなーと思いつつも、僕自身は次の関心に行けたらいいなという感じ…かな。

ーたまに「いいサービスだけど、世間のタイミングより少し早くてスケールしなかったね」とか言うじゃないですか。自分の関心に任せながら進むなら、ビックビジネスを狙わないことでバランスするんですか?

うーんまあだから、すぐにお金にならないことと、継続性の土台になることの両輪を考えるよね、、、

ーあ〜、こないだ毎月の決算報告書から逃げないっておっしゃってましたよね。資料見て「うーん」て。

そうそう

ー私もそうあらねばと思ってはみるものの。

………や、でもそこ振り切っちゃう人たちにしかない魅力みたいなのもあるわけで。ま、そういう人のためにバランス取ってるところもあるから。

ーサインコサインがバランスをとる理由のひとつ?

そうそう

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(しばし雑談)

うーん………だから主張を明確にするっていうのは大事だよね。

やりたいことをやり続ける土台は必要だけど、主張でバランスとっちゃいけないと思うよ。

ーああ、ああ。コアの部分であっちもこっちも立てようとするのは

そう、もちろん独りよがりじゃいけないとは思うけど

ーそうですよね。土台というのは説得力がある状況…?

も、あるだろうし、ちゃんと社会的責任を果たしているとか。いや、お前はそれどうなんだって話なんだけど、まあそれでも、うん。周りの人とちゃんとやるとか、P/Lの話じゃないけどそういうのも

ー「それぞれのやり方で」という部分もあれば、絶対的・普遍的なこともある気がしてます

ね。本当にそれはそうだよねー。

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ーあー、関係ないんですけど、最近、言葉ってどうしたって過去のことしか言えないよなーって考えてたんです。0.0001秒前のことも含めて過去。

あー。あ、それって未知のことを表す言葉はないってこと?

ーいやあ、文字で記せる時点で自分にとって過去になるから、じゃあ言葉にするタイミングをどうするか、みたいなこと…ですかねー。感情にしろ目的にしろ。

あー。

ー言葉で整理できる時点で8割解決してるじゃないですか。だから、わかってることを語りなおしたりせず、言い難いことにもっと比重をおきたいなと。

なるほどね。それで言うと、声と言葉って若干違うと思っていて

ーああ、そうですね。

個人理念を作るときもよく思うけど、本当の理念みたいなのは言葉にできない部分というか、書けないと思っていて。言い難い思いは書けない、マナー的に書くわけにはいかない、とか、まあ人それぞれ書けないの理由はいくつかあると思うけど。

で、もっとその先には、今言ってくれたような「音にすらできないけど」もあるんだよね。

ーそうですねー

それは大事だなと思いつつも、対話的な中で、感情に言葉がフィットしてないにしろ空気で話していけることってあるのかなと。

ーああ、確かに。それ結構オフラインで話す醍醐味だったりしますよね

うん。ほんとだよね。まさしく。且つ「全く声にできない」というのも、あると思う。

ーですね。

だから言語化は大事だけど「本当に大事なことは言語化できない・したくないようなものだ」というのは、やっぱ忘れちゃいけないよね。と、今日は改めてハッとしました。笑

ーえ、急。笑 や〜、ありがとうございました

こちらこそ〜

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制作後記

昔、下垣さんが『加来君はさ、あ〜この人、何にも考えてないように見えるけど、なんかしら考えてるんだろうな〜と思うじゃない?それが、何にも考えてないんだよね〜。本当、え?って感じだよ、ねえ?』と、笑って言っておりました。

長年の同僚に、こう言わせてしまえる軽やかな身のこなしは、一体どこから来てるのかなーと思っていたのですが、いつでも好きなときに決断できるように、自由の幅や領域をちゃんと作っているからなんだなあと、今回明確な答えを聞けたような気がします。(でもきっと、「うーんまあ、見る人によっては、いやお前出来てないだろって部分もあるんだろうなと思いつつ……。いやでも、うん、そういうことにしておこう。」と、おっしゃると思います)

冒頭で書いた通り、加来さんはいろんなところでインタビューを受けているし、話をする機会の多い方です。なので、サインコサインの事業や注力領域などについては色んなメディアを見ていただくとして、ここでは「加来さんのあの感じ」を、記事にさせていただきました。事業を走らせ続けながら、月曜日から金曜日まで穏やかさが変わらなくて(日々二日酔いなのかもしれないけど)、忙しいときでも力みを見せない、とても尊敬している先輩です。今回も、ありがとうございました。

-fin.-
運営元
Septeni Incubate / SIGNCOSIGN

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