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1年間の取材を終えて/制作後記

この連載を読んでくださっている皆さん、いつもありがとうございます。この企画は、セプテーニグループの10社以上あるベンチャー各社をたずね、社長ひとりひとりのプレイスタイルを聞いていく連載として、始まりました。



連載開始から1年が経ちました。そこで先月、セプテーニグループの新宿オフィス27階にて、これまでの取材データをもとにした展示をさせていただきました。

今回は、その展示と、これまでの取材を振り返っていきます。

=登場人物=

S:元セプテーニの島田さんです。いつも取材記事を読んでくださるので、展示にご招待し、観ていただきました。

W:記事編集担当の渡辺さんです。この連載企画を一緒に練りました。普段の取材は同席せず、いつも原稿の編集時点から参加。

K:記事で写真を担当しているkoniです。今回の展示を設計。

E:記事でインタビューをしています。皆さん、いつもありがとうございます。


制作チームによる1年分の取材制作後記として、読んでいただけると嬉しいです。

(4人の会話なので、スクロールはゆっくりめがおすすめです)

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目次
◎今回の展示<Attendance>について
◎1年間の取材、記事の制作について
◎これまで/これから

◎今回の展示<Attendance>について


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1


S:この段ボールの中を覗くと写真があるっていう作りになってるじゃないですか。どうして“覗く”だったの?

K:…見る時間が広げられるかなと思ったんですよ。“見る”って、“考える”が同時になってる場合もあると思うけど、覗くという動作が入ると、“見ること”そのもののボリュームが増えるなと思って。

S:なるほど〜。

K:見る行為って日常にありふれてて、流れちゃうじゃないですか。見ることにとどまれない。

S:ああ〜。働いてるとき、なかなか立ち止まれなかったんだよなあ。

E:止まるとまた動き出すのにエネルギー使う。だから止まらない、っていうのはある気がする

K:うん、止まらないって省エネでもありますよね。


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2


W:仕事中に強制的に止まる瞬間って、いくつかあるかと思って。ひとつはハッピーバースデー文化。俺あれ本当に嫌いだったんだけど。笑

S:何ですかそれ

W:チームメイトの誕生日に、サプライズを用意してみんなで手を止めて祝う、みたいな。誕生日はめでたいけど、仕事中に妙な差し込まれ方をして手を止めることはあったな。

E:タスクになっちゃうんだよね。

この展示はまあ無視できるし、無視しても自分の仕事や居場所に支障はない。でも、存在を目撃したことにはなる

W:ある意味、強制力が弱いからいいよね。片付けられちゃうくらい。笑

E:ははは、業者さんがただの段ボールだと思ったたみたいで。笑

S:あ、私さっき、これが展示だと全然気づかなかったんです。

展示はどこでやってるんだろうって。「どうぞ」って言われて「あ、これ?!」ってなりました。

K:自分から作品に気づく、みたいなやり方ができたらなと思って。それで素材をオフィスにあるものにしたいなと、運搬の工程も鑑みて段ボールを選びました。

W:他のオプションってあったの?作品からの声の掛け方的には控えめじゃない?もっとうざく声かける方法とか

K:うーん、積極的にアピールする方法はそもそも選択肢になかったかもしれない。

根本的な作品からの誘惑の仕方は変わらなくて、どういう風に能動的に見てもらうか考えましたね。

27階のフリースペースを前提に組み立てたので、例えばこのビルのロビーでやるなら、大きく印刷して…外からの視線も巻き込めるように、とか別の形だったかもしれない。


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3

S:展示場所を27階にしたのは理由があるの?

E:あー、わたしが「ここで出来ませんか?」と決め打ちでかくさんに相談したんで…。koni的には最初から決まってたって感じだよね?

K:ま、そうですね。でも、ここがいいと思います。

S:へー、なんでここに決めたの?

E:さっきの巻き込み方の話だと思うんですけど、なんて言うんだろ。

W:デスクがバーって並んでるオフィスフロアでやらせてもらうのは、そんなに望ましくないってこと?

E:うん。まあ格好はつくかもしれないけど…

W:「邪魔じゃん?」みたいな?

E:うん、そうだね。オフィスフロアは、“現場”じゃないですか。なんかこう、「展示を見せられてる」気分になると思う。

それこそハッピーバースデーの例じゃないですけど、付き合う義務も発生しちゃうっていうか。

K:うん、わかります。それは本当にそう思う。

E:どちらか一方だけが気分いい、みたいなのはあんまり。


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3.5

E:展示の準備してたとき、新卒研修を担当されてた方が「これ何してるの?インスタレーション?」って声かけてくれたんですよね。

その会話のシーンがなんかこう…すごい良かったんですよ、その時点で結構目的達成した気持ちになりました。笑

K:わかります、本当よかったですよね。

W:「何してるの?」ってところから気になったのいいな。

たまたま目に入ったものに関心が生まれつつも、「これはアートなの?総務の仕事なの?」みたいな。

捉えるフレームがすぐに見当たらないような出会い方がいい。

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◎1年間の取材、記事の制作について

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1

W:ビジネス書とかビジネス系の記事ってさ、タイトル読めばだいたいわかるように出来てるでしょ。

K:へーそうなんですね

W:タイトルに対して内容が直線的に構成されてるから「はいはい、そういうことね」と思いながら読んじゃうけど。この連載はちょっとそうじゃないよね。

E:あー。なんだっけな、最初に企画考えたときに、「タイムリーだけどタイムレスな記事になるにはどうしたらいいんだろう」って、すごい考えた

W:企画書に書いてあったね

E:いろいろ考えて、“今日ここで話した”って事だけはタイムレスになるなと思ったんだよね。目の前にいる相手と、今の考えで話ができれば、それが最もタイムリーなわけで。

S:インタビュー、事前に質問事項とか送ったりしてないですよね?

E:してないですね。

S:やっぱり。皆さんの答え方って、事前に質問見て用意したものじゃないっていうか。

E:会って、そこから…。話せることを話して、聞けることを聞く。ちゃんと会話するっていうのを決めているので、インタビューって感じでもないと思います。

K:うん、“会話”って感じですよね。

S:写真はそのときに撮ってるの?インタビュー後に別で撮影するとかではなく。

K:はい。聞こえてきた会話に反応する、みたいな感じで。その場で撮ってます。

***
2

S:記事を読んでて、明るい話題の後にモノクロの写真があって驚いたんです。ああいう撮影写真以外のものは、どういう意図で入れているの?

K:あ、その写真、明るいと思って入れてました。笑 

S:あははは、そうだったんだ

K:文章の内容と、直接に意味の繋がる写真ではないものを入れることで言葉の意味が膨らむと良いな〜と考えてました。

W:この記事の中の写真って、読むときに最短距離で意味を分かった気にさせない役割というか。嘘つかないで読める、っていうのが新鮮な感じはしてる

K:へ〜そういう風に見えてるんだ

E:場の空気、人の癖、それに撮った本人の気配が消えてない写真がいい、誰か知ってる?って聞いて、koniを紹介してもらったんだった。

S:取材記事っぽくないアングルが多いですよね。

W:サムネイルなのに、人はちょこっとしか写ってないとかね。笑


***
3

S:なんかいつも楽しそうですよね。記事読んでて、ああ楽しいんだろうなーって

E:うん、毎回「楽しかったー!!」って言ってるよね?で、制作後記でひたすらもがく…

W:言ってるね。制作後記が一番大変そう。笑

K:確かに。笑 でも制作後記あったほうがいい

S:スラスラ〜って書いてるのかと思ってました。

E:や、全然です。

S:制作後記はなんでやることにしたの?好きですあれ

W:なんでたっけ…?何か言ってたよね

E:会話の責任をこっちに引っ張って終わらせたい、という感じだった気がする。

S:どうして?

E:うーん、思考や哲学にまつわる会話って「聞かれたから話した」でしかないと思うんですよ、リーダーは特に。勝手に語り出したりしないですよね。

W:…ま、それは確かに。笑

E:こちらが聞いたから、答えてくれた、そういう時間なので、記事もそんな読後感にしたいなと。

◎これまで/これから


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1


K:さっき、仕事してるとき止まれなかったって言ってましたよね。やっぱ止まれないものなんですかね?

S:うーん、私はそうだったなあ。成果がでたら次は効率を考えて…。そう思うと、この記事は仕事中にはなかなか読めないかも…

E:大量の情報が行き交う中で、これ読む気にはならないですよね。笑

S:うん。笑 オフモードのときじゃないと。

K:…それでいいんじゃないんですか?勝手にそういう役割だと思ってやってました。

W:そう思うよ

E:私たち、普段ビジネスマンと違う文化圏にいて、行動基準も時間の流れ方も、だいぶ違うもんね

W:確かに。今の俺は「“効率”って知ってる?」って言われそう。笑

S:あはは

E:その差は自覚しててさ、でもビジネスのトーンに寄せに行く選択肢はなくて。

フラットな自分のまま、“違う者”として私はここに来て、そのまま会話を始めるっていう…

S:そっかあ。


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2

S:こういうインタビューって他のところでもやってるの?

K:いや…

E:してないですね。フレームは応用できるかもしれないけど、なんか無理じゃないかな。

W:だろうね。

S:どうして?

E:…え、あの……「なんか好き!」っていうバイアスありきの企画だから。笑

W:そうだよね。笑

E:セプテーニグループのことが気になっちゃって、好きゆえに考えて考えて、たどり着いた形で。なんか好き、だから何度も通える、というか…。

S:そうなんだ〜

E:うん。1年経っても、やっぱ好きなんで。

W:確かにね。笑

E:この企画は、即効性のあるハウツーを聞いたりはしないんで、土曜の朝とか?そういうスローダウンする瞬間のお供として、読んでもらえたら嬉しい。実際、取材中の会話はそんな感じだと思う。

K:うん。ですね。

W:2年目も、どうぞよろしくお願いします。


ーfin.ー

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Special Thanks : ayako shimada 


改めて、セプテーニグループの皆さん、1年間本当にありがとうございました。引き続き、取材で伺いますので、2年目もどうぞよろしくお願いいたします。

運営元
Septeni Incubate / SIGNCOSIGN


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