令和の団体交流は『スマブラ』と『対バン』にあり
はじめに
2022.11.11後楽園ホールにて、プロレスリング・ノアとDRAGON GATEの合同興行『GLOBAL DREAM』が開催された。
異なる団体同士が交わる時、少なからず付いて回るのは"対抗戦"という図式だろう。
かつての『新日本プロレスvsUインター』や女子プロレスなど、対抗戦によって生まれた熱量は歴史に刻まれる程、未だ強烈な存在感を放っている。
しかし、今回の『GLOBAL DREAM』には、そうした対抗戦要素は少なかった。
大会前、今年春から毎週恒例となっているノアのJr選手のTwitterスペースに、DRAGON GATEの選手が参加したりするなど、寧ろ"コラボレーション"という趣が強い内容に。
私が対抗戦色を感じたのは、全9試合中、オープニングの若手同士による6人タッグマッチと『YAMATOvs吉岡世起』の2試合のみ。
カードの殆どは、NOAHとDRAGON GATEの選手がタッグを組むラインナップだった事も大きいかもしれない。
それでも、私が見た限りではTwitter上の反応も好評だったし、大会終わりにお会いしたフォロワーの皆様も内容に大満足だった。
それは果たして何故なのか?
私には、思い当たる確信のようなものがある。
「現代における団体同士の本格交流に求められているのは、『大乱闘スマッシュブラザーズ』と『対バン』精神ではないか?」と。
今の対抗戦のカギは『スマブラ』と『対バン』にあり?
これは、2022年に入ってから、私自身感じていた事でもある。
任天堂のゲームキャラクターが一堂に会するバトルゲームのような、オールスター感とでも言うべきか。
或いは、音楽で複数のアーティストが共演する『対バンライブ』に近いのかもしれない。
"お互いのバンドの良さを知ってもらう場所"とでも言うのだろうか。
今回の『GLOBAL DREAM』以前に、私がそう感じる出来事があった。
2022.1.8に行われた『WRESTLE KINGDOM 16 in 横浜アリーナ』における、新日本プロレスとプロレスリング・ノアの対抗戦である。
この時は新日vsノアで全試合対抗戦という図式で、全対戦カード発表を待たずして、前売券も早々に完売。
それは、ここ数年交わってこなかった2団体が本格的に交流する予感だとか、ドリームカードが見られる期待感だとかも大きかったように記憶している。
戦前は対抗戦という事もあり、発表された時点で、「対抗戦ならファンもバチバチにやり合え」という意見もファン側から見かけたけれど、大会後は新日ファン・ノアファン共に多幸感に満ちていて、Twitter上の反応も好意的な評価に溢れていたように感じた。
それらには、対抗戦で生まれるような片一方の殺伐、無力、歓喜という対比は無かった。
あるのは、今の双方の良さをぶつけ合おうとする気概のみ。
故に、試合後の満足感だとか多幸感に繋がっていたのではないか、と私は考えている。
お互いに知らなかった選手や魅力に気付けた点は、『対バンライブ』における魅力とも重なるものがあった。
今回の『GLOBAL DREAM』にも、その時と似たような雰囲気を感じた。
DRAGON GATEの若手の躍動に、NOAHの打撃の鋭さと、お互いの良さを活かし合う世界線。
今大会以前に、DRAGON GATEから望月成晃やEitaがNOAHに参戦したり、NOAHから拳王&覇王がツインゲート王座に挑戦したりと相互交流はあったものの、合同興行等での本格交流は恐らく初。
それでいて、対抗戦のようなヒリヒリ感を押し出さずとも、楽しく盛り沢山な内容で締める。
今回の合同興行を見ていて、私が『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『対バン』だと感じたのは、この点にある。
殺伐とした雰囲気や内容より、交わらなさそうだったキャラ同士が結びつくワクワク感だったり、『普段見ていない団体や選手の良さに気付いてもらう』機会だったりが、今現在のニーズとして求められている事ではないだろうか、と私は感じたのである。
まとめ
対抗戦のギスギスした雰囲気って、今現在の客層から求められていることなのだろうか?
2021年から開催されている、『サイバーファイトフェスティバル』のNOAHvsDDTによる対抗戦を見ていて、私自身感じていた疑問点だ。
何故ならば、無理に対抗戦のギスギス感が無くとも、相互交流で面白くできる気がしたから。
そもそも私が見た限り、そういうギスギスさを求めている人自体、多数派のように感じなかったというのもあるけれど…。
そんな『サイバーファイトフェス』における個人的なモヤモヤや願望に対して、満額回答で応えてきたのが今回の『GLOBAL DREAM』だったと私は思う。
『サイバーファイトフェスティバル』に本来求められていたのは、選手同士のギスギスしたやり取りではなく、選手同士の良さが伝わる場ではなかったか、と。
上述した私の疑問も、今回の合同興行を見終えて、私の中で確信へと変わった。
勝負論としての対抗戦は面白いかもしれないけれど、昔あったようなドロドロした空気感が必ずしも求められているとは限らない。
(寧ろ今だと、互いに傷つけ合い、新規ファンを遠ざける危険性だってあるから…)
私は今回の合同興行で、NOAHファンがドラゴンゲートの事を、ドラゴンゲートファンがNOAHの事を知ってもらえるキッカケになるのが一番ではないかと思う。
大会後、NOAHファンのフォロワー様と話していて気付いた事があった。
Ben-Kが発する「チキチキチキ」というフレーズが、NOAHファンのフォロワー様に浸透していたのである。
こういうところから認知されて、他の方に広がっていく展開があるかもしれない。
それだけでも、この合同興行は意義深いものになったのではなかろうか?
本当に素晴らしい興行だったので、第二弾の開催があればいいなと願います。
また見たい!
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