見出し画像

珈琲とパンとJAZZ"やまもと珈琲"

珈琲とパンとJAZZ。

誰も歴史があり、こだわって手掛ける人たちによって今では様々な場所で味わうことができる。
しかしながらこの3つを全て満足できるレベルで味わえる場所は少ないと思う。パンが美味しいというカフェの珈琲がいまいちだったり、珈琲が美味しいお店の音楽がいまいちだったりする。きっとそれぞれにこだわりと労力を要するため、この3つを同時に高いレベルで提供するのは難儀なのだろう。

しかし、それが叶う場所が立石にあった。

「やまもと珈琲」は、自家焙煎珈琲と自家製天然酵母パンやお菓子を出す、10席ほどのこじんまりしたお店だ。店内では深い夜のバーを思わせる、厳選されたJAZZ音楽が流れている。Audio Systemの紹介までHPにあり音質にもこだわっている。壁一面にはびっしりとレコードが並べられている。

珈琲とパンとJAZZには共通点が多い。

1.こだわった分だけ深みが出る

この3つは日常的に触れることができる。安価なものを手軽に手に入れることもできる。十分に研究され、手間がかかっているものもある。シーンに価値感によって様々なカタチで提供される。ただ提供する側がこだわりだしたら際限が無いのが特徴だ。材料、器具、機器、製法、選択、収集。時間や手間をかけてこだわったものは、その味や音、空間全体に深みが醸し出される。ちなみにここのパンの材料にはバターなどの動物性食品が使われていないのもこだわりの一つだ。

2.年齢を重ねるほどに求めてしまう

若い頃はチェーン店の珈琲に満足していた。さっと手に入ることを優先していたし、珈琲一杯500円以上となるとちょっと躊躇していた。JAZZも有名曲、有名アーティストを聴く程度だった。最近になって美味しいものをじっくりと味わえる空間で楽しみたい、と思えるようになった。同時に美味しくなかった時の落胆も大きい。こだわったものにはそれなりの対価を払うべきだ、と思えるようにもなった。自分が仕事で色んな経験をしたことで、作り手へのリスペクトが生まれ、集中してしんみりとお店で味わえるようになった。

3.歴史やストーリーに共感

珈琲はコーヒーベルトと呼ばれる緯度の範囲の産地で、ブルーマウンテンやキリマンジャロなどブランド豆やブレンドされることで持ち味を発揮する豆など様々な種類の豆が作られ、世界中で飲まれている。産地の気候や地形により、酸味、苦味、コクなど味に変化が生まれ、好みに合わせて楽しむことができる。パンにしても各国の歴史や文化が反映された種類だったり、ちょっとした偶然によって生まれたものだったりそのストーリーを知るのも楽しい。JAZZも誕生した経緯、1910年台からスイングやアドリブを重視した芸術性の高いビバップ、別のジャンルと融合したものまでその変遷を辿るのも興味深い。それら背景を知った上で味わうとまた違った味となる。


画像1

こんな素敵な体験ができるお店は立石の街並みにしっくり馴染んでいる。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?