高速的八分間~2022.9.24『AZM vs葉月vsフキゲンです★』~
はじめに
スターダムで毎年恒例のリーグ戦・『5☆STAR GP』
7月末から始まり、10.1に最終戦を迎える長いリーグ戦の期間中には、公式戦と並行してタイトルマッチも幾つか組まれた。
(スターダムでは、こうした事が結構ある印象だ)
そのうちの1つが、ハイスピード王座戦だ。
現在、ハイスピード王座を保持しているのはAZM。
フキゲンです★、葉月の両選手が挑戦する3WAYマッチは、リーグ戦最終盤の9.24ベルサール高田馬場大会で実現した。
この日の公式戦では『上谷沙弥vsジュリア』、『岩谷麻優vs渡辺桃』、『林下詩美vs中野たむ』といった、タイトルマッチ級の好カードが組まれた中、メインイベントはハイスピード王座戦。
大会開始前、(タイトルマッチとはいえ)上記のタイトルマッチ級の豪華カードをセミ前までに消化して、今回のハイスピード王座戦をメインに置いてきたのは、少々意外なように私は感じていた。
しかし、私が抱いた考えは、メインで見事に引っくり返される事になったのである…。
『AZM vs葉月vsフキゲンです★』
迎えたメインイベント。
今大会ではメイン前に公式戦8試合が組まれたのだが、オープニングからセミファイナルの『上谷vsジュリア』まで、途切れる事の無い場内の盛り上がり。
それにもかかわらず、メインの試合前から、この日出場したどの選手よりも拍手を浴び、試合の盛り上がりに寄与した選手がいる。
それは、フキゲンです★(以下:フキゲン)
名前に違わず、不機嫌そうなペインティングを顔に施している彼女は、実に不思議な選手だ。
ヒールユニット・大江戸隊に所属しながら、ユニット対抗のタッグマッチでは本隊の選手よりも拍手を浴びる。
勝利した時は、会場をどよめきと興奮で飲み込んでしまう程だ。
ヒールレスラーは往々にして嫌われる事も多々あるが、彼女の場合は例外だろう。
この日のフキゲンも、ハイスピード王座戦の盛り上がりにおいて、中心的役割を担っていた。
AZMが前々から対戦を熱望していた葉月とのマッチアップはあったものの、この日はフキゲンの存在が試合のスパイスであり、メインディッシュでもあった。
ハイスピード王座戦の名に違わぬ試合展開の早さと、頻繁に移動していく主導権。
終盤には、葉月とAZMのマッチアップも実現したものの、全体的に回数は少なかった印象。
(この2人の攻防は、シングルでじっくり見たい)
目まぐるしいくらいに攻守が入れ替わっていく、充実感に満ち溢れる試合を制したのは、AZM…!
フキゲンの丸め込みでピンチを迎えるも、あずみ寿司で見事な3カウントを奪取!
試合時間は、7分44秒。
時間だけ見れば、メインイベントとして短めな気もするけれど、この約8分間はあっという間でいて、実に濃密な一時であった。
まとめ~ハイスピードのブランド性の高さと凄さ~
リーグ戦期間中ながら、公式戦を飲み込む内容で圧倒した、今回のハイスピード王座戦。
個人的に、今のハイスピード王座戦線は、充実の時を迎えていると思う。
常に目まぐるしく攻守のスイッチが切り替わるだけでなく、戦略的な駆け引きも問われ続けるゲーム性の高さ。
それでいて、AZM政権の今は、若手や他団体の選手の挑戦も受けるような、懐の深さを感じる。
ハイスピード王座戦で繰り広げられる内容は、男子の試合(特にJrヘビー)でも中々見られるものではない。
今の同王座はタイトルの価値とは別に、最早看板ブランドになりそうな程の勢いも私は感じている。
ハイスピード王座戦の面白さは、是非色んな方々に知られてほしい。
何度か同王座戦を生で見た中で、その感想は確信に変わった。
何故なら、今が一番面白くて刺激的だから…。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?