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「シェーン」 ♠西部劇が好きっ!♠ (0005)

さすらいのガンマンと彼に憧れる少年の友情と別れを描く西部劇の名作です。

<趣意>
お気に入りの西部劇映画を勝手気ままに紹介していきたいと思います。

 

<構成>
※ストーリーの核心に触れている部分がありますのでご留意ください。

南北戦争後、西部のとある開拓地では放牧農園主ライカー一家と新開拓農民たちの間で土地問題などをめぐって対立が起きていました。 流れ者のガンマンであるシェーンがたまたま農民たちのリーダー的存在であるジョーの農家へ立ち寄ります。 ちょうどそこへライカー一家が現れ、ジョーたちに開拓地を出ていくように脅迫します。 シェーンは行きがかり上、ジョーの手助けをしてライカー一家をいったん追い払います。

ジョーはシェーンに対して放浪生活をやめて新しい人生を始めるように諭します。 シェーンはジョーの息子ジョーイとも交流を深めてジョーの家族の中に受入れられていき、またジョーとシェーンは友情を深めていきます。

一方、ライカー一家は力ずくで農民たちを排除することを決意し、ガンマンを雇い入れて、農民たちに最後通告を行います。 ジョーはライカーの横暴に屈することのないよう仲間たちを説得し、自らライカーと直談判に向かおうとします。

しかしシェーンはライカーによるジョーを抹殺しようとする企みに気付き、ジョーを実力で阻止し、ライカー一家との決着をつけるべくたった一人で立ち向かいます。

 

<ポイント>
本作は公開当時、評論家からは「新たな西部劇」と評されたそうです。
私が本作を初めて観たのは、西部劇をよく観るようになってから少し後でしたので、正直な感想としては「そんなに新しいかなー」という印象でした。

しかし本作の公開は1953年。 私がそれまで主に観ていたのは60年代半ばから70年代初頭の作品でしたので、本作公開当時からするとたしかに「新しい」西部劇だったのだと思われます。

それ以前の西部劇といいますと、どちらかというと、ガンマン同士のガンファイトや西部開拓民たちの先住民との戦いなどをメインテーマにした活劇や娯楽性の高い作風が主流であったかと思われます(それが悪いとか劣っているということではけしてありません。もちろん先住民の描かれ方などの問題はありますが)。
ガンマンを比較的単純にヒーロー化し、西部開拓をややもすれば無条件に称揚するような、シンプルなイメージであったかのように思われます。

しかし本作では、ガンマンは西部開拓において時代遅れとなり、もはや滅びつつある存在であることが示唆的に描かれています。 
劇中ではシェーン自身もそのことを自覚しつつあるような立ち居振る舞いが見受けられます。 シェーンというキャラクターも卓越したガン捌きといわゆる男らしい典型的なガンマンとしては描かれていないと思われます。
シェーンが風来坊として周囲や他人から距離を置かれてときには冷たくあしらわれているところへ、ジョー一家に温かく受入れられたことで、彼の考え方や生き方が変わっていく様子でそのことが描かれているのではないでしょうか。

その一方で、最終的には自らの暴力という力で生きてゆく流儀を捨てきれず、しかしその自分の身で命を賭けて、新しい西部の主役となるジョー一家らの開拓農民のために戦う、彼のガンマンとしての哀愁と格好良さが描かれていると思われます。

このような作風が以後の西部劇のテーマやストーリー展開に大きな影響を与えたのではないかと感じられます。

 

<私的な雑感>
個人的に初めて観たときにもっとも印象に残ったのは、その圧倒的に美しい自然の風景でした。
果てしなく広がる草原の遠い向こうにそびえて連なる大山脈。 「雄大」という一言に尽きるかと思われます。 日本ではなかなかお目にかかることができないような景観ではないでしょうか。

前述の<ポイント>でも触れたように、深みのあるテーマやストーリー展開も絶妙です。 シェーンとジョーのお互いを尊敬し合う友情、卓越したガン捌きに魅了されるジョーイのシェーンへの屈託ない憧れ、控えめに描かれるジョーの妻とシェーンの淡い恋慕など、登場人物たちのキャラクターやその関係性も巧みに描かれています。

もちろん、西部劇のみならず映画史に残るであろうラストシーンの素晴らしさ(単なるハッピーエンドとはならない秀逸な余韻)は言うまでもないのではないでしょうか。

💣💣💣💣
とても面白いと思います!
あんな大自然の中を流離ってみたいなぁー。

 

<作品概要>
作品名: 
シェーン (原題  Shane)
公開年: 1953年
製作国: USA
監 督: ジョージ・スティーヴンス (Wikipedia)
出 演: アラン・ラッド(役:シェーン) (Wikipedia)
     チェビー・チェイス(役:ジョー) (Wikipedia)

<備考>
第26回アカデミー賞(撮影賞)
アメリカ映画100(2007年版)/第45位
オールタイム・ベスト映画遺産200 外国映画篇(キネマ旬報、2009年)/第59位
AFIアメリカ映画100年シリーズ(2008年):西部劇部門/第3位

 

<参考リンク>
作品概要 (Wikipedia)
作品情報 (Yahoo!映画)
「シェーン デジタルリマスター版」予告編 (CinemaGene/YouTube認証済み)※動画/約62秒(CM除く)
映画「シェーン」エンディング (MOVIECLIPS/YouTube認証済み)※動画/約162秒(CM除く)
ジャック・シェーファー(原作者) (Wikipedia)
書籍「シェーン」(原作小説) (国会図書館)

 

・敬称略とさせていただきました。
・2021年11月時点での情報です。

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(2021/12/23 上町嵩広)

 

<バックナンバー>
0001 「怒りの荒野」
0002 「明日に向かって撃て」
0003 「荒野の七人」
0004 「サボテン・ブラザース」


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