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変態プロレス放談

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しがない変態プロレスファンが、プロレスを中心に気付いたこと・感じたことを徒然なるままに書いてみました。 ひとつよしなに…!🙇🙇🙇
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#noah_ghc

復帰戦の効能について考えたこと~2024.6.9『AMAKUSA&宮脇純太vsアレハンドロ&クリストバル』~

はじめに2024.6.9プロレスリング・ノア後楽園ホール大会で、約10ヶ月ぶりに戦列復帰を果たしたAMAKUSA。 その復帰戦を終えてリングを降りる直前、目元を拭い下を向く1人の選手がいた。 彼の名は、宮脇純太。 2016年8月にデビューした、NOAHのJr.ヘビー級レスラーだ。 復帰したAMAKUSAではなく、パートナーを務めた宮脇が泣いている。 何となくだけど、外野から見ていて、思い当たる節は一つだけあった。 2023.8.10、プロレスリング・ノア後楽園ホール

2年越しの理想形~2024.5.29『小峠篤司vs秋山準』~

はじめに 2022.6.12、『サイバーファイトフェスティバル2022』で組まれた『樋口和貞&遠藤哲哉&秋山準vs稲村愛輝&小峠篤司&中嶋勝彦』によるDDTvsNOAHの対抗戦。 戦前に注目を集めたカードにもかかわらず、開始から間もなくして遠藤が中嶋の張り手一発でレフェリーストップ負けという、あまりにも衝撃的な結末で試合は幕を閉じた。 今振り返ってみても相当の賛否を生んだ一戦だったと思う。 私はこの試合そのものの評価を付ける事は出来ないし、それは難しいと感じていたけ

Blank Map~2024.5.22『拳王vs鈴木みのる』~

はじめに私がプロレスを好きになってから、未だに後悔している出来事がある。 2015年7月、プロレスリング・ノア後楽園ホール大会の出来事だ。 『鈴木みのるvs高山善廣』のGHCヘビー級王座戦。 当時、SNSのアカウントや自分のカメラは持っていない私だったけれど、この日は父から借りたカメラで大会の様子を撮影していた。 多分、気が向いたからカメラを持っていったのだろうけど、今振り返っても、カメラを持っていって良かったと思う。 鈴木みのると高山善廣による盟友同士のシングルマッ

『WRESTLE MAGIC』を生観戦した感想を振り返る

はじめに 2023年秋~冬にseason1(全5大会)、2024年4月にseason2(全4大会)が開催された、プロレスリング・ノアの『MONDAY MAGIC』。 「NOAHの熱い戦いを連続ドラマのように多くのプロレスファンの皆様に楽しんでいただく」というコンセプトの下、月曜夜に開催された同ブランドでは基本的に全カードが当日発表。 参戦選手や試合数、試合形式すらも殆ど分からない中で行われる実験的な大会だったが、結果的に全9大会が満員。season1初回を除けば前売段階

『MONDAY MAGIC』season2を全部生観戦した感想を振り返る

はじめにプロレスリング・ノアが2023年に立ち上げたブランド・『MONDAY MAGIC』。 2023年10月~12月にかけて全5大会が開催されたseason1は、ブランド名通り月曜開催という条件でも、初回を除く大会が前売り段階で完売する盛況っぷり。 season1最終回では、2024年4月に全4大会からなるseason2が発表されると、チケットも全4大会が前売り段階で完売。 2024.5.4に控える『WRESTLE MAGIC』に向けた強化月間とも言うべき側面も強いs

DO YOU WANNA DANCE WITH ME?~2024.4.11『拳王vs清宮海斗』~

はじめに 2010年代後半から、プロレスリング・ノアの看板カードに定着したライバル関係がある。 それは、『拳王vs清宮海斗』だ。 2019年11月の両国国技館メイン、日本武道館でもタイトルマッチが複数回組まれるなど、近年はビッグマッチでの対戦が多い両者の一戦は、これまでに11回実現した。 戦績では7勝4敗で拳王が勝ち越しているものの、直近2試合はGHCヘビー級王座戦で清宮が連勝中。 過去にGHCヘビー級王座戦5回、GHCナショナル王座戦2回と度々タイトルと団体の舵を

『MONDAY MAGIC』season1を全部生観戦した感想を振り返る

はじめに他の人に向けて、自分のオススメの何かを提示するタイミングが訪れた時に、私自身気を付けている事がある。 「自分の好きな団体や選手であっても、相手の好みによっては薦めない選択肢を取る」という事だ。 例え、自分の好きなもの・オススメしたいものがあったとしても、相手の好みとマッチングするものでなければ一方的な押しつけになってしまうし、何より続かないと私は考えている。 個人的な理想形としては「プロレスコンシェルジュになりたい」という表現が適切だろうか? 仮にもし「色々知り

squeeze~2024.2.28『拳王&大和田侑vs清宮海斗&大岩陵平』~

はじめに先日、私がプロレスを観戦しに行った時に、カメラで撮影した1枚がある。 SNSで観戦時の写真を投稿すべく選定していた時に、この写真を見つけた。 そして、写真を見た時に、ふと『スクイズ』という言葉が頭に浮かんできた。 スクイズという単語を調べてみると、このような意味が出てくる。 「スクイズ」という言葉が私の脳内に浮かんできたのは理由があった。 以前、タッグマッチなどでコーナーに控えている選手が、相手の首や関節を絞り上げているパートナーの選手に対して「スクイーズ!」

Still Changing~2024.1.21『Good Looking Guys vs 清宮軍』~

はじめに2024.1.2、東京・有明アリーナ メインイベントの『丸藤正道vs飯伏幸太』が終わり、どこか重苦しく淀んだ空気が場内に立ち込める中、リング上に現れたのはジェイク・リーと清宮海斗だった。 怒気を孕んだジェイクの声が場内に響き渡った瞬間、会場は大歓声に包まれる。 その歓声は「よくぞ指摘してくれた」という、観衆からのジェイクに対する敬意を感じ取れるものだった。 続く清宮もジェイクからバトンを受ける形でマイクを握ると、有明アリーナにはメイン前までのような歓声が戻っ

現実と残酷を受容する事について~2024.1.13『拳王vs潮崎豪』~

はじめに圧倒的な敗北感と、突き付けられた容赦ない現実。 2024.1.13に後楽園ホールで行われたプロレスリング・ノアのGHCヘビー級王座戦『拳王vs潮崎豪』を見た、私の率直な感想である。 私自身、この試合は潮崎の事を応援する立場で見ていたし、実際現地で喉が擦り切れるくらい潮崎に声援を送った。 私以外にも、潮崎の名前を叫ぶ観客の姿は少なくなかった。 しかし、会場の声援は、最後まで拳王支持のムードに傾いていた。 会場から自然発生したテンポの速い拳王コールは、私が叫んだ潮

責任~2024.1.2『丸藤正道vs飯伏幸太』~

はじめに2024.1.3、私は相原駅から徒歩十数分の場所で行われた『相原プロレス』を観戦した。 無料のイベントプロレスではあったものの、2試合はどちらも内容が素晴らしく、プロフェッショナルなレスラー・関係者の方々は日ごろの努力と鍛錬が凄い事を実感する機会になった。 プロレス観戦をし始めて2024年で9年目を迎える私だが、今更になって何故このような感想を抱いたのか? それは、前日に大会場で見たメインイベントの内容が、「プロフェッショナルとは何か?」という事を問うような、

1,354日間のフィルム~方舟の征矢学について私が語ること~

はじめに2020.4.19 未曽有の新型コロナウイルス禍により、緊急事態宣言が発令された日本は、プロ野球やJリーグなどのスポーツが延期を余儀なくされ、ライブなどのエンターテインメントも中止に追い込まれていた。 この流れはプロレス業界においても例外ではなく、同年3月頃より予定されていた興行は中止に追い込まれ、かろうじて大会は観客を入れない配信形式でファンに届けられた。 いつコロナ禍が明けるのか、先行きも全く分からなかった混沌の時期に、プロレスリング・ノアで1人の男が乗船を

一石を投じる 方舟 midnight sun~2023.12.10『潮崎豪&丸藤正道&拳王vs稲葉大樹&マサ北宮&征矢学』~

はじめに2023.12.10に行われたプロレスリング・ノア キラメッセぬまづ大会。 メインイベント終了後に拳王がぶつけた怒りは、有明アリーナに向けた強い決意表明となった…。 沼津大会の約1週間前に行われた、プロレスリング・ノア2023年最後のビッグマッチ・12.2横浜武道館大会。 この日のメインイベントは、既に2024.1.2の有明アリーナ大会で決定しているGHCヘビー級王座戦『拳王vs征矢学』の前哨戦。 拳王の師にあたる新崎人生と、征矢の師にあたる藤波辰爾が、かつての

カルッツの中心でムイビエンを叫ぶ

はじめに2023年8月27日、プロレスリング・ノア カルッツかわさき大会。 ノアのシングルリーグ戦・『N-1 VICTORY』の最終公式戦が組まれたこの日、オープニングからラストまで盛り上がりを見せた。 そんな大会の観客動員は、1,694人。 2023年初頭には武藤敬司引退というビッグイベントもあり、横浜アリーナや東京ドームといった大会場でも単独興行が打てたノアだったが、武藤敬司引退関連の大会や5月に2,721人を記録した両国国技館を除くと、関東や地方も含めた今年のビ