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初めてカメラのワークショップに行ってみた話

はじめに

「○十万円のカメラを買えば、幸せになれます。」


少し前に、何気ない所で見かけたツイートがあった。
そのツイートは、「カメラを始めるなら、高い機材からスタートした方が良いのか?」という問いに対する、個人的な返答のようにも見えた。



2018年秋からプロレス観戦でカメラを使い始めて、今年で早5年になる。

それでも私は、写真やカメラというものが、未だに分かっていない人間である。


マニュアル設定というものが使いこなせていないし、撮る写真は9割9分オート設定。

基本的にレタッチは施さず、このようなnote記事やTwitterで感想を述べる際の道具として使えれば良いと思っているタチだ。
そもそも私が写真を始めたのも、スマートフォンの壁紙が欲しかったからで、「自分で撮ったものを使えば、誰に何を言われることも無いだろう」という理由からだった。


冒頭のツイートには、恐らく「買うかどうか迷ってるなら、高い方が良いよ」という、アドバイスのような意味合いが含まれていたように思う。

それでも、私の中ではモヤモヤしたものが残った。
「カメラの質や値段如何で、使い手の幸せまで決定されてしまうものなのだろうか?」と。


「写真って何だろう?」

そんな疑問やモヤモヤが私の中で肥大しつつあった中、ある時、このような告知を見かけた。


プロレスリング・ノアで公式カメラマンを務める宮木和佳子氏による、ノアの写真展内で行われるワークショップ。


私はリリースを見た瞬間、ワークショップに行くことを決意した。

「プロレスのカメラマンを務めている方のテクニックが気になった」というのもあったし、「少しでも写真が上手くなりたい」という思いもあった。
だけど、それ以上に、「今抱えている私のモヤモヤを打ち破りたい」という、ある種のキッカケのようなものを私は欲していた。


ここに参加したからといって、明確な答えは出ないかもしれない。
(そもそも、そういう趣旨のイベントでもないし)

だけど、ここでキッカケみたいなものは掴めるんじゃないか?


ラフなスタンスで、私はワークショップに参加しに行ったのである…。


ワークショップ

2023.1.28、私は新宿マルイ本館の8Fにいた。


私を含めて10名弱が集まった、約50分前後のワークショップ。
実践した内容は、本当に基本的なものだった。


「縦と横の線を真っ直ぐに撮れるか」


「左右のスペースを均等に撮れるか」


「対角線(※例:左上→右下)を意識して撮れるか」


一眼やミラーレスだけでなく、スマートフォンのカメラでも参加可能だったワークショップは、機材や質ではなく、あくまでも使い手の意識に向けられていた。


「『良い機材を買おう』とかではなくて、まず意識を変えてみましょう。」

ワークショップの冒頭で宮木氏が述べていた言葉が、何よりの証左だった。

実際、ワークショップ内で「高い機材が良い」という内容の発言は、一度として出なかった記憶がある。
実践した内容に関しても、プロレス以外で取り入れられるような内容ばかりだった。


ワークショップの中で、カメラの持ち方について意識できたのも良い機会だった。
私の場合、左手でカメラを持つ際、ボディではなくレンズを持っていた事に気づいたから。
(本来なら、左掌にカメラを乗せる形で持つのが安定するので良い、という事だった。)


ワークショップが終わった後も、個別の質問タイムがあったり、参加者の方で会場の座席やレンズについて情報交換のようなものが出来たり、非常に有意義な時間を過ごすことが出来た。

他の方の質問事項と、それに対する回答も印象的だった。
個人的に、カメラとレンズの相性について質問が及んだ際、「フェラーリに軽のタイヤを履かせるようなもの」という表現を用いながら回答していたのが記憶に残っている。


「プロの方は本当にスゴい」

当たり前かもしれないけれど、受講後はそんな感想しか出てこなかった。


実践

ワークショップに参加した翌日、私は何となくアドバイスを実践してみたくなり、急遽プロレス観戦の予定を入れた。
(2023.1.29 DDTプロレスリング後楽園ホール大会)


当日に私が意識していた事は、ワークショップで出てきた【左右のスペースの等間隔】とか【カメラの持ち方】。

特にカメラの持ち方は、数年間にわたって癖づいてしまった持ち方から矯正するのに、中々苦労した…。


しかし、持ち方に慣れだした大会後半になると、その効果を実感することが出来た。
咄嗟のタイミングでシャッターを押しても、写真がブレてダメになるケースが以前より減ったのである。

安定した持ち方に変えた事で、いざというときにもホールドできる
これは、実践しないと気づけなかった事だった。

持ち方を変えただけで、咄嗟の吹っ飛び方にもブレにくくなった実感
加工を一切施していない状態の写真
撮りながらでも、左右のスペースが等間隔になるように撮った記憶がある


また、技を繰り出している瞬間であっても、「撮り終わった瞬間、左右の間隔を等間隔に出来るか」を以前より意識するようになり、いつの間にか「後でトリミング編集すればいいや」なんてことを考えないようになっていた。
「ただ無意識にシャッターを押す」だけにならなくなったのである。


今までカメラは自己流だったけれど、ワークショップで学んだことを実践する作業も大事だと実感したのであった。


まとめ

今回のカメラワークショップに行って私が確信したのは、「機材スペックに拠らない部分で、凄みを出せるのがプロ」という事だった。

今は一ファンであっても、プロみたいなクオリティの写真を撮るようになり、それをSNSにも写真を上げやすくなった時代である。
ファンの撮影した写真が、関係者のツイートだけでなく、ポートレートやTシャツ、記事媒体等に用いられた事例も見かける。


そんな時代になっても、プロとアマチュアには厳然とした差があると私は思っている。

全部が全部そうだとは言わないけれど、単純に、アドバイスを求められたりした時に「良い機材買いましょう!」で終わってしまうか否か、と言えば良いのだろうか…。

今回のワークショップより前から、構図やポージングのアドバイスが細かく出来たり、一般人を芸能人のように撮れたり、【機材に金を積んでも買えないもの】がプロの方にはあると思っていて、その点は揺るぎないものとして存在している事を実感した。


また、ワークショップに行ってみて、「主体的に写真を撮る楽しさ」を感じることも出来た。

気がつけば、冒頭で述べていた私のモヤモヤは晴れていた。
ワークショップで得られたものは、スキルだけではなかったのである。
(ありがとうございました!!)

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