嬉しかった優勝後の学校での出迎え(中越高校OB 横尾玲生インタビュー)
新潟県出身の選手たちと甲子園に
――野球を始めたきっかけについて教えてください
私には兄がいて、父と兄が共に野球をやっていたため、その影響で小学1年生から野球を始めました。
――中越高校に入学を決めた理由を教えてください
新潟県で野球の強い高校が中越と日本文理の2校だったのですが、中越高校には県外出身の選手がいませんでした。甲子園に行きたいと考えた時に県内の人の力を借りて行きたいと思ったため、中越高校への進学を決めました。
雪の多い冬はノルマをこなして
――甲子園を目標としていた当時の思いなどを教えてください
中越高校はあまり強制的に行う練習がなく、選手が自主的に考えて甲子園で勝つための練習をしていました。皆で一丸となって甲子園で勝つにはどうしたらいいかということを考えて練習に取り組んでいました。
――当時の練習で印象に残っているエピソードなどはありますか?
印象的なものだと野球部の日誌というものがあって、練習が終わった後にそれをチームで共有していました。「こいつはこういうことを頑張っているんだな」ということや「こういうところに着眼しているんだな」ということを知れる機会があったのは良い経験だったと思います。
――新潟県は冬の降雪量が多いと思いますが、冬の練習で印象に残っていることはありましたか?
冬の練習は室内練習場なのですが、中越高校の1年生には冬の期間にノルマというものがあって、それをクリアしないと試合には出られないというもので、自分を含めて皆そのノルマに苦労していました。
――差し支えなければノルマの内容の一部を教えてもらってもよろしいでしょうか?
分かりやすいものだと倒立で5~10メートル歩かなければいけないというものや、開脚で肘を床につけて30秒キープ、他にも懸垂などもありました。大体10項目ほどあり、ピッチャーはそれに加えてピッチャー用のノルマなど、ポジションごとのノルマもありました。
それらが終わらないと、毎日ダッシュ50本みたいな内容が課せられました。
プロを目指す仲間からも刺激を受けて
――甲子園中止の第一報を知った時はどういった感情でしたか?
現実味がないというか、ずっと目標にしていてなくなったと言われてもあまり理解できませんでした。自分だけは理解が追いつかず、泣くことができませんでした。夢のような感じで捉えていましたね。
――当時、監督からかけられた言葉などはありましたか?
そのときのミーティングの言葉はあまり覚えていないのですが、最後に「代替大会で優勝したら、何年後かに優勝チームが甲子園に出られる可能性もあるから、変わらず練習をするし、優勝を目指して頑張ろう」というような話がありました。
――甲子園中止が発表された翌日、佐藤旦有夢選手が報道陣にプロを目指すということを宣言されていました。チームメイトのそういった行動で心境に影響などはありましたか?
応援しようと思っていましたし、こいつなら行けると思っていました。チームメイトで仲がとても良いのですが、尊敬している部分もあって、中止の翌日にそういった行動をできるというのも凄いと思っていました。
数年後のためにも独自大会優勝を……
――その後、各都道府県で独自大会開催の動きが進みましたが、大会の開催を聞いたときの心境を教えてください
せっかくそういう大会を開催してもらえるので、そこで優勝しなかったら数年後に「もしかしたら甲子園行けてたよね」というような話もできないから、絶対に優勝してやろうという風に思っていました。
――新潟県大会では計6試合ありましたが、その中でも印象に残っている試合はありますか?
4回戦の加茂暁星高校戦ですね。秋にサヨナラ負けを食らって北信越大会を逃した試合の相手でした。そのサヨナラ負けが連携のミスで1点を取られて悔しい思いをしたので、夏に勝った時はホッとしてすごく嬉しかったです。
あとは決勝戦の日本文理戦で、その時の日本文理は2年生で甲子園を経験しているメンバーが多かったので、どれくらい戦えてどうしたら勝てるかということを考えていました。最後の試合で皆が一丸となって繋いで勝つことができたので、楽しかったですし自分たちの野球ができたと思っています。
――決勝戦で勝利し、優勝が決まった瞬間はどういった心境でしたか?
率直にすごく嬉しかったですね。泣いている選手もいましたし、ここまで頑張ってよかったということも思いました。ただ数日後とかに、「甲子園があったのになぁ……」というようなことも思いましたね。
――優勝した後の出来事で印象に残っていることはありますか?
決勝戦が新潟市の球場でそこから学校に帰ったのですが、試合が終わってから3時間くらいしか経っていないのに学校の目立つところに新聞が貼ってあって、そういったことが嬉しかったですね。皆が教室とかで待っていてくれて、先生方からも凄く褒めてもらって嬉しかったです。
もう一回試合に向かっていくあの気持ちを
――この「あの夏を取り戻せ」というプロジェクトについて聞いたときはどう思いましたか?
自分は絶対参加したいと思っていましたが、チームメイトはそこまで前向きではありませんでした。自分がやらなかったら後悔するから、「俺が代表者やるから、皆ついてきて」ということで参加を決めました。
――このプロジェクトでの目標について教えてください
またあの頃みたいに皆で全力で野球をしたいです。試合内容とかは特にこだわっていないのですが、もう一回皆で試合に向かっていくあの気持ちを味わいたいです。
――最後に応援してくださってる方々へ意気込みをお願いします
2年前に甲子園がなくなってしまって、その時の悔しさをこのプロジェクトを通して晴らしていきたいと思っています。もう一回全員で野球ができるということなので、全員で全力プレーで白球を追いかけたいと思います。
頑張るぞ!
プロジェクト公式サイト:https://www.re2020.jp/
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