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繋がり合い、発信していく"あさひかわデザインウィーク"

旭川で行われている家具のイベントが熱い、とあう話を数年前こら聞いていたが、今回ついに行くことができた。

「あさひかわデザインウィーク」は、食やモノづくり産業をはじめ学校や研究施設、金融機関など たくさんの仲間が参加する道北のデザインイベントとして2015年にスタート。2019年には「ユネスコデザイン創造都市」として認められ、世界へそのデザイン活動を発信していくイベントへと発展し、世界中のデザイン関係者からも注目を集めるイベントのひとつになっている。
関連イベントも豊富にあり「Meet up furniture Asahikawa」では、メイン会場である旭川デザインセンターを中心に出展企業による製品展示やものづくりが間近で見られるオープンファクトリー、旭川のデザインに縁のある方々によるトークイベントなど家具、デザイン好きにとってはたまらない数日間だ。

旭川デザインセンター
会場の様子

旭川は日本五大家具産地の一つに数えられる。豊かな自然と物流網に恵まれ、木工技術が鍛錬されものづくりが発達してきた。現在旭川家具工業協同組合には41社が加盟している。メイン会場の旭川デザインセンターでは、それら家具メーカーによる展示や企画展が繰り広げられていた。

1.ものづくりへの敬意が伝わる展示

IFDAアーカイブス
IFDA入賞作品
レッグレスチェア

企画展示が特に秀逸だ。30年以上に渡る国際家具デザインコンペティション旭川(IFDA)の入賞作品の一部が展示されらIFDAアーカイブス。どれも繊細なディテールによって、木の本質や魅力が最大限に引き出された椅子の数々。そのひとつひとつが、また白く繊細な膜状の仕切りの中で優しく浮かび上がっている。
平井健太氏がデザインした、CJ2レッグレスチェアは背からアームにかけて美しく軽やかな曲線を描いている。フリーフォームラミネーションという手法により自由で浮遊したデザインを可能にしている。
ものづくりも真っ直ぐであると同様に、展示も真っ直ぐだ。

2.地域に育まれた技術と精神

旭川の特注家具展
君の椅子プロジェクト

その他企画展示では、旭川の特注家具展や君の椅子プロジェクトの椅子が展示してある。
「君の椅子プロジェクト」は「新しい市民」となった子どもたちに「生まれてくれてありがとう」の思いを込めて居場所の象徴としての「椅子」を贈る取り組みだ。旭川周辺の11の自治体が参加してる他個人の参加も可能だ。毎年デザインされる椅子はどれもシンプルだが温もりが感じられ、北海道の高度な木工技術がくわえられている。そして作られた椅子には感謝と同時に未来への願いも込められているような気がする。

3.国産材を用いた多彩なデザインアプローチ

河本家具工業
arfrex
Time&Style

出展メーカーのブースも個性豊かで面白い。北海道では、道内の木で家具をつくる取り組み「ここの木の家具北海道プロジェクト」が推進されている。
木目の美しさをミニマルなデザインに有効的に取り入れたキッチンや、イタリアモダンのデザインを日本の暮らしや価値観に融合させ作られたソファ、和の文化や意匠を世界に通用するようなデザインへ昇華し海外へ発信する家具など、コンセプトやデザインアプローチは多彩だ。しかしいずれも近くで採れる良質な広葉樹を余すことなく使おうという、共通の信念とアウトプットは旭川エリアのものづくりに一貫性を生み出している。

百聞は一見にしかず、カタログや都内のショールームでは得られない、ものづくりの沸々と煮えたぎる情熱が旭川にはあった。


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