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#建築 まとめマガジン

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#デザイン

【建築生産マネジメント特論講義】 霞が関ビルとはなんだったのか──超高層ビルと、「建築生産の科学」の時代

本稿は、東京大学大学院にて開講された権藤智之特任准教授による講義『建築生産マネジメント特論』を筆者が一部再構成し、テキストベースで公開するものです。 カバー画像:霞が関ビル上棟式の鉄骨(霞が関ビルディング50年記念誌より転載、三井不動産蔵) 新たな技術と、それを使いこなす想像力が組み合わさった時、これまでにない建築構法システムが突如可能になることある。過去100年ほどの間に突如登場した”超高層ビル”というアーキタイプは、その顕著な実例の一つだと言えるだろう。超高層ビルの構法

「消費者」から「所有者」へ──なぜいま「修理する権利」が重要なのか

先週wiredでも記事が出ましたが、ついにアップルが(部分的にですが)折れました。最近よく耳にする「修理する権利」の話です。 個人的に「修理する権利」に注目しはじめて約一年、その重要性への確信は日ごとに高まっています。今回はこの記念すべき(?)イベントを祝して、なぜいま「修理する権利」が重要なのかを考えてみたいと思います。 Appleはどのように修理を「拒んで」きたか手元にiPhoneがある方は、底面の充電ジャックの両脇にある小さなビスをよく観察してみてください。ビスの穴

フランク・ロイド・ライト「入門」 (その①)

先日、落水荘に行ってきた。おそらく世界で一番有名な住宅。言うまでもなく、建築家フランク・ロイド・ライトの代表作だ。ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の、自然に囲まれた山中にある。 張り出したテラスの下に滝が落ちる、幾度となく本や雑誌で見てきた外観。実物はまさにそのままの姿で、なんか「問答無用」って感じの威厳があった。 外観のフォトジェニック具合とはある意味対照的に、一度建物の敷居を跨ぐと、この住宅を印象づけるのは「音」だった。そう、滝の音。よくよく考えたら、滝の上に住宅を作

公庫・仕様書・住宅基準|健康で文化的な生活を営むに足る住宅を

お盆に実家帰省した際、「そういえば実家の設計図面って見たことないけど保管してあるんだろうか?」と疑問に思い、母に問うてみると「あるある」との応え。ドサッと風呂敷包みを渡されて「関係ないのも入ってるかも」とのことで、興味津々に包みを解いてみると・・・ありました、ありました。お宝がありました。 お目当ての「実家の設計図面」として出てきた書類は、正式には「住宅金融公庫融資住宅設計審査申請書」。あ~そうか、実家も公庫住宅だったんだと今さら気づいた次第。新築工事の工期は1976(昭和

「デコン」時代の残り香をたずねる(その③:オハイオ州立大学建築学科+α)

「デコン(脱構築)」建築がなぜか数多くひしめく、オハイオ州の2都市(シンシナティ、コロンバス)の見学記。ここまでは、ムーブメントの牽引者であったザハ・ハディドとピーター・アイゼンマンの実現作について書いてきた。 「デコン建築巡り」という趣旨からは脱線してしまうのだけど、本記事では、通りがかりに訪れ、軽くショックを受けてしまった建物を紹介したい。何かというと、オハイオ州立大学の建築学科である。 ー オハイオ州立大学建築学科棟大学で6年間も建築学科に在籍した身としては、他大

12月のテキサス : 水と素材と光と (その③・・・レンゾ・ピアノの美術館2題)

「先達の作品から学び、模倣しなさい」・・・・建築学科にいた頃、頻繁に耳にした言葉だ。意外かもしれないが、建築の設計・デザイン教育の場では、マネすることの重要性は思いのほかよく説かれる。が、頭のカタイ学生だった僕はなかなかこの言葉が飲み込めなかった。「マネなんかしたらオリジナリティが殺されちゃうんじゃないの?」って。「模倣」と「創意」が共存しうる、ということがサッパリ理解できていなかったのだ。 キンベル美術館・増築棟 この、模倣あるいは一種のオマージュと、創意・オリジナリティ

土地の文脈から設計者の意図を想像する――すみだ北斎美術館

皆さんは建築を見るとき、どんな見方をしていますか? 建築を学んできた、あるいは仕事として関わっているという方は、歴史的な視点やご自身の専門との関係などそれぞれの見方があるでしょう。 詳しく知っているわけではないけれど好きだという方は、居心地の良い空間が好きだったり、ある特定の建築家のデザインが好きだったりするのでしょうか。 いろんな建築の見方があるなかで、今回はその建築が建つ場所との関係について、考えてみたいと思います。 こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 東京都墨田区に

モクチンメソッド|危機を好機に転換する現代版「計画的小集団開発」

木賃アパート。ハウジングの戦後史を辿るとき必ず出てくるこの言葉。たしかに老朽化して空室も目立った状態であちこちに見かけるよなぁ~。これは社会問題にもなっていくよな~。などなど他人事に思っていたのですが、ある本を読んで「あ、そうか!いま自分が住んでるアパートも木賃アパートだ!」って、にわかに自分事になってオドロキました。 そんなキッカケとなった「ある本」とは、『モクチンメソッド:都市を変える木賃アパート改修戦略』(連勇太朗・川瀨英嗣、学芸出版社、2017)。 オレンジ色の表

『木造建築の語られ方|昭和期日本の精神史』妄想目次

noteのマガジン「木造建築の語られ方」ほかに書き散らしていた文章たちを再編成して目次化してみました。佐野利器にはじまり三澤千代治におわる木造建築のお話しを書くという目標に向かってスケッチしてみた架空書籍の目次とその前書きになります。 はじめに 木造・昭和・語られ方たとえば、十数年ほどの前の住宅雑誌のページを開いてみると、今と比べて茶色や緑色の割合があまりに少ないことに驚きます。かつては無彩色でまとめられがちだった建築も、今では木質感にあふれています。それこそ、『住宅特集』

既存空間をリスペクトした新設の天井が、全てを解決するーームトカ建築事務所による「天井の楕円」

青木淳建築計画事務所出身の村山徹さんと、山本理顕設計工場出身の加藤亜矢子さんが共同主宰する設計事務所「ムトカ建築事務所」が、改修を手掛けた東京の住宅「天井の楕円」を見学させてもらいましたので、その様子をレポートしたいと思います。 *** まずこの改修作品の前提条件から説明していきましょう。 もともとの建物は、建築家の葛西潔さんが設計を手掛け1997年に完成した「銀の木箱」と名付けられた作品です。(こちらで竣工当時の写真が閲覧できます。) (引用:http://www.

お金がなくなる恐怖心

こんばんは。創造系不動産の高橋寿太郎です。『建築と不動産のあいだ』をあらためて読み直してみると、こんなことを書いたっけな〜? というのがけっこうあります! −クリエイティブで賢い建て主は、本当は自分たち家族や企業にあった「幸せの形・理想の形」を追い求めようとスタートラインに立つのですが、お金の疑問は「お金の不安」となり、建て主の伴走者としてぴったり真横にくっついてきます。(P.33) それを払拭するため、建築家+創造系不動産は、住宅を建てたいクライアントに出会ったとき

住宅営業についてのメモ【3】|家を「売ること」のこれから

職場の先輩F主任とOさん。ベテラン住宅営業ふたりは、それぞれにお客さまの信頼を得て契約を獲ってくる「高い営業力」を持っています。でも、契約に至ったお客さまが実際に建てる住宅は、意匠的にも計画的にも構法的にも「ヒドイ提案」でした。 そんな「営業力」と「提案した住宅」のあいだにある深い溝について「住宅営業についてのメモ【1】」で書いてみました。 そして、前回、「住宅営業についてのメモ【2】」では、その深い溝が、実は「産業」「木造」「注文」「営業」の計4本でできている構造的な問

一見、非合理的に見える形状は、合理性を追求した結果生まれるーームトカ建築事務所による「Arts and Creative Mind Gallery」

こんにちは。 アーキテクチャーフォトの後藤です。 先日、東京・恵比寿にオープンしたギャラリー「Arts and Creative Mind Gallery」を訪問してきたので、そのレポートと感想を書いてみたいと思います。 設計を手掛けたのは、ムトカ建築事務所です。 ムトカは、ルイヴィトン等の建築を数多く手掛ける青木淳さんの元で経験を積んだ村山徹さんと、山本理顕さんの元で経験を積んだ加藤亜矢子さんが共同主宰する設計事務所です。 お互いに、日本の建築の世界で巨匠と呼ばれる方々

住宅営業についてのメモ【2】|「売ること」と「つくること」のあいだ

職場の先輩として住宅営業のなんたるかを折に触れて教えてくださったF主任とOさん。二人がそれぞれにお客さまの信頼を得て契約を獲ってくるその「高い営業力」と、契約に至ったお客さまが実際に建てる住宅が、意匠的にも計画的にも構法的にも「ヒドイ提案」だったというお話しを前回、「住宅営業についてのメモ【1】」として書いてみました。 その「高い営業力を持つこと」と「住宅提案がヒドイこと」の間に横たわる深い溝は、実は「木造注文住宅」を手がける「木造住宅産業」が持つ性質に由来すると思うのです