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~不安にとらわれないために~第4章 メタ認知

質問です。
「あなたには、自分の言動を観察しているもう一人の自分はいますか?」
「はい」と答える人も「よくわからない」と答える人もいるかと思います。
これは認知心理学でメタ認知と呼ばれるものです。
『メタ』とは『高次の』という意味。「認知を高い次元から認知する」こと。分かりやすく言えば、「自分をチェックしているもう一人の自分」「自分がどう見えているかモニターしている自分」。
ロールプレイングゲームをしているとしたら、ゲームの中のプレイヤーが自分で、コントローラーを使って操作しているのがもう一人の自分。わが子を見つめる保護者目線とも言えるでしょう。

不安にとらわれないためには、メタ認知は重要です。
不安にとらわれている最中に、不安の無限ループに入っていることに自分で気づく、視野狭窄になっていることに自分で気づく、その自分で気づく視点こそがメタ認知の能力です。
自分で不安にとらわれていることに気づけるか気づけないかは最初の関門になります。気づけなければ対処しようがありません。焦りが焦りを生む悪循環に陥ります。

そこで、メタ認知の能力を鍛える方法です。
まず、自分の心のエネルギー量を観察しましょう。
「心ってなに?」と掘り下げて考えていくとわけがわからなくなってくるので、体力を推測するのと同じように心の力を推測してみて下さい。
「今の心のエネルギー量はどれくらい?」
と自問自答し、自分の心の水位をだいたいで構わないので推測して記録しましょう。
心の水位が満タンで100%。水位が干上がった状態で0%。5%刻みくらいでいいかと思います。それを手帳に書いてもいいですし、スマホのカレンダーに入力してもいいです。
それを朝と晩の一日2回記録します。一日の中でも心の水位の変化はあるものです。これを毎日の習慣にしてみてください。

一週間くらい続けてみると、心の水位に波があることがわかると思います。その波の大きさは個人差もあるかと思いますが、毎日一定ということはないでしょう。なぜなら、日々の生活の中で心が動かされるファクターが多種多様にあるからです。日常生活の中での家族や友人との対人関係、会社や学校での出来事などもありますが、その日の天気が晴れか雨かでも気分は変わってきますし、その日の体調にも左右されることでしょう。季節的なもの関わってくるかもしれません。花粉症の時期だと憂鬱というように。

このように、心の水位を記録し続けることで、心の水位センサーの感度を上げていきます。自分の心を観察することを習慣化することで、メタ認知を鍛えることになります。

次に、メタ認知の能力を上げるために、頭に浮かんだことを紙に書いてみましょう。
とりあえず、書きましょう。なんでもいいです。頭の中のことを紙に書きだします。
嬉しかったこと、悲しかったこと、悔しかったこと。
願望、希望、不安、反省、嫉妬。
日記みたいに書いてもいいですが、行動した事実を書くだけでなく、そのとき感じたことや考えたことを書き写して下さい。
とりあえず、書くことを優先しましょう。

そして、そこに書かれたものを読んでみましょう。
今まで、頭の中に浮かんでいた考えが、紙に書かれているので視覚化されています。あなたの頭の中にあった思考が、頭の外にある紙に書いてあります。
「ふーん、こんなこと考えているんだ」と冷静に思えませんか。
このように自分自身を観察する感覚がメタ認知です。他人を見るように自分を見るといってもいいかもしれません。

これを毎日続けてください。できる範囲で構いません。紙一枚に頭に浮かんだ思考を書き写し、それを読み返してください。
ただ観察するだけです。生き物の観察日記のように。
続けていけば、メタ認知の能力が上がっていき、自分のことを一歩離れて見られるようになっていきます。

しかし、ただ観察することは難しいものです。冷静に観察しようとしても感情が邪魔をしてきます。
書いたものを読み返したときに、「こんな風にマイナスに考えるから俺はダメなんだ」と自分にダメ出しをするようなケースです。自責の念が生まれているこの状態は、感情が優先されているので、冷静ではありません。そして、自分自身からとはいえ毎回ダメ出しをされると落ち込んでしまいますよね。そうすれば、心のエネルギーはドンドン下がって行ってしまいます。
このように冷静に観察するのが上手くいかないタイプの人は、自分をトコトンまで追い込んでしまう怖れがあります。
そもそも、なぜ追い込んでしまうのでしょうか。次の章は、『自滅は避ける』です。


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