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ホームタウンの進化と継続"南池袋公園 RACINE FARM TO PARK"

池袋駅まで自転車で行く距離に住み始め20年、池袋を東京の玄関口として通っていた埼玉県民だった頃を含めると人生の大半、池袋がホームタウンということになる。
少し前まで池袋というと治安が悪いイメージがあり、そこに西武や東武、サンシャインなど大型商業施設がひしめき混沌とした街だった。
加えて「絶滅可能性都市」と名付けられてから、高野前区長が奮起し、豊島区は本庁舎移転を始めとしてめまぐるしい進化を遂げてきた。


南池袋公園は、元々区画整理事業として生まれた公園だが、以前は公園であったことも怪しいほど人が近づきづらい場所であった。その後地下に変電所と駐輪場を整備し、2016年にリニューアルオープンした。

ランドスケープを手掛けたのはランドスケーププラスの平賀氏。芝生広場を中心にカフェが誘致され、ランドスケープに馴染む遊び場もあるため、オープン当初から家族連れやカップル、お年寄りまで多くの人で賑わっている。
豊島区にこんなおしゃれなスポットがあったのかと、遠方から足を運ぶ人も絶えない。

この公園の特徴は青々と茂る芝生広場だが、この規模の区立公園で芝生を設定するのは維持管理に手間がかかるため難しい。これを実現したのが、公園運営の仕組みづくりだ。
ランドスケープデザイナーの平賀氏が「公園をよくする会」を立ち上げ、地元商店会やお寺さんが参画、芝を守る仕組みを検討した。そして、カフェからの使用料などを基に区立では難しい公園の常駐管理を実現したのだ。

1.ビルに囲まれたクールスポット

右側サンシャイン60ビル
正面豊島区本庁舎

本公園は池袋駅から程近くの繁華街の先にある。周囲はサンシャインや本庁舎など高層建物に囲まれた場所で、周囲がアスファルトで熱の照り返しが酷いが、ここは時間によっては日陰も出来て、芝は都市の熱を吸収してくれる。
ごろんとのんびりしたり、子どもは走り回ったり思い思いの時間を過ごすことができる。

2.遊んで生態系を身近に感じる

絵本の巣箱
生物多様性の可視化
すべり台 ランドスケーププラスHPより

公園の端にはウッドチップのスペースに子どもが遊べる遊具が配置してあり、滑らかに隆起した滑り台は、娘も息子も何度も遊んだ。
ランドスケープデザイナーの平賀氏は、生態系の保全を重視し、利用する人々にも積極的に伝えている。
この辺り一体が根津山と呼ばれる雑木林だったことから、コンクリート壁に当時の雑木林が描かれていたり、公園内の樹種にどんな生物が訪れるかもサインで表現されていて、遊びながらもそこがどのような場所だったかを自然に理解できるようになっている。

3.公園の顔であり芝生維持の要

カフェ店内
2階席から1階の眺め
2階
2階から公園の眺め

ラシーヌファームトゥーパークは、この近くで以前よりパンが有名な人気店ラシーヌなどグリップセカンドが展開する公園内のカフェ。地元民からするとチェーン店でなく長く地元で人気のお店の味が楽しめるのも嬉しい。
モーニングから行列ができ、ランチから夜まで人が絶えない。芝生でシートを敷いて、テラス席で、店内でも緑を感じる気持ちよい空間で食事を楽しめる。
このカフェからの使用料が芝生の維持費に充てられているが、芝生広場の存在がカフェにとっても大きな付加価値になっている。
このような好循環が生まれ、南池袋公園を起点に池袋は健全で明るくおしゃれな街へと今もまだ進化し続けている。


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