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ガールミーツボーイ

14歳の少年をずっと心に住まわせてる感覚がある。
この少年がめちゃくちゃいくじなしのヘタレで、心配だけは人一倍してくれるくせに肝心な時に助けてくれなくて、ずっとムカついてる。

だけどその影を永遠に見離さず手放さない自分が一番ズルくてほんとやだなぁ、というループがずっと続いてる。
結局自分の弱みを見せられるのはコイツだけなんだなって。

映画『リリィ・シュシュのすべて』で主人公の少年・蓮見雄一と、雄一に恋する少女・津田詩織の関係がまさにそんなだなぁ、と思いながら見返してた。

雄一なんかよりずっと勇敢な学級委員長の男の子に告白されても、一番知られたくない自分の弱みを知りながらも仲良くしてくれる雄一に恋する津田ちゃんの気持ち、なんかすごく分かる。

少年と少女って、ぴったり背中合わせで、同じ景色を正反対に見ている気がする。
一番近いのに絶対に顔を合わせることはない。どんなに望んでも溶け合えはしない。

だからこそ追い求めていて、そっち側を知りたくて。写真という手段ではじめて、そいつに会うことにした。

写真を通して出会った少年は、本当にいくじなしでヘタレで弱々しくて、想像していた通りの少年だった。

だけど意外なくらい、根暗のくせにキラキラしてる瞳が嫌いじゃないなって思った。

私なんかよりずっとずっとピュアで優しかった。こいつのこういうところ、弱みを見せてるからとか関係なしに私は好きだったんだなぁ、

自分が惹かれる人はみんなちょっと自分と同じ空気を纏ってる。だけど自分よりもみんな強い。
どんなに弱そうに見える人でも、弱さを曝け出せる強さを持っていたり、弱い自分を受け入れる強さを持ってる。
相対的に、それさえ出来ない自分はだれよりも弱いなぁと思って生きてきた。

だから写真で出会った少年から私にない強さを見つけたとき、悔しいけど嬉しかった。

「お前すら私を置いてけぼりにするのかよ、
だけど私なんかよりずっと強くて安心したよ。」

あと一歩のところで自分を受け入れられない自分の弱さがずっと嫌い。

でもこうやって、お互いを心配してはすれ違って、なんだよもうダメだこいつと苛立っても手放したくない愛を、もう片方の自分から見つけてしまった。

他人が自分の思い通りにならないのが当たり前のように、自分すら自分の思い通りにならない。

だけど、全部思い通りになっていたら自分の欲する愛しか見えなかったかもしれない。

写真に写るアイツが、私を助けてくれないアイツが、実は私を強くする方へ導いてくれていた。悔しいけどアイツがくれた愛だ。
一生溶け合えない境界線にギリギリ残ったその愛を、ずっと背中に感じて生きていたんだ。

片方の自分への飽くなき片想いが、生きる執着そのものかもしれないと思った。
お互い振られる覚悟がなくてよかったよね、臆病ゆえに生きながらえて。


分かりにくすぎる愛をありがとう。


photo: 育実
⚫︎Twitter: @hagudayo
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