女性アイドルにガチ恋した20歳女、運営から出禁を喰らう。
それは、あまりに唐突だったー。
ある日ライブハウスに行くと、入り口で運営スタッフに呼び止められ「恐れ入りますが、今後お客様の当グループのすべてのライブ、イベントへのご参加をお断りさせていただきます」と通告されたのだ。
え???どういうこと???
女性ファンが女性アイドルの現場を出禁って何事!?すぎる。それが我が身に降りかかるなんて思ってもみなかった。
(2024.4.8追記。昨年の夏頃にこの記事が創作か否かで話題になっていましたが、女オタクが女性アイドルの運営から出禁を食らったという話の本筋は紛れもない事実です。なお、アイドルの特定を防ぐために一部フェイクを交えています。ご了承ください。)
登場人物
あかり(仮名、筆者)
ゆなちゃん(仮名、筆者の推し)
私はゆなちゃんの所属する女性アイドルグループ「天使のささやき」(仮名)の大ファンで、多い時で月に10回以上、少ない時でも月に3〜4回は必ず会いに行っていた。
この表現は好きではないが、「天使のささやき」は世間一般では「地下アイドル」と呼ばれている部類のグループで、テレビではなくライブハウスを主戦場としている。(天使のささやきのオタクは「地下アイドル」という言葉に嫌悪感を持っている人が多い。私もその中の1人だ。みんな一生懸命頑張ってるんだから、地上も地下も関係ない!しかもゆなちゃんが一番よくライブをしてるライブハウスはビルの7階にあるので、物理的にはめっちゃ地上なんです、、、!笑)
ちなみに「天使のささやき」は本当の地下アイドルと比べると一定の集客力がある。2ショットチェキの値段もかなりお高めで、同性のファンであってもメンバーとの身体的接触(ハグや手を繋ぐ等)は一切禁止だ。
かくいう私も過去にはジャニーズの某グループを熱狂的に応援していたこともあったし、「地下アイドル」なんて自分とは無縁の存在だった。なんなら少し嫌悪感すら抱いていた(小声)。
大好きだったジャニーズのグループが解散したため強制的に推し活も終了。暇を持て余していたところ、街で偶然出会ったのが「天使のささやき」だ。えっ?街で?と思う方も多いだろう。彼女らのCM(そもそもやってない)を観たわけでも、ポスターを見たわけでもない。
突然、駅前で声をかけられたのだ。「すみません!お姉さん、今時間ありますか?」ナンパかと思ったが、声の主は女性だ。続けて「話だけでも聞いてもらいたいんですけど…」と彼女は言う。スパンコールが散りばめられたふりふりな衣装を着た少女、それがゆなちゃんとの出会いである。一目見て「うわ!何この人、怖っ!」と思った。しかし、その日私は友達に約束をドタキャンされ、時間に余裕があったので暇つぶしに話を聞いてみることにした。宗教の勧誘かな?それともマルチ商法?いや、でもなんかプリキュアみたいな服着てるし違うよな。メイドカフェとか?
私「時間は大丈夫ですけど、なんですか?」
ゆな「私たち天使のささやきっていうアイドルやってて」
私「あ、そうなんですか」
ゆな「〇月〇日にどこそこでライブやるんですけど、初めましての女の子は無料なのでぜひ遊びに来てください!これ(チラシ)どうぞ!」
私「ありがとうございます。」
ゆな「〇月〇日って予定ありますか?」
私「えーっと…(調べる)。今のところは特にないです」
ゆな「え!ほんとですか!じゃあほんとに1回でいいのでぜひ来てください!絶対に楽しませるので!」
私「まあ、、、考えてみますね」
ゆな「ありがとうございます!天使のささやきって入れてもらったら、私たちのSNSとかいっぱい出てくるのでよかったら見てみてください!」
私「あ、はい!では〜」
ってな感じでその時は終わり。
アイドルに街で声をかけられるという経験が初だったので強烈に記憶に残り、家に帰ってからも今日のゆなちゃん?結構かわいかったなあ。シンプルにタイプだし、ちょっと気になる…!などという思いが頭をぐるぐるしていた。
「天使のささやき」のプロモーション動画を観てみると、地下アイドルに抱いていた闇深い女の子の集団というマイナスな印象は消えた。なんだか純粋に楽しそうで、ぶりっ子もしてないし、でもかわいいし、いい意味でふつうの女の子たちだった。
そして意を決して“女の子は無料”のライブに行ってみたら、ほんとに無料で、それなのにめちゃくちゃハイクオリティで今までに参加したどのスーパーアイドルのライブよりも楽しくて一撃で沼に落ちた。
女性アイドル(しかも地下)の現場なんて気持ち悪いおじさんしかいないんじゃないかと思っていたが、実際には私と同世代の女性も何人もいた。比率で言うと男:女=7:3くらいだろうか。会場によっては前方に女性・こどもエリアが用意されていたりもして、女性一人でも足を運びにくい雰囲気ではなかった。
ライブハウスというものは会場自体が小規模なので、まずライブ中のアイドルとの物理的な距離が近い。ジャニーズのツアーだと一回のライブでウン万人という数のお客さんがいるが、「天使のささやき」のライブの集客は50〜200名程度。どの席であってもアリーナ最前列と同等の神席だった。しかも、ライブ後にアイドルと話せるって何事?である。地下アイドルのライブ後には「特典会」と呼ばれるアイドルとそのファンとの交流会があり、課金をすれば好きなメンバーとツーショット写真を撮ったり、直接会話したりできる。今日のライブの感想をその場ですぐ伝えられるのは地下アイドルならではの魅力だ。
ステージ上で歌って踊る姿はジャニーズにも引けを取らないくらいキラキラ輝いているが、ファンとの距離感はキャバクラやホストにも近い。アイドル側がファンの顔と名前はもちろんのこと、住処や職業、既婚か未婚かまで把握している。お金を払って特典会に参加し、推しと仲良くなろうと思えばいくらでもなれるのだ。実際私はゆなちゃんと毎月1時間以上は話していた。頻繁に話しすぎて話すことなどもうない。それでも大好きなゆなちゃんと話していたかった。私の声で、ゆなちゃんの鼓膜を揺らしたい(怖い)。
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