見出し画像

人材に関する論文を3本まとめてみました〜キャリア・投資・幸福〜

ちょうど、ご時世もご時世なので、スキルアップであったり、キャリアについてお悩みになっている方もいらっしゃると思いますので、最近の論文より、3本ほど取り上げさせていただきます。

⒈非正規雇用のキャリア戦略

上記の論文を参考にざっくり解説していこうと思います。

まず、ここでは非正規雇用について定義すると、

Non-standard employment (NSE) contracts (i.e. fixed-term contracts, on-call contracts or temporary agency contracts)

論文より、上記のように定義されています。
つまり"fixed-term contracts, on-call contracts or temporary agency contracts"、日本でいうところの有期雇用や派遣社員ということで大方理解して良いと思います。

非正規雇用は、高給かつ安定した雇用なのか、低賃金で失業を繰り返すトラップになるのかという論点でこの論文は述べられています。

今までの研究は非正規雇用から正社員になることが焦点となっていましたが、現代の市場では、所得の低い正社員ではなく、高級の臨時雇用を選択することによって、異なる保障を得ているとしています。

労働者を替えるかどうかの決定要素

スキル

高度な業務を伴う職業は、それに適した候補者は少ないため、雇用主は候補者と長期的な雇用関係を構築することは困難です。
ゆえに、高いレベルのスキルを持っていると正規雇用に移行する可能性が高いです。

一方、低スキルの求人の場合は、充足しやすく代替余地が大きい。これらの仕事は長期的なコミットは必要ではなく景況によって需要は変動します。ゆえに、非正規によって雇用する傾向があり、正規雇用に移行する可能性も低く高いスキルを持っているものに比べ、雇用への保障は低いです。

作業の種類

スキルとは別に、作業の種類によって労働の代替性が決まるのではないかという議論もあります。
例えば作業に対して、不正をしないように監視し続けなければならなければ、賃金を高くすることで不正を抑制させますし、特定の技能(例えば、プログラミングスキル)が仕事に必要とされていレバ、研修が必要になるので、そのための投資にコストがかかるので、高い賃金で長期的にコミットを求める可能性が高まります。
よって、高い監視コストとスキルの特異性によって長期雇用となる可能性が上昇します。

データ分析

この論文ではオランダの従業員を対象とした調査研究をしております。

その結果、わかったことは、高いスキルを持っているものは非正規から正社員のような長期雇用ができるにも関わらず、フリーランスのような雇用が安定するとは限らない雇用形態を選ぶ人がいるということ。このような人はかなり高いスキルを持っている可能性が高いとのことです。

学歴が高いほど、安定的なキャリアを気付く可能性が高く、そうでない場合は、単純な繰り返しの作業の仕事に就いたり、退職する可能性が高いとのことです。

ベルトコンベア作業者のようにマニュアルワーカーは代替されやすいですが、非定型的で手作業ではないような作業は高いレベルの雇用と所得の保証に繋がります。

一方で、経理のような労働者は日常的に数値を管理するような仕事は手作業に近い仕事でありながらも、雇用と所得で高いキャリアを持つ可能性があります。

2.人材投資と企業成長の関係性

人的資本は重要な経営資源である一方で、IR情報で開示されるのは限定的です。

この論文では、人的資本と企業のリスクについて求人メディアから日次で収集して分析しております。

採用目的が欠員ではなく増員の場合、求人は将来のパフォーマンスを予測させる要素の一つであるとのことです。

また当然ですが、労働集約度が低い企業ほど雇用効果は高いと言えます。つまり、市場は高く評価するということ。

実際、分析してみたところ、労働集約度の低い企業ほど、求人に対する市場の反応も顕著とのことです。

3.不完全雇用と幸福の関係

3つ目はこちらの記事から。

不完全雇用とは

まず、あまり聞きなれないと思うので、「不完全雇用」について書いていきたいと思います。

不完全雇用」とは「Underemployment」と英語ではいいます。
この用語の意味するところは、労働者側から、不満足な様々な雇用状況のことを言うようです。

つまり、十分な勤務時間を提供されなかったり、スキルや知識を十分に活用することを妨げられている状態のことです。

ある調査によると、自発的でないパートタイム雇用は、フルタイム雇用の労働者やパートタイムを好む労働者に比べ幸福度が下がるとのこと。また、自らの職務が適格でなかったり、技能や知識を十分に活かせていない時も幸福度は低いとのこと

調査方法

それでは今回の研究は具体的にどのような方法を取ったのかを説明します。2015年に欧州労働条件調査より、15歳以上で週1時間以上雇用されている人々を対象とした調査となります。いくつかの研究では、個人の主観的な幸福は、中年に近づくにつれて幸福は低下し、その後増加するといわれています。よって、15〜29歳の労働者が対象となっております。

その研究の結果には、労働時間が望んでいる時間よりも短いことは望んでいる時間よりも長い時間の労働と同程度、幸福から離れるという結果を提供しています。

その他、ヨーロッパ諸国の比較がありますが、一般化すると、みずから選択していないパートタイム労働や技能と知識を十分に活かすことのできない仕事についている期間は幸福に対して悪い影響を及ぼすということでした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?